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生ごみ堆肥化処理コストは年間2億2,000万円!?~2023年6月議会③~


生ごみ堆肥化の処理コストは200円/㎏→2億2,000万円/年!?

斉藤達也)次に、有機物リサイクル施設の施設整備、基本方針の一つに掲げられている効率性と経済性について伺います。まず、生ごみの堆肥化は、できた堆肥をいかに流通させるか、つまり堆肥の質の担保が非常に重要であると言われています。現在検討が進められている有機物リサイクル施設は、上田地域の用途地域及び人口集中地区の自治会等の家庭から出る生ごみ1,100トンに加え、牛ふん772トンが搬入される計画であり、堆肥生産量は350トンと想定されています。既に家庭系ごみの排出量の少なさは全国的にも上位に位置している中、高齢化の進展に伴い、現在でもごみの分別にご苦労されている世帯も少なくない中で、新たに生ごみの分別に協力していただくことが必要となります。また、生ごみを牛ふんと混ぜて生産することで堆肥の質を担保するというのはよく理解できますが、持ち込まれる牛ふんは、現在既にJA信州うえだ塩田堆肥センターに搬入されている牛ふんとのことであり、そこで生産された堆肥はスーパーコンという商品名で40リッター、15キロ510円、キログラム当たり34円で販売されています。また、生ごみの堆肥化のコストについては、令和3年12月議会で近隣自治体の生ごみリサイクル施設のコストと費用対効果等について私が質問した際の答弁では、東御市の同様の施設の1トン当たりの処理費は、初期費用とランニングコスト等から算出すると20万円程度、キログラム当たり200円とのことでした。これに対し、上田クリーンセンターのごみ焼却費は、老朽化が著しく修繕コストもかかるため、全国的に見ても高いほうですが、それでも焼却費はキログラム当たり20円前後です。つまり東御市の施設の場合は、上田クリーンセンターの焼却費の約10倍のコストがかかっているということになります。仮に東御市と同等の処理費がかかるとすると、上田市の生ごみの処理量年間1,100トンの計画に対し、2億2,000万円のコストがかかるということになります。
 そこで伺います。1点目として、ごみの分別に苦労している高齢者世帯が多い中、生ごみの分別についてどのように理解と協力を得ていくのか。
 2点目として、有機物リサイクル施設で生産する堆肥の原料として、既に民間で堆肥化され販売されている牛ふんを搬入するとのことだが、その理由は何か。また、経済性は考慮しているのか。
 3点目として、東御市の生ごみリサイクル施設の処理費は、キログラム200円程度と見込まれており、これは上田クリーンセンターのごみ焼却費約20円の10倍である。上田市の有機物リサイクル施設の処理費が東御市の施設と同等であると仮定した場合、経済性を考慮していると言えるか。
 4点目として、市の財政状況がますます厳しくなる中、有機物リサイクル施設整備に係る施設建設費やランニングコストを抑えるため、どのような検討が行われてきたか。
 また、現時点での施設建設費等の概算、市の財政への影響はどうか。今後、どのようにコストの精査を進めていくか。
 以上4点お尋ねし、第3問といたします。

