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財政が厳しい中、公共施設経営を具体的にどうしていくのか~2022年12月議会③~

財政の見通しが本当に厳しい中、着実にハコモノ(の面積)が増えている上田市。その維持管理の掛かる費用もまかなえる状況ではないこの状況に、強く危機感を感じています。教育や医療、福祉等々、限られた財源の中でやるべきことはたくさんあります。

上田リバース会議及び職員向け公共施設ファシリティマネジメント研修の学びを具体的な施策に反映できるか?

(斉藤達也君)11月20日の上田リバース会議で登壇された倉敷市の三宅香織さんは、翌21日に市の施設所管課の職員さんを対象とする公共施設ファシリティマネジメント研修でも講師を務められました。約15年ほど前から公共施設のファシリティマネジメントに取り組み、財政にコミットした公共施設経営を実践してきた方から提示された具体的な実践事例は非常に多くの示唆を得られたと思います。特に職員さん自ら現場を周り、施設カルテを充実化し、長期修繕計画や人件費を含めたフルコストを算出したこと、そして限りある予算の中で施設の優先度判定を数式化して見える化したこと、さらに長期契約やESCOの導入などにより維持管理費を大幅に削減したことなど、本当にすばらしい取組が印象に残っています。
 リバース会議のアンケートでは、上田市でも公共施設のファシリティマネジメントをこれまでより積極的にスピード感を持って進めるべきだと思いますかという質問に対し、やるべきとの回答は100%でした。そこで、まず公共施設のマネジメントの推進について伺います。
 1点目として、11月20日に開催された上田リバース会議及び翌21日に開催されたファシリティマネジメントに関する職員研修では、具体的な施策例が数多く示されたが、来年度の公共施設マネジメントの推進に向け、施策にどのように反映していくか。
 2点目として、公共施設マネジメントを推進するため、実績のある講師を参与職、参与等の職として迎え、伴走型で携わってもらうことを検討できないか。
 以上、2点お尋ねし、第5問といたします。

まずは施設情報の一元管理や職員の意識改革から…

◎総務部長(倉島弘一君) 11月20日に開催された上田ビジョン研究会が開催する上田リバース会議では、市内に居住する方や通勤通学する方などを対象に、講師のNPO法人の理事で倉敷市教育委員会参事の三宅香織氏から、今まで取り組まれてきた公共施設経営や公民連携による赤字施設の再生事例などのお話をお聞きしながら、よりよい公共施設経営と公民連携による上田づくりについて、参加者全員で考える会議が開催され、翌21日には前日の会議で講師を務めた三宅氏をお招きし、自治体の土地、建物などの施設を有効活用し、自治体として適切なサービスの提供を目指す活動、ファシリティマネジメントに関する職員研修を開催し、施設の所管課職員や希望する職員52名が受講いたしました。
 研修では、収集した施設情報を活用し、施設改修の優先度を客観的な情報により判断したり、長期修繕計画を定めて公共施設整備基金積立金を創設するなど、施設情報の分析と活用の重要性について触れられておりました。市の現状では、保有する施設情報を十分に活用できていないことから、今後の施設情報を一元管理し、施設の現状把握に努め、維持管理費の削減のための見直しや施設の在り方の検討、改修や整備計画に活用できるよう施設情報の整備にまずは努めてまいりたいと考えております。
 次に、先進自治体の取組や事例を学ぶことは、同じ公務員である職員にとって大変参考となり、今後も職員の意識改革を図るため先進事例を学ぶ取組は継続して行ってまいりたいと考えております。この取組により、職員が感じている疑問や取り組んでみたい事柄を公共施設マネジメントの担当課である行政管理課において吸い上げ、実行するためには何をすればよいのか共に考え、実行に向けて道筋を立てる取組も同時に行ってまいりたいと考えております。このように施設情報のデータベース化や職員の意識改革など、内部で取り組むべき課題があることから、現時点においては実績のある方を参与等の非常勤職員として任用することは考えておりませんが、実績のある方を研修講師にお招きした場合には、そのご縁を大切にし、引き続き助言や指導をいただける関係を構築してまいりたいと考えております。
 以上です。

(斉藤達也君) ご答弁いただきました。公共施設マネジメントを本気で取り組んでいくかどうかという話なのです。施設数は少なくなっても面積は増えて、それでさらに新しい公共施設を造ろうとしている現状の中で、そういうご縁を大切に、どれだけ本気で今からやっていくことができるか、それが本当に私は重要だと思っています。 

