立川笑二 - ひとりでまくら投げ。3投目

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コロナ自粛が段階的に解除されつつあることで、落語会にも徐々にお客様の姿が戻ってきている。
落語会の主催側も可能な限り対策を打っているが、お客様が背負う感染リスクはゼロではない。それでも落語会に足を運んで下さる方々には頭が上がりません。ありがとうございます。

これまでの期間、私は無観客でのオンライン配信の落語会に10回ほど出演させて頂いたが、ウケる事もなければスベる事もない高座に、やりがいを見出すのはなかなかに難しい事と知った。誰もいない客席に向かって、高いテンションをキープしたまま、演っている落語に集中し続けるというのは大変な労力を要する。20分程度の噺が果てしないものに感じられた事もあった。

そんなさなかに、独演会の無観客オンライン配信という仕事の依頼を頂いた。

一席ですら集中力を保つのに難儀しているのに、独演会で三席も連続で演るだなんて考えられない。
理由を述べた上でお断りする旨を伝えると、主催者曰く、その落語会はZOOMを使って双方向で配信するとの事。高座の向かいにモニターを置いて、そこに観てくださっているお客様方の顔を映しだす。よりライブに近い環境作りを意識するという。

それならば集中力をキープして落語を演れるのではないかと思い、私はその仕事を引き受ける事にした。

しかし、その時の私はとても重要な事を忘れていた。独演会を配信するという事は、視聴者は基本的に普段から私の落語会に来ているお客様になる。そして、私の会に来て下さるお客様の6割はおじさんで、2割はおじいさんなのだ

そんなことをすっかり忘れていて本番当日、いよいよ独演会が開演した

出囃子が流れる

高座に上がって頭を下げる

出囃子が止まる

顔を上げる

お客様の映るモニターを見る

絶景でした!!!!

ひとりでまくら投げ、3投目!えいっ!


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