生成した堆肥は一定期間は周辺地域の皆様への(無償で)提供

環境部長(田中義明君) 有機物リサイクル施設の効率性と経済性について何点かご質問いただきました。
 ごみの減量、再資源化を推進する上で、生ごみを燃やさずに資源化することは、焼却により発生する温室効果ガスの排出量を減らし、地球規模の気候変動対策に効果を上げることや、限りある貴重な資源を循環利用することなど、持続可能な社会の実現に向けた取組となります。このため、市では令和2年8月に生ごみリサイクル推進プランを策定し、全市域で生ごみの自己処理を基本的な取組とした上で、畑などがなく自己処理が難しい上田地域の中心市街地や丸子地域の建設予定地周辺自治会を対象に分別収集を行い、有機物リサイクル施設へ受け入れる計画でございますが、自己処理が可能な世帯は引き続き自己処理を行っていただくこととしております。高齢者世帯など分別に苦労されている世帯に協力を強制するものではありませんが、できる限り分別へのご協力をお願いしてまいりたいと考えております。
 また、これらの課題につきましては、現在、有識者や自治会関係者などによる有機物リサイクル推進会議を立ち上げてご検討いただいておりますので、生ごみの分別方法などとあわせて、よりよい方法について協議してまいります。
 次に、有機物リサイクル施設の整備に当たっては、地域の有機物を資源として循環利用し、化学肥料に頼らない有機肥料の推進と地域農業の活性化などにつなげるため、施設を循環の拠点とすることを目的としております。
 牛ふんを搬入する理由でございますが、1つは副資材として施設に隣接する民間の牛舎から排出される牛ふんを受け入れることで、運搬費も抑制でき、地域の有機物の循環利用が実現できることが挙げられております。
 また、全国の事例では、家庭から排出される生ごみ主体の堆肥化施設においては、生成した堆肥の質が悪く、引き取り手もなく、ストックがされた状態になってしまうことが大きな課題となっております。
 受入れにおきましては、計画当初からこの牛ふんを受入れ、堆肥化しているJA信州うえだや隣接する牧場経営者とも協議を進めております。市の有機物リサイクル施設整備の取組にご理解をいただき、現在快諾をいただいているところでございます。生成した堆肥は、地域農業の振興、活性化につなげるため、一定期間は周辺地域の皆様への(無償で)提供をしてまいりますが、堆肥の生産が順調に進みましたら、施設運営や経済面の観点などから有料化も検討してまいります。

200円/㎏の堆肥化コストでも、事業費に表すことが難しい様々な効果が見込まれる

 次に、基本設計におきまして、効率性と経済性を考慮した施設を基本方針の一つとしております。東御市の施設については、施設整備費とランニングコストである運営費15年間を合計したものを、計画する生ごみ処理量で割った数字が処理費キロ当たり200円と算出したものであり、上田クリーンセンターの焼却費キロ20円は、建物の整備費等(※減価償却済)は含んでいない数字でありますので、単純に比較することは難しいものと考えております。仮に上田市の有機物リサイクル施設の処理費を東御市と同様の15年のランニングコストで比較した場合は、東御市と同額程度と見込んでおります。焼却による処理費と生ごみのリサイクル費用は、比較すると生ごみリサイクル費用が割高になります。
 しかしながら、有機物リサイクル施設による堆肥化の効果といたしましては、化学肥料に頼らない有機肥料の推進、農業の活性化、さらには温室効果ガスの発生抑制、堆肥の地域内循環による経済効果、最終処分場や焼却量削減による焼却施設の延命化など、事業費に表すことが難しい様々な効果が見込まれると考えております。

建設費16億円、維持管理費年間6,500万円は市の財政に与える影響が大きい!

 次に、上田市では施設整備をするに当たり、令和3年度から4年度にかけて従来の事業方式である公設公営方式と、公共が資金調達を行い、民間事業者が施設設計や建設、運営を行う公設民営となるDBO方式等を比較検討するPFI等導入可能性調査を実施いたしました。調査においては、ライフサイクルコストの最適化の観点から、参画を想定するプラントメーカー等に対して、保有技術や運営のノウハウを活用したDBO方式などの事業方式の導入の可能性の意向調査、意向を示す3社へのヒアリングを行い、事業方式の検討を行ってまいりました。調査の結果、公設公営方式と比較して建設費やランニングコストとも経済的に有利となることから、事業手法はDBO方式を採用とすることとしたところでございます。現時点の施設建設費の概算でございますが、3社のヒアリング調査において最も高額な見積りで建設費が16億円、維持管理費が年間6,500万円となっております。市の財政への影響でございますが、有機物リサイクル施設建設と並行して、今後公共施設等の建て替えなど、高額な事業費が必要となる事業も控えており、大きな影響を与えることが予想されます。施設建設の事業選定に当たりましては、総合評価落札方式、または公募型プロポーザル方式を採用する予定でございます。両方式も価格のほか、価格以外の条件や施設の性能、機能、維持管理を含むコスト削減、環境への配慮等を加えて総合的に評価し、落札者を決定するものであります。有機物リサイクル施設の建設コストにつきましては、施設規模などの精査を再度行うとともに、経済性の評価を明確にするなど、今後の事業者選定において検討を進めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

(斉藤達也)ご答弁いただきました。前提を含め、ぜひ精査をお願いします。

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