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出版社に就職・転職したい人が読むべき必須3冊

出版社への就職希望者は、20年以上、売り上げが右肩下がりですが、まだまだ多いです。

私は零細と大手版元で勤務していました。

編集、記者、営業を経験し、管理職として採用する側の経験もあります。

採用する側に立ち、履歴書を見て面接をするときに、はじめに重視するのが「フィーリング」です。

フィーリングというと、もっとまじめに人を見ろ、と言われそうです。

ただ、その人といっしょに働きたいか、という感覚はとても大事なのです。

その「感覚」や「フィーリング」とは、出版業界のことを分かっているかどうかです。

もちろん、新卒や中途でも未経験の人は、業界のことがわかるはずがありません。

それでも、業界の雰囲気を身につけることができます。

そのための3冊を、必須本として紹介します。

目次

「だれが『本』を殺すのか(上・下)」新潮文庫、佐野眞一
「潜入ルポ amazon帝国」小学館、横田増生
「本屋、はじめました 増補版」ちくま文庫、辻山良雄
まとめ

「だれが『本』を殺すのか(上・下)」新潮文庫、佐野眞一

出版社に入社した新入社員には読ませる本です。

文庫もすでに品切れしていて、Amazonのマーケットプレイスで1円で買えます。

単行本は2001年の発売です。

20年前の本ですが、いま出版業界の人が読んでも古びていません

本が売れずに出版社が倒産して書店も閉店する状況はなぜなのか?

といったことが書かれています。

20年前よりいまのほうが、もっと大変な状況になっています。

この本を読むことにより、出版は楽しいだけではないということがよくわかります。

面接で浮かれたことが言えなくなり、「わかっているな」と面接官に伝わるのです。

著者の佐野眞一さんは著名なジャーナリストです。

文庫は上下巻ですが、一気に読むことができます。

「潜入ルポ amazon帝国」小学館、横田増生

本と雑誌のAmazonでのシェアは、伸び続けています。

料理レシピ本や児童書などはAmazonの売り上げシェアは数%ですが、ビジネス書や部数の少ない専門書は20%以上のこともあります。

当然、出版社にとってもっとも売ってくれる書店はAmazonです。

No.1書店がAmazonということにまちがいはないのですが、出版社の人間、とくに上層部はAmazonがあまり好きではありません。

Amazonは、出版の戦後からつづくシステムを壊していっているのです。

業界にいる年数が長いほど、いままでのシステムを変えたくないのです。

Amazonは「GAFA」で、称賛されるべき企業です。

「潜入ルポ amazon帝国」は、巨大IT企業の闇の部分を描いています。

出版社の人がAmazonに抱く感情を理解すれば、面接でAmazonをヘタに誉めたりすることがなくなるのです。

「本屋、はじめました 増補版」ちくま文庫、辻山良雄

著者の辻山良雄さんは、リブロ池袋本店という池袋にあった(2015年に閉店)日本でも有数の大型店に管理職としてはたらいていた人です。

この本は、辻山さんがリブロを退職し、ひとりで書店を開業するまでの道のりと、開業してからの記録が書かれています。

書店の閉店は、大小にかかわらず起こっていますが、いわゆる「町の書店」の現状はもっとも厳しいです。

辻山さんが開いた「Title」という書店は、「町の書店」です。

本が売れないなか、ひとりで小規模な書店を開店する、という流れが辻山さんだけでなくおきているのです。

ここから見えてくるのは、「本」という商品の魅力と、読者が「書店」に求めていることです。

「潜入ルポ amazon帝国」とは、まったく趣のちがう本です。

あたらしくできた「町の書店」から見えてくる出版業界についても、知っておく必要があるのです。

まとめ

まったく書かれていることがちがう3冊を紹介しました。

必須です。

この3冊から得てほしいのは、出版業界をとりまく「空気」です。

少なくとも、面接で的外れなことを言わずに、実力以外の部分で落とされることがなくなるでしょう。

出版が好きなひとなら、楽しんで読めますので、ぜひ読んでみてください。

出版社への転職を目指している方は、相談はTwitterでDMをください。

零細と大手の版元で勤めていた経験から、お話いたします。



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