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呪文

昔、昔のことじゃった

ある夫婦がいつもダブルベッドで寝ていたそうな。しかしそのベッドの真ん中には見えないベルリンの壁が存在しておった。なのでその壁を越える事はなかったのじゃ

夫婦はもう空気のような存在になっておったのじゃ。だから夫婦はシングルベッドを二つ欲しがっていたのじゃ

ある日のこと男が夜中に蒸し暑くて寝返りをうつと隣で寝ていた女房が何か呪文のようなものをぶつぶつと唱えておったのじゃ

男は寝ぼけながら耳を澄ましたのじゃ

「サリナバチータ、サリナバチータ、サリナバチータ、おほっほっほー」

いや違う

「ピピルマピピルマプリリンパパパレホパパレホドリミンパ」

これでもない

「だーれがころしたクックロビン、だーれがころしたクックロビン」

絶対違う

( ゚Д゚)「เหจวเขขจาลมชา่จบอเจ」

何かわからないが何か言っている

肩をポンポンと叩いたら収まったのじゃ

恐らく会社の上司が嫌で嫌で会社に行くのが嫌なあまり何かを言っているようだが男には何も聞き取れなかったのじゃ

でも後で男の女房は自分がぶつぶつ言ってたのを自覚していたのであった。そして男はこういった

「今日もブツブツ言ってたら往復ビンタしてやる」

男の女房はほんとは会社を辞めたいのだが息子が私立大学なんていってしまうから我慢をしているのだ

だから男は解っていた

シングルベッドを買うのは4年後だと




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