植田康太郎

神戸大学理学研究科物理学専攻修士1年 Amazonのアソシエイトとして、植田康太郎のn…

植田康太郎

神戸大学理学研究科物理学専攻修士1年 Amazonのアソシエイトとして、植田康太郎のnoteは適格販売により収入を得ています。 (※プロフィール画像はCanva AIによって生成しました。)

最近の記事

哲学ってなんだ(竹田青嗣)【書評#173】

竹田青嗣先生による子ども向けの哲学入門書。子ども向けといえども、扱っている題材が哲学なので読み進めるにつれて、どんどの難しくなる。正直、後半の議論はほとんど理解できていない。特に、竹田先生の専門の現象学は今なお発展途中の学問でもあり、難易度が高い。他の本でも現象学について勉強したことがあるが、からっきしわからない。 内容はちゃんとは理解できなかったが、竹田先生の人となりははじめて知ることが多かった。大学卒業後、フリーターを経験していたり、在日韓国人二世であることのアイデンテ

    • 古武術からの発想(甲野善紀)【#書評172】

      甲野善紀さんの古武術に関する考えをまとめた本。 甲野先生は、現存している過去の文献から過去の武術がどのようなものだったのかを研究している。先生が構築した理論は、先生自身のこれまでの修行に裏付けがされて、実際、現在の身体用法では難しい動きもできるようになっている。 この本では、甲野先生の武道論の片鱗を見ることができた。 ただ、甲野先生の科学への考えにはあまり賛同できなかった。確かに、科学の発展によって、環境が破壊されたり、人口が増えすぎたりする問題があった。ただ、これらの

      • 異端者の快楽(見城徹)【#書評171】

        幻冬舎社長見城徹氏のこれまでの対談やインタビュー、講演会などをまとめた本。 さだまさしや石原慎太郎など名だたるメンバーとの対談が繰り広げられている。内容自体は当時の社会の状況や出版業界のことが中心で、当時の記憶がない私にとってはよくわからな部分も多かった。ただ、見城徹氏の熱狂はひしひしと伝わってくる文章だった。

        • 龍馬脳のススメ(茂木健一郎)【書評#170】

          この本の著者の茂木さんはあまり仕事を選ばない方なのか、大量の本を書いている。おそらく茂木さんが関わった本は200冊を超えるのではないか。 それくらいの量の本があるとどうしてもあまり読む意味のないものも出てくる。その中の一つがこの本だ。この本は『龍馬伝』の人気にあやかった本で、龍馬がなぜ幕末にあのような活躍をしたかを脳科学的に説明している。おそらく、編集者が『龍馬伝』が大人気だから、龍馬に関係する本を書いてほしいと茂木さんに提案したのだろう。龍馬を題材にしてはいるが、書いてい

        哲学ってなんだ(竹田青嗣)【書評#173】

          抱きしめられたかったあなたへ(三砂ちづる)【書評#169】

          女性の身体というのはよく悩みの種として捉えられる。毎月生理があるため、その前後1,2週間は体調が崩れたり、メンタルが弱くなったりする。子供を授かるとその間は行動に制限がかかる。また、酒やタバコは控えるように言われる。出産は壮絶な痛みが伴い、その痛みは「鼻の穴からスイカを入れるようなもの」とまで言われる。また、男性の身体と比べると筋肉量が少なく、単純な身体能力だけでは男性に敵わない。 このように、女性の身体にはネガティブなイメージがつきまとう。このイメージがあるので、私自身、

          抱きしめられたかったあなたへ(三砂ちづる)【書評#169】

          新・魔法のコンパス(西野亮廣)【書評#168 】

          西野さんの4年ほど前に書かれた本。 西野さんは2年ほど前からSNSやブログなどを拝見しているが、考え方がそれ以前からずっと変わっていないことがわかった。 内容は前回の『魔法のコンパス』と比べてだいぶ削っているらしい。短い時間で読み切れるようにという理由らしいが、そのおかげで西野さんの考え方をサッと学べる本になっている。

          新・魔法のコンパス(西野亮廣)【書評#168 】

          量子力学の哲学(森田邦久)【書評#167】

          量子力学の解釈問題の入門書。 前からこの本の存在は知っていて、興味があった。しかし、物理学者からの評判はあまりよくなく、これまで読むのを躊躇していた。しかし、実際に自分で中身を読んで判断してみようと思い読んでみた。 この本では、一見、不可解な量子力学をどのように解釈すればうまくいくかをを説明しようとしている。しかし、正直、変えなければならないのは人間の直感の方で、量子力学の性質はそのまま受け入れるほうがいいのではと読んでいて感じた。私たちが直感としてもっている局所実在性を

          量子力学の哲学(森田邦久)【書評#167】

          AI時代の子育て戦略(成毛眞)【書評#166】

          AIが発展する時代の子育て論。 AIがどんどん発展している。画像認識や言語生成、自動翻訳などさまざまなところでAIが使われている。また、AIに入試問題を解かせるとある一定レベルの大学は合格するレベルにまで到達している。 そのような時代に大学に入る必要性はまったくないというのが筆者の意見である。これからは子どもを塾に無理やり通わせるのではなく、好きなことを追求させて行ったほうがいい。そのほうが、将来AIに代替されない人間になる。 また、新しいテクノロジーにもどんどん慣れさ

