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1型糖尿病②~予兆~

マガジン『うえこの糖尿病レポート』

駆け足気味で「序章」を投稿してしまった…
書きたいことが多すぎて、意外と頭の中でまとまっていなかったようだ。
でもまあ、「序章」なので。
序章では、発症前のことを色々書いた。
今回は「予兆」です。

病気はじっくりやってくる

会社では毎年、全社員に健康診断を受けてもらう。
協会けんぽから助成のある生活習慣病予防検診というものがあって、通常19000円弱かかる健康ドック的なことを、なんと7000円ちょいで受診できるのだ。
スーパーお得。
そしてその7000円弱は、基本的には会社の経費となっている。
ただコレは、35~74歳までで、対象外の人は助成がつかないので19000円弱かかる。
他にも、女性特有の子宮頸がんとか乳がん検診の助成もある。

なんでこんなに詳しいのかと言うと、会社で私は健康診断の申込み担当だからだ。
はっきり言ってめんどい。
社員みんなの希望日を聞いて、胃の検査はバリウムと胃カメラがあってどっちがいいのかも聞いて、病院に申込書を送って、希望日がだめだった場合は別の日を確認して…
私の会社では春は割とみんな仕事に余裕があるので、繁忙期に入る前に済ませてしまいたいという思いがあり、4月5月にがっさりと申し込む。
だから3月、この時期はてんやわんやなのだ。

前置きが長くなったけど、2018年春、私も健康診断を受けた。
ちなみに2017年の結果はオールA!
と言いたいところだけど、
身体計測(身長体重):C(1年後検診で経過観察)
肝機能:C(1年後検診で経過観察)
尿・腎機能:B(軽度異常日常生活に支障なし)

と、この3点だけ引っかかったのだけど、
内容から見ると、基準値より数値が低くくて、
生活習慣病的に言えば、お前もうちょっと乱れた生活してもいいんだぞ?
みたいな感じだった。
こういう、基準値より数値が低くて引っかかった事がある人からすると、
「うるせえなほっとけよ!」
みたいな気持ちになるのはみんな同じだと思う。
世の中にはね、体重を増やしたくても増やせれない人がいるんですよ。
食べれば太る?
あのね、食べれないんだよ。入らないの、お腹いっぱいで苦しいの。
肉をつけろ?
つかないからしんどいんだよ馬鹿め。
体力をつけたくて運動するけど体力がもたないんだよ。
もうね、これは体質なの。

で、2018年春の検診結果だけど、
前年同様、身体計測はCだったけど、その他はほとんどAだった。
はい健康!
と思いきや、ここで例年とは違う項目に、Cがついた。
社会人になって20年弱、健康診断を受けてきて、初めて引っかかった項目だった。

糖代謝、である。
血糖値:159(前年93)基準値:99以下
hBA1c:5.8(前年5.3)基準値:5.5以下
コレを見ると前年さえも、基準値ギリギリなんですね。
初めて、基準値より高いですよ、という結果が出た。
そしてこれまで自分は健康体であると信じて疑わなかった私は、例によって例のごとく、
たまたまだろう(そんな日もあるだろう)と受け流した。
だって、Cだもん。
1年後の検診まで経過観察だもん。
身内に糖尿病の人もいないし。

これが、2018年5月のことである。

なんとなく、異変?

私はTwitterをやっている。
日々の苛立ちや、楽しかったこと、嬉しかったこと、
どうでもいいこと、猫のことをダラダラと綴るツールだ。
昔Twitterは「チラシの裏」と言われていたことがあった。
私は今でもそんなスタンスだけど。
それで、上記のように、手帳にメモするようなことも含めて呟いていたので、発症した時、大いに役に立った。
みんなも体調の変化など、SNSに書いておくと便利だよ。

それは7月下旬の、ある晩のことだった。

足がつる。
ふくらはぎが、つって、アイテテテ、と目が覚める。
そんな夜が数日続いた。
さらに、めちゃくちゃ喉が渇く。
それに伴い、めちゃくちゃ水を飲む。
そして当たり前のように、トイレが近くなる。
普通、寝る前にトイレに行けば、朝まで我慢できる。
でも、我慢できないのだ。
夜中にトイレに行きたくて目が覚めるのだ。
だもんだから、眠りが浅く、日中眠い。
朝、眠くて眠くて。
会社には定時より早く着いていたので、女子更衣室の床にスリーコインズで買って会社に置いておいたごろ寝マットを広げ、寝た。

会社に着くなり仮眠するって、どんだけ眠いんだと。
序章で書いたけど、地下鉄に30分乗っている間、なる早で席を確保して、座ったら即寝ていたし。
会社最寄り駅が終着なのは幸いだと思った。
地下鉄を降りて、改札を抜けて、駅を出る時に階段を上がるのだけど、これがまたとんでもないくらいしんどかった。
あれ?私こんなに体力なかったっけ?
足が重くて上がらない、前なら1段飛ばしでスイスイ駆け上がっていたように思うが。
老いなのか?
36歳だったと思う。
老いなのか?
「30代後半から、ガタが来るぞ」
誰かの言葉が頭をよぎる。
階段を登りきると、息が上がる。
酸素を取り込まないと、苦しい。
そこからさらに15分弱歩いて、会社に着く。
更衣室で制服に着替え、倒れ込むように仮眠を取る。
10分か、15分程度。
それで少し回復する。

