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【資格】日商簿記2級 ネット試験 CBT 合格体験記 独学で効率的・効果的な勉強法 問題集 参考書 まとめ

▶日商簿記のネット試験 CBTとは

●CBTとは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略称で、従来から実施されている紙試験ではなく、コンピュータを使ったネット試験方式のことです。

●CBTの試験会場となるテストセンターも全国に数百か所あり、1年間(ただし一部休止期間あり)を通じて自分の好きな日時で受験できる(かつ、3日前までなら日時変更が何回でも可能)のがメリットです。

日商簿記でも2級と3級でCBTが導入されており、今回、私は、日商簿記2級のCBTを受験し、無事合格しましたので、効率的な勉強方法やおすすめの問題集、参考書に加え、CBTの特有の注意事項を書いていきたいと思います。

▶簿記2級の問題構成・出題内容

○問題構成・配点・出題内容
●第1問 【配点20点】

商業簿記の仕訳問題(5問)
●第2問 【配点20点】
連結会計(連結精算表・連結財務諸表)、株主資本等変動計算書、銀行勘定調整表、商品売買、外貨建取引、有価証券、固定資産、リース取引、課税所得の計算、税効果会計、企業合併・企業買収
●第3問 【配点20点】
財務諸表・精算表の作成
●第4問(1)【配点12点】
工業簿記の仕訳問題(3問)
●第4問(2)【配点16点】
総合原価計算(単純・工程別・組別・等級別)、個別原価計算、部門別計算、標準原価計算(損益計算書の作成・勘定記入)
●第5問 【配点12点】
直接原価計算、CVP分析、標準原価計算(差異分析)

○問題を解く順序のおススメ、時間配分の目安
(1) まず【30分】で工業簿記を以下の順番で解く。

第4問(1)   【5分】
→ 第4問(2)【15分】
→ 第5問  【10分】

(2) 次に残り【60分】で商業簿記を開始。第2問・第3問にそれぞれ25分割り当てられればベスト。
  第1問【10分】
→ 第2問【25分】
→ 第3問【25分】

▶簿記2級CBT(ネット試験)合格に向けた戦略

(1) 標準問題を一発で正確に時間内に解く力をつける
●紙試験の第157回(2021年2月28日施行)までに比べ、試験時間も120分から90分へ短縮され、難問は出題されない傾向のようです。

●一方で、問題は相当量が出題され、90分という試験時間では見直し時間が十分に取れるわけではないので、各分野の標準レベルの問題を、見直し時間なしで、一発で正確に時間内に解く力をつけることが重要です。

(2) とにかく仕訳重視
純粋な仕訳問題(第1問、第4問(1))だけで配点が32点もあります。合格は70点以上ですから、仕訳だけで合格点の5割近くを稼ぐことができます。

●しかも、第2問、第3問における[資料]や[決算整理事項等]の与件文についても、仕訳の基礎知識がないと正しい勘定科目を使う・正しい数値計算を行うことができません

「仕訳を制する者が簿記2級を制する」の言葉どおり、仕訳を正確に素早くできることが合格への近道になります。

(3) CBT特有の解き方に予め慣れておく
●CBTでは、問題文はコンピュータ画面で表示されるため、余白に仕訳・計算をメモすることはもちろんできません。よって、(私もそうでしたが)これまで紙の試験で問題用紙の余白に計算結果や仕訳を記入していた方は、CBT特有の解き方に変更する必要がありますので、注意が必要です。

また「持ち込めるものは電卓のみ」で、また会場で貸与されるのは「黒ボールペン1本、A4用紙2枚」のみですので、もしメモ用紙に数字を書き間違えても消せません。また、メモ用紙も枚数が限定されています。

●このことから、普段の自己学習のときから
 ①計算過程や仕訳はA4用紙の白紙に記入するようにする。用紙は、縦半分の折り目をつけスペースを有効活用する
普段から黒ボールペンを使って勉強し書き間違えたら黒塗りし書き直す
 ③問題を解くときには時間を測る
 (例)商業簿記の仕訳問題は5問を10分以内で回答する
ことが重要だと思います。

▶役に立った問題集・参考書・アプリ・勉強方法

(1)『パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 シリーズ』★★★★★

パブロフ流 日商簿記2級 シリーズの書籍は全部で4種類あります。
 ①『商業簿記 テキスト&問題集 2022年度対応版』
 ②『商業簿記 総仕上げ問題集  2022年度対応版』
 ③『工業簿記 テキスト&問題集 2022年度対応版』
 ④『工業簿記 総仕上げ問題集  2022年度対応版』

●このシリーズの特長は、解いていく際の「下書きがステップで記載」されていたり、実際に問題を解いている様子を「動画で解説(一部のみ)」しているので、このとおりに解いていけば問題が解けるというのがイメージしやすいことです。

