見出し画像

1型糖尿病③~受診、そして入院~

この記事はわたくしうえこの、1型糖尿病発症前からのレポートです。
前の記事はこちらからどうぞ

1型糖尿病①~序章~
1型糖尿病②~予兆~

マガジンにもまとめたよ!まだ2本だけどまとめると読みやすいよね。
うえこの1型糖尿病(IDDM)レポート

さて。
前回、糖尿病内科クリニックを受診する直前まで書きましたので、今回は受診してそれからどうなったかを書いていきたいと思います。

朝イチの受診

7時に起きて、前日の朝に半分だけ食べて残したメロンパンの残りを、朝食に食べた。
実はあまり食欲はなかったけれど、甘いものが食べたかったのかもしれない。

8時に病院に着いたが開いておらず、8時10分くらいに病院の関係者の方がきたが、
「8時20分まで待っててね」
と言われてしょんぼりした。
まあ、診察時間は8時30分からなので仕方ない。
30分前から受付してもらえると思ったのが間違いだった。

8時20分になりやっと「準備中」の札が外され、受付で初診の申し出をし、問診票を書いた。
受付の時のことはあまり覚えていないが、
2018年5月の健康診断の結果の控えと、
Twitterを遡って7月下旬からの身体の異常について時系列にまとめた紙を持参していた。
自分で言うのも何だけど準備に余念がない。

さて問診票を記入し、喉の乾きと頻尿の症状を伝えると、紙コップを渡されて、採尿を促される。
はい、やらかしました。
採尿するなんて思ってなかったんですよ。
外出前にはトイレは済ます、これ鉄則。
出ません。

家を出る前、7時55分頃、済ませました。
ただでさえトイレ近いのに。
30分くらい経ってるけどその間水分とってないので、出ません。

苦笑いを浮かべながら、すみません済ませてきちゃって、となんだかとっても間抜けなことを報告し…
待合室にあるウォーターサーバーからガブガブ飲んで尿意を待つという。
なんだか妙な時間を過ごした。
ただ尿意を待つのもなんなので、採血と体重を測ることに。
驚いたのが、体重が、一昨日自宅で測ったのより、2キロ近く減っていたのだ。
私このまま体重が減り続けて消えてなくなるんじゃ…と思った。

血糖値とHbA1c

ようやく尿意がきて、採尿をすることが出来た。
そして名前が呼ばれて、いよいよ診察室に。
先生は石坂浩二に似ていた。
にこにこと優しそうで、なんだかほっとした。

挨拶もそこそこに、持参した紙を先生の前に広げた。
そう、健診結果の控えと身体の異常について時系列にまとめた紙だ。
先生にそれを見せながら、
「知り合いが糖尿病に近い症状だから病院に行ったらいいよって言うもんだから、来ました」
と説明すると、先生はにこにこしながら
「あー、これはいいね、メモしてすごいね!」
としきりにほめてくれた。
嬉しい、私、ほめられて伸びるタイプなので、もっとほめてください。
というのはさておき。
採血と採尿の結果がもう出てて、先生は言った。
「えーとね、血糖値、これが、正常な人は80~110くらいなんですけどね、
うえこさんは、496です」

496???

正常な人の、約5倍?

私、何て答えたかというと
「わーお」
ですわ。

それで、HbA1cは11.2。
もう完全に、異常です。

先生、私の持参した紙を見ながら、だいたい1ヶ月の身体の異常でについて、
「こんな状態で、身体、しんどかったでしょう?」
って。
石坂浩二によく似た、優しい顔でニコニコと。
先生、私、ほんと、すっごく、しんどかった。
ちょっと睡眠不足が続いてて
ちょっと疲れてて
ちょっと疲れが全然とれなくて
あー、しんどかったんだ。

先生は、私の身体かしんどくてしんどくて、異常な状態だって、わかってくれた。
私の目にはほんとに涙がにじんだ。
涙がこぼれないように何度もまばたきをした。

「それでね、うえこさん」
石坂浩二が、
いや、先生が話を続けた。
「すぐ入院してください」

すぐ。だと???