公民連携による地域課題解決の実践のために何から取り組むか

次に移ります。私が今通っている都市経営プロフェッショナルスクール、そちらでは公共施設の今話が出てきたファシリティマネジメントだったり、あと極力補助金等に頼らずに持続可能な体制でPPP、公民連携によって地域課題を解決することだったり、さらには赤字の施設を稼げる施設に転換していく、そういった実践事例を数多く学んでいます。少子高齢化、人口減少、社会保障費の増大に加えて、気候変動があって、大規模な自然災害リスクが年々高まってきて、いまだにコロナ禍が拡大してエネルギー価格まで高騰してきて、こういう状況の中で財政の見通しが非常に厳しいというのは誰もが見ても明らかだと思っています。
 そういった中で、民間の教育機関に職員さんを派遣するなどして、そういったお金をかけずに規制緩和で民間とともに公民連携で町を豊かにしていく。そういった先進事例をしっかりと学んで、その一方でしっかりと厳しい現状を市民の皆さんに共有して、よくスクラップ・アンド・ビルドといいますけれども、ビルドのほうだけではなくて、スクラップのほうも本当に進めていかないと、上田市政、前に進めることはなかなか厳しい、そういうところまでもう来ていると私は感じています。
 あと、SDGsに関しては、上田市はSDGsの未来都市に選定されましたが、やはり公共施設のファシリティマネジメントの研修でも分かるとおり、まずは職員さん自らしっかりとそういったSDGsの取組等について、その意義について学ぶことがまず最初の一歩だと思っています。大きな壮大な目標はあるかもしれませんけれども、そういったゼロカーボンとか公共施設ファシリティマネジメントだけではなくて、SDGsのような課題だって、まずはちょっと足元のところから先進事例とかを学んでいくことが大切だと思っていますので、そこについて伺います。
 まず、1点目として、市の重点施策や地域課題を解決するために、公民連携によるまちづくりは有効だと考えるが、公民連携に関する技術を習得し、実践していくため、どのような取組が検討できるか。
 2点目として、SDGs未来都市に関する将来ビジョンを具体的な施策に反映していくため、まずは先進事例等を学ぶための職員研修が必要と考えるが、検討できないか。
 以上、2点お尋ねし、第6問といたします。

◎総務部長(倉島弘一君) 私からは、前半のほうのご質問にお答えいたします。
 公民連携に係る取組は、自治体と民間事業者が連携して公共サービスの提供を行い、社会経済情勢の変化や住民の暮らし方の変化によるニーズの多様化に対応するため、自治体が民間事業者の知識や技術を活用して公共サービスを継続的に実施していくものであり、今後予想される厳しい財政状況を乗り切り、将来にわたって持続可能なまちづくりを進めていくためには有効な手段だと考えております。第四次上田市行財政改革大綱においても、限られた資源を有効活用する民間活力の導入を定めており、積極的な取組を行う必要があるものと認識しております。しかしながら、この取組は職員のアイデアだけでは足らず、既存の枠組みを突破する熱意や法知識、実行に結びつける説得力や民間事業者と協働して行う実行力など、多くの能力を職員に求められるため、職員にとっては乗り越える壁が多い取組であると感じております。また、公民連携に関する取組を行わなくとも、今までどおりのやり方でそこまでやらなくてもよいのではないかとの意識により、積極的な取組に至らないことも大きな要因であると考えております。
 このような状況を踏まえ、まずは職員が先進自治体の取組や事例を学んで公民連携の取組を認識し、自らの業務の課題に対し先進自治体はどのような方策で立ち向かっているのかを知ることによって職員の意欲を高め、公民連携の取組に対する意識改革をまずは図ってまいります。議員ご指摘の公民連携に係る技術の習得、実践につきましては、職員の意識改革の取組の中、公民連携の取組を基礎から実践まで体系的に学べる機関での受講や、その取組を支援してくれる団体との協働を検討してまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

◎政策企画部長(大矢義博君) 私からは、SDGsに関する職員研修についてでございます。
 SDGsの実現に向けた取組の推進に当たりましては、各部局の職員一人一人がSDGsの目標、理念を理解し、市民や企業の皆様との協働の視点も持ちながら、自分事として施策の推進を図る必要があります。そのためには、議員ご指摘のとおり、まずは職員一人一人のSDGsに関する知見の共有や意識啓発を図る研修が重要でありますので、外部専門家の活用を検討しながら、計画的に職員研修の機会を設けてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

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