●テキストには、親しみを持ちやすいようにパブロフの漫画が描いてありますが、それが分かりやすいと思う人もいるとは思います(が、私はすべて読み飛ばしていました(笑))

(2)「パブロフ簿記アプリ」★★★★☆

● 最新(2021年度改定)の試験範囲に対応した343問の仕訳問題があり、頻出問題から稀頻度の問題まで、幅広く掲載されています。

●スマホのアプリなので スキマ時間に簡単に勉強できます。勉強しないといけないのについスマホを見てしまう人も、スマホにアプリを入れていれば、簿記の勉強をしないと・・・と感じると思います。

●解答だけでなくわかりやすい解説がついていますので、参考書無しでもある程度、学習が進められます。

レベル別、分野別、ランダム、ミスのみ、vマークのみなど、色々な方法で学習を進められます。例えば、弱点分野を「分野別」で補強したり、間違えた、曖昧なものにvマークをつけておいて、もう一度復習する等の使い方ができます。

「入門」問題があるのですが、これが実は第2問、第3問を素早く解くための前提知識として役に立ちます。「入門」問題は、「勘定科目がB/SやP/Lのどこに該当するか?」をひたすら答えさせる(96問)ものです。例えば、「売買目的有価証券は流動資産で、その他有価証券・満期保有目的債券などは投資その他の資産」や、「のれん償却は販管費、負ののれん発生益は特別利益」など、各勘定科目がB/SやP/Lのどこに該当するかが条件反射的にわかっていると、第2問や第3問の数値を計算・入力するときに、すぐに該当箇所に目が行くようになり、時間短縮が図れるようになります。

アプリの購入特典として、実践問題の無料ダウンロードや、ネット試験の模擬問題が利用できます。

(3) 「簿記検定ナビ 簿記2級 重要仕訳TOP100」★★★★★

重要仕訳TOP100を無料で解くことができます。しかも解説が丁寧で分りやすいです。

●このTOP100を間違えないように解けるようになると、仕訳で高得点を獲得することができるようになり、自信が持てるようになります。

●簿記検定ナビには、出題予想やオリジナル予想問題の「簿記ナビ模試」も公開されており、実際に解いてみることで、本番の出題のイメージが実感でき、とても役に立ちました。

(4) 『【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき』氏の動画★★★★☆

色々な簿記のテキストで挫折した人、なぜそうなるのかわからずとりあえず暗記することで終わらせてた人、そういう方がこの動画を見ると、腑に落ちる、目から鱗が落ちるような解説がたくさん含まれていると思います。今回、簿記2級の曖昧な、うろ覚えの知識を解消できたのは、この動画をひととおり見たからと言っても過言ではありません!

●この動画、とても理屈っぽいので、合う人合わない人いると思いますが、個人的にはとても相性が良くて、分かりやすくて(しつこくて)、特に以下の動画はとても分かりやすかったです。
経過勘定(未収、未払、前受、前払)の説明
小切手の振出、取付、取立、資金移動の話
○固定資産の「改定償却率」の説明
(0.5なら最後の2年、0.334なら最後の3年で均等償却という意味)
連結決算全般

●YouTubeなので無料なのはとてもうれしいのですが、何せ「長い!」のが弱点です。30分~1時間の動画が何本もアップされているので、ひととおり見るだけでも相当の時間がかかります。私はずっと1.5~1.75倍速で見ていました。

●またYouTube動画なので、目次から章ごとの該当の箇所へジャンプできる仕組みもなく、「○○の解説動画は、どの動画の、どの時間から始まるのか」が非常に探しにくいです。私は大事そうなページはスクショをとっていたのですが、スクショだけでも千数百ページになってしまい、結局、ほとんど見返すことはなかったので、このやり方については、もっと効率的な勉強方法があったのかもしれません。

(5) 電卓『シャープ EL-G37』★★★★★

●日商簿記・税理士・公認会計士・不動産鑑定士の資格を取得する人向けに、簿記や商業計算の勉強をする人のために開発された電卓です。
●電卓は、シャープ製とカシオ製のどちらかに好みが分かれますが、私個人はこの電卓を購入して良かったと思っています。

(6) 『パブロフくんと学ぶ電卓使いこなしBOOK』★★★★☆

電卓の便利な使い方、機能を紹介している本です。乗数計算、日数計算、メモリーキー、GT、カウンター表示機能など、知っていると知らないのでは差がつく内容が色々書いてありますので、ご一読をお勧めします。

▶CBT(ネット試験)受験本番でのコツ

(1) 試験開始前

●テストの準備、心の準備ができ次第、自身のタイミングで試験を開始することができます

●テストセンターでは、デスクトップ型パソコンと大画面ディスプレイ、外付けキーボード、マウス、広めのデスクが用意されていると思いますので、キーボード、マウス、電卓、A4用紙の置き場所を決めます。