身体がおかしい

どう考えても、身体がおかしい。
なんでこんなに疲れるんだ?
ただ、この時期の私は、すごく忙しかった。
掃除ボランティアをしている保護猫カフェの、来年のカレンダー制作のお手伝いをしていたのだ。
毎日フルタイムで働いて、18時半頃に帰宅したら、食事と入浴を済ませて、ずっとパソコン作業をしていた。
慣れない作業と、打ち合わせ。
寝るのは深夜0時をすぎることもしばしばあった。

疲れやすいのはきっと、睡眠不足だからだろう。
寝れてないから、疲れが取れていなんだ。
そんな風に、もっともらしい理由を当てはめて。

季節は夏を迎えていたが、北海道の夏にしては、早い時期から気温が高かった。
30度を超える日が何日か続いた。
暑くて暑くて。
だから、喉が渇くのは暑さのせいだと思い込んでいた。
普段の2倍も3倍も喉が渇いて、普段は午前中は1杯の珈琲をやっと飲みきるような感じだったのに、何杯も飲んだ。
と言ってもカフェインのとりすぎで眠れなくなることがあるので、珈琲を半分ぐらい飲んだところでポットからお湯を追加し、薄くなった珈琲を飲んでいた。
最終的には珈琲風味のお湯だが。

あんまり喉が渇くから、会社のそばの自販機でペットボトル飲料を買うこともあった。
ポカリスエットを買って、水で薄めて飲んだりもしたし、その時トマトジュースにハマっていたので、カゴメのトマトジュースの大きめペットボトルを買って会社の冷蔵庫に忍ばせ、飲んでいたりもした。
最終的には、普段は飲まないような甘い清涼飲料水を飲んでいた。
ソルティライチだ、あれはうまい。

さらには普段あまり行かないスタバで、桃のなんか甘くておいしいドリンクなんかも飲んだりした。

こんな調子ででガブガブと水分をとっていたものだから、お察し。
トイレが近くなるのは当たり前。
もう、すごかった。
飲んだら出る。
普段だと午前中に1~2回、午後に1~2回程度だったと思う。
それが、1時間に1回とか、30分に1回とか。
これが夜寝ている時もそう、何度も何度も、トイレに起きる。

喉は渇くし、トイレは近いし、眠れないし、疲れるし。
しんどいことこの上ない。
けれど、休まず会社に行き、仕事をして、夜は手伝いの作業をしてという日々を続けていた。
「疲れてるだけ」
これは、すごく、受け流してはいけないことなので覚えておいてほしい。
疲労も溜め込むと身体を壊す。
いやマジで。
マジのマジです。

もしかして病気なのか?

そうして8月の上旬。
私はTwitterでだらだらと身体の不調について書きなぐりながら、別のSNS、Facebookでも書いた。

喉が乾きまくる、トイレがチョー近い。

Facebookではほとんど、保護猫カフェの関係者と繋がっていた。
たくさんのボランティア仲間と、Facebook上で仲良くしていたのだが、仲間の一人がコメントをくれた。
「それ、糖尿病の症状に近いので、一度病院に行ってみてはどうだろうか?」
そんな優しいコメントだった。
その時の私は、目から鱗で。
病院という発想が全くなかったもんだから、そうか病院か!と。

そこでようやく、自らネット検索をすることに。
検索ワードはもちろん「喉の乾き、頻尿」だ。
出るわ出るわ、糖尿病関係の記事が。
マジか、病気なのかこれ。
そうして次に検索するのは、糖尿病を専門にしている病院だ。
なんと幸いにして、自宅から徒歩5分程度の場所に糖尿病内科クリニックを発見。
ここを受診しよう決めたのだが、時期が悪かった。

8月半ば。
お盆休み突入。
病院はもちろんお休み。
糖尿病の疑惑は確信に迫りつつあったが、そこまで深刻に考えていなかった私は、お盆休み、札幌から実家のある旭川に帰省したのだ。
今考えると、綱渡りをわたるような危うさがあった。

お盆休みから、病院へ

正直、休み前より身体は楽だった。
というのも、やはりストレスフリーなのは大きかった。
会社ではそれなりにストレスもあったし、通勤もしんどかった。
でも帰省中は、会いたい人に会いに行き、楽しくおしゃべりして、
母は私の好きな食事を用意してくれたし、よく笑い、よく寝た。

タイムズのカーシェアで、会いたい人に会いに行くのは楽しかった。
そうして短い休みを満喫し、札幌に戻って、休み明けの会社で上司に声をかけた。
その時の私は、手に健康診断の結果を握りしめていた。

私「実はですね、体調が優れませんで」

健診結果の、糖代謝のところを見せながら、ここんとこ喉が異様に乾く事と、トイレがめちゃめちゃ近いんですと説明し、
明日、ちょっと病院に寄ってから出社したいんですがと。
上司は、へー!とか、そうなの?とか言いながら、快く了承してくれた。

それが、木曜日の事。
翌日の金曜日、病院は8:30診療開始とあったので、気の早い私は8時に訪れた。

まだ閉まっていた。

しょんぼりしながら、入り口前の丸椅子に腰掛け、置いてあった糖尿病に関するリーフレットのようなものを眺めていた。
そこにはネットで調べた事と同じようなことが書いてあり、
あー、私、糖尿病なのかなあ…
ぼんやりと、思っていた。


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