【日本の大問題(養老孟司/藻谷浩介)】うえこーの書評#100

 題名にある通り、様々な日本の問題を対談形式で書かれている。二者とも都市化を問題とし、自然に帰ろうと考えている。私も基本的にその考えには同意する。しかし、人工知能の研究に否定的なのは残念。たしかに、人工知能の研究は意識までも管理できるように都市化しようとするものだという捉え方もできる。だが、人工知能の研究をすることで、意識を完璧に管理することがとても困難なことがわかるようになるのではないか。

 最後に私が印象に残った部分を引用しておく。

 現在は、個人の平等にもとづく民主主義ということになっていますから、マスコミなどはしきりに「民意」と言います。しかし、日本国民は法人ではないから「民意」という一つのまとまったものがあるはずがありません。「民意がある」というのも嘘っぱちです。(p.9)
 マスメディアが信用できないのは、「現代の視点で過去を裁く」ということをして得々としている一方、少し考えれば、疑わしいことでも、大本営発表をそのまま伝えて、国民の知る権利に応えているなどと思い込んでいるからです。(p.43)
教育は人が人をいじろうとするわけですから、最も難しい。僕が、子どもは自然に触れさせたほうがいい、というのは、人間が妙に人為的な、小賢しいことをして教育するよりは、自然に触れさせておくほうが伸びていくと確信しているからです。(p.61)

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