          AI時代の子育て戦略(成毛眞)【書評#166】

          アドラーに学ぶよく生きるために働くということ(岸見一郎)【書評#165】

          『嫌われる勇気』で有名な岸見一郎さんの労働論。 岸見さんは長い間、非常勤の仕事しか就けず、不安定な生活が続いていたらしい。しかし、還暦直前で『嫌われる勇気』という大ベストセラーを生み出した作家となった。人生は何が起こるかわからないものだ。 岸見さんのは、アドラー心理学の専門家だが、アドラー自身も仕事について言及していたらしく、アドラーの考えもこの本を読んで知ることができる。

          アドラーに学ぶよく生きるために働くということ(岸見一郎)【書評#165】

          noteの更新を停止していましたが、再開します。 書評はnoteで更新をしていくことにします。 ここ1年間は以下のブログを更新してきました。 https://ueko-blog.com 今後、このブログは別の内容を投稿する予定です。

          noteの更新を停止していましたが、再開します。 書評はnoteで更新をしていくことにします。 ここ1年間は以下のブログを更新してきました。 https://ueko-blog.com 今後、このブログは別の内容を投稿する予定です。

          営業はいらない(三戸政和)【書評#164】

          現在、テクノロジーの進展が著しい。その影響は営業職にも及ぶ。 本の題名にもなっているように、営業職の必要性はどんどんなくなっている。 そんな中、どのような会社が営業なしでも利益を上げているのか、また、今後減り続ける営業職の中で生き残るのはどのような人なのかが書かれている。 正直私は、今後営業職に就く可能性はほとんどないので、この本は直接は関係なと思っていた。しかし、AIやネットなどのテクノロジーが仕事をどのように変化させたのか、そして今後どのように変化していくのかを知ること

          営業はいらない(三戸政和)【書評#164】

          走りながら考える(為末大)【書評#163】

          この本はいわゆる成功者が語る成功のための本ではない。もちろん著者が成功者ではないと言いたいわけではない。著者の為末大さんは男子400mハードルの日本記録保持者で、世界選手権で銅メダルを受賞したり、オリンピックに出場したりとはたから見れば、成功者といってもさしつかえないだろう。 しかし、本の内容はいわゆる成功体験をまとめた本ではない。著者が題名通り「走りながら考えた」思考のプロセスが書かれている。 経歴だけを見れば、輝かしい人生のように思える為末さんも、失敗や挫折を繰り返し

          走りながら考える(為末大)【書評#163】

          ミクロ経済学 第3版(西村和雄)【書評#162】

          以前から経済学に興味があったので、経済学の入門書であるこちらの本を読んだ。 この本は、微分や積分、微分方程式などを用いずにミクロ経済学を説明してくれている。ただ、私のように数学に抵抗のない人からすれば、直接数学を使ってくれた方がわかりやすい。同じ著者がミクロ経済学の本をより数学の知識を用いて書いているので、そちらをまた読んでみたい。 ミクロ経済学とマクロ経済学は時に違った結論を出すことがある。これを合成の誤謬というらしい。ミクロ経済学では、個々の事例から全体を捉えるのに対

          ミクロ経済学 第3版(西村和雄)【書評#162】

          この金融政策が日本経済を救う(高橋洋一)【書評#161】

          財政政策より金融政策の方が大事だということがこの本で述べられている。 高橋洋一さんの考えは、アベノミクスの異次元の金融緩和前の前から一貫している。実際、アベノミクスによって株価が上昇し、失業率も低下したので金融政策の重要性はたしかなようだ。 高橋洋一さんは数学科出身でもあり、文章が論理的でわかりやすい。 それを知らない日本が金融政策をおざなりにした。 https://amzn.to/468FNgM https://note.com/uekoo1998/n/na4fa

          この金融政策が日本経済を救う(高橋洋一)【書評#161】

          投資家が「お金」よりも大切にしていること(藤野英人)【書評#160】

          「ひふみ投信」を運用するレオス・キャピタルワークスの社長が書いた本。 お金に対する著者自身の考えが述べられており、お金の理解が深まる本である。ただ、タイトルにもあるとおり、お金の話が一番大事なのではない。より大事なことがこの本では書かれている。 投資家といえば、一般的にお金に執着している印象がある。確かに、まとまったお金がないと投資では儲けが出ないので、お金は重要だ。しかし、明らかに著者は私たち一般人より、お金に執着はない。 逆に、私のような一般的な日本人の方がお金に執

          投資家が「お金」よりも大切にしていること(藤野英人)【書評#160】

          何のために「学ぶ」のか(桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編)【書評#159】

          「中学生向けの大学講義」というコンセプトのもと、数名の専門家の論稿がまとめられている。 知ること、考えること(外山滋比古)外山さんは他の著作でも一貫して、知識を詰めこみすぎることは問題であると書いて、上手に忘れることを推奨している。 外山さんの言い分は確かにわかる。自分でものを考えることは重要だ。しかし、人類はこれまでの歴史で大量の試行錯誤を繰り返し、自分の知見や技術を深めてきた。その中でたいていの問題は誰かが考えているはずだから、自分で考える前にひとまず、知識を調べまく

          何のために「学ぶ」のか(桐光学園+ちくまプリマー新書編集部・編)【書評#159】