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ダニング=クルーガー効果

みなさんは「ダニング=クルーガー効果」というのをご存じでしょうか?

優越の錯覚を生み出す認知バイアスは、能力の高い人物の場合は外部(=他人)に対する過小評価に起因している。一方で、能力の低い人物の場合は内部(=自身)に対する過大評価に起因している。

簡単に言うと「能力の高い人は自分を過小評価しがち、能力の低い人は自分を過大評価しがち」というものです。


(ダニング=クルーガー効果曲線)

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https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dunning-Kruger-Effect-en.png )

この図は横軸が知識やスキル、縦軸が自信(自己評価)となっています。

左端に自信の山があります。

ちょっとだけ経験を積んだ状態の人がやたら自信満々にアピールしたがるアレです。

ピアノをちょっと弾けるようになった人がやたら聞かせたがったり、周りから面白いと言われた人が調子に乗ってYouTuberになったりするアレです。

この例はかなり極端なものですが、一般的には「能力の低い人ほど自分も他人も正しく評価できないため、自分を平均以上の存在と考える」という内容です。この論文の要約を見ると「ユーモアのセンスの無い人ほど自分のユーモアセンスは平均以上と思っている」などの「なんか分かる」的なものもあるので、一度調べてみるのも良いかと思います。

この現象ですが、上のような例を挙げると、なんだか可愛らしげのある感じになりがちですが、結構深刻なものもあります。

2つ例を挙げてみます。

まずは軽めの例を。

ジョブ型採用

先日、こういう記事がありました。

【データ】ジョブ型採用 22年卒学生の約8割が興味

現在の日本企業の多くは「メンバーシップ型採用(一括採用)」で、2~3年かけて教育しながら育てていくスタイルです。つまりおおよそ3年間はホワイトカラーは企業から見て投資対象であり、回収対象になるのは3年後からです。

そのような状態でジョブ型採用された場合、当然最初は成果など出せるはずもなく、今までの一括採用よりも給与は大きく下がる可能性が高いです(成果を出した人に報酬が集まるのですから当然ですよね)。それでも興味があるのは、社会に飛び出したことのない人特有の「根拠の無い自信」によるものだと思います。

企業側は表面的な魅力だけでなく、ちゃんと説明すべきですし、おそらくちゃんと説明したとしても「自分は出来る」という変な自信のまま聞く耳持たず状態だと思います。これは自分の今のポジションが客観的にも分からないことも理由の一つかと思います。

学生はこれからはジョブ型採用が中心となった場合に備えて(たぶんそんなに急にはならないとは思いますが)、学生の内にスキルを身につけたり、少なくとも新卒の中でその会社に必要な存在としてスタートから頭一つ抜け出しておく必要があります。そのための経験を学生の内から積む必要が出てきます。そして就職後に会社に教育を期待することは出来なくなります。「実力主義」と言われてやる気になる人よりも「何すればいいか分からないけど何とかなるんじゃないかな?給料上がるかもだし」ぐらいの人の方が多い気もしています。何ともならない時のことを考えずに。。

「ジョブ型採用」という名前がネットで流れる度にちょっと不安になる部分です。


次に重めの例を

とあるコンサルタントの話

全くの素人の人達の間で、ちょっとインターネットに詳しいということで自信ありげにコンサルティングをしていた彼。素人相手ならものの見事に立ち振る舞えますが、相手が玄人だとなかなか相手に通じません。

自信満々で入社して、社内でも自信満々に振舞っていたので社内での信頼はうなぎのぼりです。自分でも積極的に中心的役割を買って出ました。

あとは早く結果を出したいところですが、なかなか結果が追い付いてきません。

進め方について上司からアドバイスされるも自信が邪魔をして聞く耳持ちません。

自分のやり方に自信があるので、自分のやり方を貫きます。

それでも結果が出ません。

「あれ?もしかして俺、実力が無いのかな?」と急に不安になってきます。

不安から仕事を増やします。過労と心労が心身を蝕んでいきます。

その後、彼は「うつ病」と診断され、長期離脱を免れなくなりました。


自信があればあるほど、失意を感じた時の焦りが大きくなります。

うつ病の人の何%かはこのパターンに近いのではないでしょうか?

一番最初に挙げた可愛げのあるものだけでなく、こういうパターンもあるので心配です。

対策方法は?

「上には上がいる」と言うのは誰もが認識できることと思います。

そのため、いくら自信があっても勉強を止めないこと、これが大切だと思います。

もがけば成長します。成長が感じられれば少しは「正しい自信」が身に付きます。ここで大切なのは仕事を増やすことは成長にも成果にもつながりません。次のステップに進むための勉強をすることが大切です。


他には、常に客観的な視点を持つ訓練をすること、これも大切だと思います。

上司にアドバイスを受けた時に、全部否定から入ったりしていませんか?

自分の方が正しいと思っていませんか?その自信が客観性を失わせています。

自信が無くなる前に客観性を取り戻すことも必要だと思います。


それから、間違ったり知らなかったりした場合は素直に認めること、これも大切です。

自信から謝れなくなっている状態になってたりすることはありませんか?

それが悪化すると周りとの壁も高くなり余計に孤立します。

まとめ

下手くその上級者への道のりは、己が下手さを知りて一歩目

安西先生のお言葉です(「スラムダンク」より)。

もし自分や身の回りでこのような人がいるようであれば、この効果のことを理解して、上手く対応していただければと思います。

大丈夫。上には上がいます。切磋琢磨しましょ。


というところで、今回はここまで。


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