A4用紙2枚は、縦半分に折り目を入れて、スペースを有効活用できるようにしておきます。

●キーボードで使うのは、基本的には「数字(右側のテンキー部分)」と「削除(Delete/Back Space)」だけです(私はTABキーは使いませんでした。)ので、位置を確認し、正しく入力・消去できるかを確認します。テスト開始時にユーザーIDとパスワードを入力する必要があるので、その際に、数字が正しく打てるか、削除できるかを合わせて確認しましょう。

(2) 試験開始直後

「試験開始」ボタンを押すと、試験が開始され、タイマーが90:00からカウントダウンされていきます。

あらかじめ決めておいた問題順に解き始めます。
(例)第4問(1) → 第4問(2) → 第5問 → 第1問 → 第2問 → 第3問

●「最初にざっと全問目を通してから解答する派」と「最初に全問題は見ずにあらかじめ決めておいた問題順に解く派(私はこちらです)」がいると思いますが、私は、最初に全問題を見てしまうと、苦手な分野の問題が出題されていた場合、それが気になって問題を解くスピードが鈍る傾向があるので、そうしていました。

(3) 試験中 ~操作編~

●試験中のキーボード・マウス操作ですが、
 ○キーボード = 数値の入力
 ○マウス   = 「勘定科目」や「有利・不利差異」の選択
を行うことになります。

●金額を入力する際には、「数字のみ」を入力します。文字(千、万など)や¥マーク等を入力すると不正解となります。カンマは自動的につきます(入力する必要はありません)。また0の数を入力し間違えないように、数字入力の際はカンマの位置で一呼吸置く等の工夫をしました。

仕訳問題(第1問、第4問(1))における各設問の解答にあたっては、各勘定科目の使用は、借方・貸方の中でそれぞれ1回ずつとする必要があります(各設問につき、同じ勘定科目を借方・貸方の中で2回使用すると不正解になります)。

(4) 試験中 ~時短テク編~

CBT受験のときは、
 ①コンピュータ画面で、数値や条件を、確認する
 ②A4用紙に、    数値や条件を、メモする
 ③電卓に、      数値を、   打ち込む
 ④A4用紙に、    計算結果を、 メモする
 ⑤コンピュータに、  解答を、   入力する
というステップで問題を解いていくことになります。
しかし、全ての問題でこのとおりに実施していくと、おそらく時間が足りません。

●そこで私が実際にやっていた時短テクニックをいくつか紹介します。
○仕訳問題(第1問、第4問(1))
簡単な計算の場合はA4用紙は使わず、直接電卓で計算をするという、以下の3ステップで問題を解くことで時短をしました。
 ①コンピュータ画面で、数値や条件を、確認する
 ③電卓に、      数値を、   打ち込む
 ⑤コンピュータに、  解答を、   入力する

○工業簿記(第4問(2) 、 第5問)
簡単な計算の場合はA4用紙は使わず、直接電卓で計算をすることで、時短をしました。

○商業簿記(第2問)
・例えば「連結決算」が出題された場合、採点の対象になるのは「連結財務諸表」の欄だけで、「修正・消去(借方・貸方)」の欄は採点対象にはなりません。つまり、「修正・消去(借方・貸方)」の欄には何も数字を入れなくても、一番右側の列の「連結財務諸表」の欄の数字さえ合っていれば良いということです。そのため、時間短縮の観点から、修正・消去の欄はわざわざ数値を記入せず個別財務諸表の和(P社+S社)を計算した後、ある数字を足すのか、引くのか、そのまま記入するのかを頭の中で整理・確認し、電卓で計算した後、計算結果の数値は「連結財務諸表」の欄だけに入力していました。

○商業簿記(第3問)
・例えば「損益計算書」だけが出題された場合、裏を返すと「貸借対照表」に出てくる勘定科目の仕訳まで下書きに正確に書く必要はないということです。
・そうなると「損益計算書」の上から順番に見ていって、「まずは『売上』だな。次に『売上原価』の項目に関係しそうなのは、『繰越商品』『仕入』『期末商品』『棚卸減耗損』『商品評価損』だけど、該当する数値・条件文はどこに書いてあるかな?」と検討をつけて、決算整理前残高試算表や修正事項、決算整理事項のうち関係する部分をピックアップすることができます。

(5) 試験終了時

●自分で画面右下の「試験終了」ボタンを押すか、タイマーが0になると試験終了となります。

●その場で、第1問~第5問と合計の得点と合否結果が表示されます。得点・合否結果と、デジタル合格証のQRコードをプリンタに印刷指示し、試験を終了して、教室を出ます。

●結果表示の瞬間はとても緊張しましたが、合格していました! 簿記2級のCBT受験後の感想ですが、無事合格できて、とにかく安心しました。

●合格証書は、以下のような「デジタル合格証書」となります。

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以上の内容が、皆さまの簿記2級の勉強方法や合格に向けて、少しでも何かのお役に立てれば幸いです。

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