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小事が大事~通塾のタイミングについて

今シーズンの受験もいよいよ終盤だ。
塾によっては明日から新学年体制に入るところもあるだろう。
地方の非塾生でも、新1年や新3年生の頃には、そろそろ塾に通った方が良いのかと思い始めている頃だろう。
が、毎年中3秋口になってからの駆け込み入塾者が絶えない。この時期からの入塾では、希望に添えない事が良くある。希望の高校、大学へ行きないと思うなら、できるだけ早い入塾を勧めたいのだが、その理由について書き記してみたい。


学習はいつから?


まず本題に入る前に、塾の先駆けともいえる寺子屋について説明しよう。
日本の民間教育機関の始まりといえば、江戸時代の庶民の子供に、読,書,算の初歩の学びを伝える私設の寺子屋があった。その起源は中世時代に遡り、寺院が庶民の世俗教育も担当し、子供たちは6,7歳ぐらいから寺院に住込んで学習生活を送ったと言われている。この学習のために寺院に住込む子供たちを寺子といい、手習い (習字) を主に学んだそうだ。寺子屋は幕末維新期には都市はもとより全国の農山村にまで広く普及し,明治初期の小学校の母体となっていく。

つまり、昔の庶民の教育は、寺子屋の習字から読み、書きを、家業を継ぐために必要な計算術として算盤など、また師に人間としての規範、道徳などを学んでいったのだ。

現代においては、公教育としての小学校、中学校は義務教育として、計9年間の学習期間を設けられ、それを受けさせる義務があり、受ける権利がある。

ならば、我々のような塾は必要ないのかといわれると、必ずしもそうではないのが現状だ。
何より江戸時代に比べて全ての物事が高度化するのに比例し、学ぶ範囲も格段に広く深くなった。
一方で皆人間の成長は一律ではない。3歳にしてひらがな、カタカナをマスターし絵本をスラスラ読めるようになるお子さんもいれば、6歳くらいでやっと自分の名前を書けるようになる子もいる。

このように、実は入学前から人それぞれの学習スタート地点が違うのだ。
このあたりでも探せば1歳頃から受け入れ可能の幼児教室や体操教室、スイミング、リトミック、習字、算盤、、と、実に沢山の学びの場はある。
我が家も習い事は生後8ヶ月から、リトミックやスイミング、親子体操、習字、ピアノ、バレエ、幼児教育のプリント学習と様々取り組み、小学校に上がる頃には小2の学習内容を終えていた。

このように、現実的に教科書内容が理解できている生徒と全く文字の書けない状況の生徒と一緒に公立小学校はスタートしている。

そうした時に問題になるのが、落ちこぼれ、浮き溢れ問題だ。
集団授業では、平均層に合わせざるを得ないので、既習の生徒には簡単過ぎるし、逆に理解が追いつかない生徒には、問題が難しすぎて、時間内に理解しきれないまま授業はどんどん進んでいくのだ。
小学校低学年のころには見かけにさほどの差は感じられなくとも、学年が進む毎に第三者から見た場合にはその差は歴然となる。
このような場合、両者共に場に適応しにくい状況になってしまうことが往々にしてある。

このような問題を解決できる一手段として、身近な塾を利用してみる事を勧めたい。
学習が遅れ気味な生徒には補習をメインに、理解できていない部分を少しでも減らし、将来的に自立していける学力を身につけることが必要だ。

また、既習あるいは一度聞いてすぐに理解できる生徒には、勉強嫌いにならないよう、先に進めたり、様々な発展学習をしながら、学年相応の規律や道徳も学びつつ、地域社会のリーダーと成り得るような教育をしていくことが望まれる。

診断テストの見方


では誰にでも分かりやすい入塾の目安あるのだろうか?

