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野良猫じゃダメなの?

我が家に猫(かじこちゃん)が来たのは、一昨年の11月。野良猫は前から外でニャーニャーとないていたけれど、家の中で保護した時期はその頃です。
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本来ならば野良猫は去勢手術をしてまた外に返す「地域猫」として育てた方がいいのかもしれない。
去勢手術をすることが良しとされている時代だけど、私は思う。
 
野良猫にも野良猫の一生がある。
母猫は身を挺して子猫を守る。自分では餌を食べずに子猫のために運んで行く。
増えすぎるのは迷惑。それは人間の都合だ。
昔、養蚕業が盛んだったころ、猫はお蚕様を食べるネズミを退治するために、飼われていてとても大事にされた。農作物を食い荒らすネズミからも守ってくれた。
それが今では、「ゴミを荒らすから」「花壇に糞やおしっこをされるから」などの理由から、まるで野良猫は悪者だ。
去勢をすればそれ以上増えないから、それは猫にとってもいいだろう(幸せだろう)。と考える人も多いけれど、本当にそうかな。
「ペットショップで買ってきた猫は外に出さないでください」。
と書かれた文章を見たこともある。
それは「病気が移るから」「喧嘩をして怪我をするから」という理由もあるだろう。
 
外で暮らす猫たちの寿命はおよそ5年程度と言われている。
病気やケガや交通事故に遭って命を落とす。
産まれたばかりの子猫はすべてが大きく育つわけではなくて、弱い子猫は鳶やカラスの餌になることもあるという。
 
我が家の猫はそんな外で生まれた野良猫だ。
一匹は片目が見えない。瞬膜という膜がかかったままで先天性の病気らしい。
兄弟や親も片目が見えない猫もいて、鼻水を垂らしている猫もいる。
 
去勢手術はたぶん体力がもたないだろう。
 
そして片目の猫はある雨の強く降った次の日、家の中に入って来た。
「助けて」と言わんばかりに。
やせ細り、当時の体重は700gしかなかった。
四月に生まれたので11月にはもう7ヶ月になろうというところだったのにだ。
その日からおびえる野良の子猫を家の中で育ててきた。
最初は「人間信じちゃダメ」と教えたママ猫の言いつけを守ってなかなか私たちを信じなかった。
それでも、餌を食べ、一緒の布団の中で眠り、毎日目と鼻にお薬をつけてやってきた。
 
信じてくれた。
 
人間を信じて一緒に住んでもいいよと懐いてくれた。
姉弟の猫はまだ外で暮らしている。
そして、また次の春がきた。
つづく…。

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