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動画の台本を信じろ④

ここは動画の台本の墓場......ゆっくり解説動画の台本を供養します。試合を見たり動画見たりするのが面倒くさい人はここで文字を見て何となく試合内容を想像してみてください。

【トッテナム対アーセナルの台本】

皆さんこんにちは。上原力也を信じろです。

今回はプレミアリーグ第十一節、トッテナムホットスパーフットボールクラブ対アーセナルフットボールクラブ 
の試合後レビューをしていきます。

本動画のアジェンダは、

・フォーメーションの紹介
・スパーズの戦術、作戦の妙
・アーセナルの戦術と問題点
・まとめ

いじょうなの!


それでは、ご覧ください。


・フォーメーションの紹介

図1


アーセナルは4-2-3-1で、守備時3バック化するというシステムでした。基本フォーメーションが3-4-3なのか4-2-3-1なのかちょっとわからないのですが、
本動画では攻撃時のフォーメーションをメインのものとして扱います。

スパーズも4-2-3-1で、こちらは変則的なシステムではありませんでした。徹底された撤退守備からモウリーニョらしさを感じます。

これらのフォーメーションでどのような試合が展開されたのか、お話しします。

このたびの試合のゲームプランとしては、ざっくりと以下3点が考えられるかと思います。

・相手が積極的なプレスを仕掛けてくる場合は、保持にこだわらずラフなボールを蹴って陣地を回復、できる限りデュエルで勝ってセカンドボールを回収すること
・プレスを仕掛けてこない場合は、3-1-4-2型の強みを最大限活かし相手陣内に押し込む展開にすること
・ポジティブトランジション時は、保持時3-1-4-2型に変形するアーセナルの隙となる、ボランチの脇とサイドバックの裏を徹底的に狙うこと

画像2

でした。ミスするリスクのある保持を徹底せずにデュエルを徹底するあたり、リアリストだなあと思います。
スパーズの最も強力な武器はハリーケインとソンフンミンのホットラインを利用したカウンター攻撃なので、それを活かす為に守備も徹底されているのですが、きっちりと保持もできるチームとなっています。保持するシーンの多くは、ホイビュルクがサリーダしてプレッシャーをかけてくる相手に対して数的優位を作ります。

ここでのスパーズの主張を紐解くヒントはゲームプランの中にあります。それは、変形するアーセナルがプレッシングを徹底するならばオープンゲームのデュエル、トランジションサッカーに終始するという宣言を早い段階ですることによって、アーセナルの前線選手を迷わせ、ねっとりビルドアップする展開を受け入れざるをえないでしょうと、中途半端にプレッシャーをかけに来たら一気にスペースを突くぞということでした。

例えば27分のシーン。中途半端に人につこうとするアーセナルの隙を突き、見事ファイナルサードまでの侵入を果たしました。

画像3

(↑ダイア―君のコンドゥクシオンが光ったのとアーセナルのガバガバプレス)

守備についてはロチェルソとケインが徹底してボランチを消し、バックパスをスイッチとして制限をかけに行きます。制限をかけるのも奪えたら速攻ですが、基本的には遅らせることやミスを誘うことを目的としています。

図2

得点シーンはケインやソンの個人技もさることながら、概ねゲームプラン通りのスペースを前線の選手たちが狙い、カウンターを決めたというものでした。
得点シーン以外にも同じような形は何度も現れていたので、すべてデザインされたものなのだろうと信じろは思います。
ゴール期待値等の数値で揶揄されることも多いですが、モウリーニョの作戦勝ちであると言えるのではないでしょうか。


・アーセナルの戦術と問題点


アーセナルの変則的な戦術には三つの大きな特徴があります。
・守備時はスリーバックからファイブバックへと発展させてリトリートで守る。そのために前線でプレッシャーをかけて遅らせる。
・攻撃時は可変型4バックシステム、3-1-4-2の戦型の攻撃力を活かしサイドを突破。外から中央への楔やクロスから得点を狙う。
・攻撃時に押し込めていたときはゲーゲンプレスを行う。

といった「スリーバックの固さ」と「フォーバックの火力」を併せ持つ、理論上は強力なものでした。

画像5

フォーバックシステムですらサイドバックの負担は半端ではないのに、ウイングバックとしての守備対応も求めるなんて正直無理があるんじゃないかと思いますし、もう少し割り切ったほうが良いのではないかなと、正直思います。また、特徴にあるプレッシングも徹底できていませんでした。
モウリーニョの策が見事だったというのもあるのですが、選手たちがどう守っていいのか判断に迷っているようにも見えました。
こういった部分は時間が解決してくれるのでしょうか?アルテタ監督の猶予は?

ただでさえ過密日程が問題視される中で、こうしたシステム面の無理は確実に選手たちの怪我につながりますし、心配は絶えません。

今季のアーセナルはネガティブな意味で話題に欠けないクラブだと思います。

攻撃の部分ではやりたいことは表現できていたなと思います。後半惜しいヘディングシュートもありましたし、
なかなかできていなかったクロスに対してターゲットを増やすという部分も改善され始めています。


・まとめ


今節は作戦の重要性が非常によくわかる試合でした。将棋では「棋は対話なり」という格言がありますが、フットボールでも同じことが言えると信じろは思います。
お互いの主張点がぶつかる中で、じゃあこれ、じゃあこれ、と部分的に受け入れながら返し技をする。
そうした準備しておくという部分において、今回のノースロンドンダービーはモウリーニョ監督の主張に対する返答をアルテタ監督は用意していなかったなと、ずっと無視して理想形を追求し続けた90分だったなと思いました。

ご視聴、ありがとうございました。


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