小学校の場合、定期テストというものはないので、学力の定着を判断するには、非通塾者の場合、授業内で行われるいわゆるカラーテスト、白プリなどの単元テストや、年末に行われるCRT、あるいは青森県学力診断テストが判断材料となる。
これらのテストで80点以下を下回っている場合には要注意だ。

毎回面談の度に、

小学校の頃は80点とか90点取れていたので大丈夫だと思っていた。


と言われる事が多い。8割〜9割を良い点数のように思われている保護者多数だが、実はそうではないのだ。

学校の勉強は同じ内容を次年時ではさらに難しいことを学ぶという、体系型のカリキュラムをとっている。
以下は啓林館の算数・数学の場合である。


小学校の低学年の段階で既に8割、9割であれば、そのわからなかった要素から中学、高校と指数関数的にわからない内容が増えていくため、大学受験時には取り返しがつかないところまで学力差が生じる。
すなわち8割とれていたからと言って安心はできない。さらに学力診断テストのように学習内容毎の得点が出されている場合、その項目で得点に偏りが生じている場合には要注意だ。その偏りが原因でさらなる偏りが生じ、他教科にまたがって悪影響を及ぼすのだ。

例えば、算数が100でも国語が80という場合には、そう遠くない時期から数学の文章題問題ができなかったり、理科や社会の問題や資料の読み取りができず、成績も低迷してくる。国語の学力がなかなか上がらない場合は、語彙力に問題があるのか、あるいは文法を理解していないのかということが多い。
また、他者と自分の境界が曖昧ゆえに、文章題において主観で判断してしまい、伸び悩むこともある。

こうした場合には地道に語彙を増やしていく声がけ、対話をしながら、自分の思考を言語化していけるよう働きかけていかなければならない。困難を生じている原因が、生活面にある場合にはその問題も解決していかねばならないため、短期間で能力を引き上げるのは困難だ。



仮に短期間で伸びたのは、丸暗記で対応できる内容を覚えて書けただけなので、覚えた内容を忘れてしまう頃にはまた得点は悪くなっていく。

学習の躓きというのは、こうして小学校からの何らかのバランスの悪さが影響している。成績不振の原因を探るのは容易ではない。週1回塾に来たからといって、受動的な姿勢では改善できないのだ。

躓きを感じたら直ぐに通塾を


ではいったい私は塾で何を教えているのか?と言われてしまいそうだが、私はその躓きの原因は何なのかを探り、その克服ルートを提示して生徒と共に学んでいる。どの段階で理解できていないのか、小学校の分数なのか、小数なのか、割り算なのか、掛け算なのか、足し算なのか、
それを指導中の解答の仕方を見て予測判断するのだ。テスト結果などを持参していただければ、1度授業してみてみて、原因がわかることもあるが、より正確な確定をするには20時間ほどの学習観察を要する。故に原因を予測してから正確な現状がわかるまで2、3ヶ月かかる事もあるし、1年かかっても原因を特定できないこともあった。

これまで教えてきた中で、数学につまずきのある生徒は間違いなく小学校範囲からすでに理解していない部分を放置したまま中学に進級していた。例えば関数問題から分数計算、足し算にまで戻って学習したケースもある。それは10のまとまりの概念ができていなかったためだ。
このような場合には、繰り上がり、繰り下がりで計算ミスを繰り返すので、算数からやり直さなければならない。

現在ゆとり世代と言われていた時より、教科書内容は1.3〜1.5倍の量になっている。が、中学受験文化のない地方においては、その事の深刻さに気がついていない保護者が大多数である。
我々親世代の感覚で、部活動引退後、秋から勉強すればなんとかなるということはない。なぜなら青森県は主に一年生からの学業の内申点、135点満点と、入学試験の結果500点満点との相関方式で合否を決定しているからだ。
この内申点135点が500点と同等になるので、内申点1点が、テストの4点と変わらぬ重さを持つ。
また小学校の時に学習が順調な生徒でも、その学習内容のボリュームになかなか慣れないものだ。事実これまでの経験上では、小学校時に毎日の学習習慣が全くなかった生徒が、宿題以外の家庭学習を習慣づけるまで半年〜1年、既習内容の復習に1年〜2年、入試演習に半年かかっている。

先に述べたCRTテスト等、8割以下の場合には、かなりの割合で小学校3年生あたりからの内容を復習しなければならないが、それには集団塾での授業を聴講するタイプの学習に向いていない。わかりやすく指導してくれる家庭教師、あるいは個別指導塾などで丁寧に補習しなおさなければ追いつけないままだ。
こうした事態にならないためにも、小学校からの通塾は学習ペースを習慣づける意味として勧めたい。

勉強は1日頑張ったからと言ってすぐには身につくものではなく、地道にコツコツ勉強した人が最後には抜きでてくる。最後の逆転ができるのは、実はこうして地道に積み重ねがあった場合にのみ起こりうることである。

というわけで、私と一緒に勉強してみたい生徒をお待ちしています。

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