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子どもたちの世代に負担を先送りしない土屋市長の覚悟とは~2023年12月議会①~


なぜ上田市は子どもたちのためにお金を使えないのか

(斉藤達也) 本日の午前中の質問では、財政に関して非常に聞き応えのある質問が続きました。私もそれを受けまして、自分に気合を入れて将来世代、子供たちの世代に過度な負担を残さないように質問してまいりたいと思います。
 先日、ある老朽化した子育て関連施設の今後に関する打合せの席で、小学生のお子さんを持つ保護者の方から次のような発言がありました。なぜ上田市は、これから一番大切な子供たちのためにお金を使えないのでしょうか。皆さんならこのような問いにどのように答えるでしょうか。今回は、まず上田市の財政状況の見通しについて質問し、それを踏まえ、6月議会に続き有機物リサイクル施設整備について、続いて持続可能な財政に必要な公民連携と公共施設マネジメントの推進、そして最後に、財政が厳しい中だからこそ重要な上田のまちのビジョンについて順次質問させていただきます。

上田市の一番の課題は危機感がないこと

 私は、令和元年9月の一般質問で、当時の上田市の一番の課題として危機感がないことを挙げました。その気持ちは今も変わっておりません。上田は、晴天率が高く過ごしやすい気候で豊かな自然に囲まれた住みやすいまちであり、誇るべき歴史の中からは多くの偉人を輩出してきました。特に蚕糸業が盛んで隆盛を極めた時代の進取の気性は、今の時代にも引き継がれ、市民活動も活発に行われており、魅力的な民間も存在しています。しかし、相対的に豊かなまちであるがゆえに危機感に乏しく、停滞感が感じられ、上田の持つ可能性に蓋をしてしまっているようにも感じます。あれから4年が経過し、東日本台風災害とコロナ禍を経て、以前から課題となっている人口減少、社会保障費の増加、公共施設の更新、改修経費の増加に加え、世界情勢の不安定さから来るエネルギー価格の高騰、そして気候変動による災害リスクの日常的な高まり等、さらに厳しい状況を迎えつつあります。令和元年9月の土屋市長の答弁では、危機感を持って行財政改革に努めていくことが必要である、財政状況を見える化するなど、あらゆる機会を通じて議会及び市民の皆様と問題意識を共有しながら、社会情勢の変化にスピード感を持って対応し、将来を見据えた健全な財政運営に努めていくという趣旨の答弁をいただきました。そこで、上田市の財政状況の見通しと市長の危機感について伺います。
 1点目として、令和6年度当初予算以降、当面の歳入歳出の状況を見通す中で、主な歳出増加の要因とその影響額、必要な対策はどうか。
 2点目として、市長は財政の見通しに危機感を感じているか。特に子供たちの世代に負担を先送りしない覚悟はあるか。
 以上2点お尋ねし、第1問といたします。