つまり、うえこの身体では、血糖値を下げる働きをするインスリンというホルモンが分泌していない状態であろう、と。
それを詳しく検査するためにもそうだし、
まずは血糖値を下げる処置をしないといけないから、入院しないといけないんだけど、このクリニックには入院施設がない。

それで、二ヶ所の大きな、入院施設のある病院を紹介するので、今すぐ行くようにと。
ひとつは市立病院前
もうひとつは医療センター
私「どっちがここから行きやすいですか?」
大事なことだ。
今すぐ行けって言うんだもん、行きやすい方じゃないと無理。
看護師さんが代わりに答えた。
「医療センターなら、すぐそこのバス停から行けますよ、バスも本数多いし」
なら医療センターで。
先生はその場ですぐに医療センターに電話をかけて、入院が必要な患者がいるからすぐに診てくれと。
午前の診療時間に間に合うように向かわせるというような事を話していた。

あれよあれよと話が進んだ。

医療センターへ

クリニックで会計を済ませると、一度帰宅とかはしないでとにかく今すぐ医療センターへ向かってくれと言われ、バス停に急いだ。
バス停が近くてよかった。
その時、午前9時を少し過ぎていた。
クリニックを受診してわずか30分程度しか経っていなかった。

バスの中で、私は少し混乱していた。
入院だって?マジか~
えー、どんくらいの日数なの??
あ、会社に電話しなくちゃー
うわー

9時半過ぎに医療センターについたので、入る前にとりあえずと、上司に報告の電話を入れた。
この日、クリニックを受診後に出勤する予定だったからだ。 
「なんか入院になるっぽいです、大きい病院を紹介されて今ついたとこなので、検査が終わったらまた電話します」
簡潔に伝えたら、上司は少し驚いて、わかったと答えた。
まあそれくらいしか答えれないよね。

医療センターの受付で紹介状を渡すと、再び問診票を書かされた。
それから担当の科の待ち合い所で、呼ばれるのを待ったのだけど、かなり長いこと待たされることになる。
たくさんの科のある大きな病院だ。
受診者も多いからそういうものなのかもしれない。
それにしたって、10時前に受付をして、名前を呼ばれたのは11時くらいだ。
正直なところ、眠いしだるいし疲れてるしでしんどかったのだけど…

やっと呼ばれて診察室に入ると、ロマンスグレーのおじさんがニコニコして座っていた。

ロマンスグレー先生だ。
クリニックには石坂浩二似の先生がいたことを思い出してなんだか面白い気分になった。
ロマンスグレー先生も、石坂浩二先生と同じように、
「即入院してもらいます」
と言ったし、こんな状態で、身体こわかったでしょ?
と言ってくれた。
「こわかった」というのは北海道独自の言い回しで、「しんどさの極み」みたいな意味だ。
私はここでも涙ぐんだ。

いざ、入院

診察を終えると、入院についての説明を受けることになった。
入院のしおりを渡され、一度荷物を取りに帰宅してもよいと言われた。
と言うか、クリニックで石坂浩二似の先生から、
「一度荷物を取りに帰りたい」と言えば帰らせてもらえるから、と言われていたのだ。
一人暮らしだし、入院の準備をしてくれる人もいないので仕方がない。
隣のブースでは、車イスに乗った男性が、おそらく身内にだろう、電話をしていた。
「いや、入院することになって、会社とかも行けないし、無理だから」
みたいな事を言っていた。
入院って、ほんと大変だ。

だいたい3週間くらい入院することになるだろう、と聞かされた。
帰宅するのにバス停まで行ったが、バスを待つのもしんどくて、タクシーをつかまえた。
なんとか帰宅して、荷物を用意することにした。
ちょうど数日前までお盆休みで帰省していたので、片付けていなかった荷物と交換するように詰め込んだ。
下Tシャツ5枚と、楽そうなペロペロのズボン、くつした。
化粧用品と、タオルを一枚。
はっきり言って、頭が全然働いていなかったようだ。

病院で渡された入院のしおりを全く見ていない。

あとでよく見たら、バスタオルやスリッパ、洗面器や石鹸などのお風呂道具、はみがき、などなど、必要なものは全てしおりに記載されていたのだが、上に書いたように、ほぼ、荷物に詰めていなかった。
そんなことよりその時の私にはやるべき事があった。

冷蔵庫だ。
開けると、4個入りのパックになった桃が入っている。
あと牛乳だ、流しに捨てた。
長く入れておくと支障のありそうなものがないか確認して、必要なものがほとんど入っていない旅行鞄と、桃を持って、家を出た。

向かった先は、自宅から徒歩数分の、保護猫カフェだ。
看板猫に挨拶を済ませ、持ってきた桃をスタッフさんに渡した。
「かくかくしかじか、こういうわけで、入院することになったから、桃はみんなで食べてくれ」
お手伝いしていたカレンダーの製作も、離脱することになることを伝えた。
残念な気持ちでいっぱいだったが仕方ない。

挨拶を済ませ、足りないものだらけの荷物を持って、再びタクシーで医療センターへと戻った。
この日から、うまれてはじめての入院生活が始まるのだった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?