当面の歳出増加の要因と影響額

◎財政部長(鎌原英司君) 財政状況の見通しについてご質問いただきました。初めに、当面の歳出増加の要因7点を挙げさせていただき、影響額等についてご答弁申し上げます。なお、影響額につきましては、見込める期間で申し上げさせていただき、また流動的な要素が多い概算値となりますことをご了承いただければと思います。
 1点目でございますけれども、公共施設の管理経費の増加でございます。物価高により各種の委託費などが増額傾向にございます。また、一般会計の燃料費、光熱水費の合計を令和3年度決算と令和5年12月補正予算で比較いたしますと、エネルギー価格の上昇などにより2億5,000万円余の増となっております。
 次に2点目は、老朽化した公共施設の更新、長寿命化に係る経費の増加でございます。上田市公共施設マネジメント基本方針では、市の建築物の更新、改修に要する年度当たりの費用については、直近5年間の投資的経費の年平均約49億7,000万円余のおよそ1.5倍に当たる約72億6,000万円を要するとしております。
 3点目は、公共工事に係る費用の増加でございます。主な要因は、資材費の上昇、職人の不足、それから週休2日制の導入でございまして、週休2日制の導入については、標準的な道路改良工事などを例とした試算では、工事費が約4%程度増加すると見込まれております。
 4点目は、人件費の増加でございます。令和6年度当初予算は、5年度当初予算と比較いたしますと、現在想定する給与改定ベースでは約3億円以上が増加と見込まれるほか、定年の段階的引上げによる増加もございます。また、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給についても検討することとしております。
 5点目は、高齢化に伴う社会保障費及び扶助費の増加でございます。一例といたしまして、介護保険事業特別会計繰出金と後期高齢者医療広域連合負担金の合計は、直近10年間で5億5,000万円余増加しておりまして、今後も上昇が見込まれております。
 6点目は、公債費の増加でございます。普通会計ベースの公債費について一定の条件で推計をいたしますと、今後、市庁舎や地域自治センターの改築、改修のために発行した市債の償還が本格化することもありまして、令和4年度決算額66億4,000万円余に対して、令和8年度は70億円を超える見込みでございます。
 最後7点目といたしまして、資源循環型施設の建設に伴う上田地域広域連合負担金及び施設建設に係る周辺整備等関連事業でございます。
 以上が現時点で見込まれる主な歳出の増加要因等でございます。

実効性が問われる歳出増加への対策と歳入増加策

 次に、これらの歳出増加への対策でございますが、必要な行政サービス、事務事業を見極めた上で、増加する歳出に見合う財源を既存事業の見直しにより確保することが大変重要と考えております。令和6年度当初予算編成方針におきましても、行政改革のさらなる推進と将来を見据えた持続可能な財政運営の推進として、施設の集約、統廃合を含めた公共施設マネジメントの推進、ビルド・アンド・スクラップの視点を踏まえた全体事業費の圧縮や事業の再構築、民間活力の有効活用などを挙げております。
 また、歳入面におきましては、国や県の補助制度の有効活用はもとより、先ほど武田議員の答弁のとおり、ふるさと納税等々、様々な手法の検討、また負担金、使用料などの見直しを含む財源確保の取組をさらに進めていくことが重要と考えております。
 私からは以上でございます。

子どもたちの世代に負担を先送りしない土屋市長の覚悟とは

◎市長(土屋陽一君) 財政については、市政における重要な要素であり、私は常日頃から将来を見据えた持続可能な財政運営、健全財政の維持を心がけて市政運営に臨んでおります。しかしながら、当市の財政を取り巻く状況としましては、高齢化等社会保障費の増加、義務的経費の増加、エネルギー価格をはじめとする物価高の影響により、財政状況は厳しさを増していると認識しております。加えて人口減少、公共施設の老朽化への対応、デジタル化の加速化への対応、気候変動による災害の頻発化、激甚化、脱炭素社会の構築に向けた取組、あるいは国際情勢の変化による地域経済の影響など様々な課題に向き合い、対応していく必要があります。また、国はコロナ禍で増大した歳出構造を平時に戻すという方針があり、現行の国庫負担措置の見直しや年末の地方財政対策の動向によっては、さらに厳しい財政運営を強いられることを懸念しており、市の財政見通しについて、かねてより危機感を持って対応しております。
 一方、市政には様々な課題があります。将来世代に負担を先送りすることは許されないわけであります。子供や孫のため、人生100年時代を上田市で暮らしていく市民のため、持続可能な上田市である必要があります。そのため、限りある財源を有効に活用することが大切ですし、既存事業の見直しにも目を背けずに向き合う必要があると認識しております。そして、持続可能な財政基盤の構築を目指し、その上で市政を展開していくことは、今この時代に市政を担う私たちの使命であると考えております。
 これから令和6年度当初予算編成が本格化してまいります。限りある財源を市民の幸せのためにどう使うか、持続可能な上田市を将来世代につなげていくためにはどのような選択が必要なのか、熟慮を重ね予算をつくり上げてまいる覚悟でございますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

(斉藤達也) ご答弁いただきました。市長の覚悟をお聞きすることができました。では、それを踏まえまして次の質問に移ります。


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