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板書研究のポイント

本シリーズは、板書研究について述べてまいります。本シリーズのポイントは以下の3つです。最後までお読みいただけると幸いです。

【POINT】
1 板書で「つなぐ」授業
2 教材の特性を活かした○○型板書
3 ○○の視点移動で板書を創る

(1)教育界でなくならないもの

今年度から「GIGAスクール構想」が実施され、ICTを基盤する最新電子機器を活用した教育に光が当てられています。
それはコロナ禍の影響もあります。
しかし、それだけではありません。
これまでも幾度となく、最先端の電子機器は導入され続けてきているのです。
例えば・・・
過去の教育の歴史を辿れば、実物投影機やOHP、デジカメなど多くの電子機器が注目され脚光を浴びた時期がありました。
その結果・・・
電子機器は普及するどころか「出ては消え」「消えては出て」の繰り返しです。
そんな中でも、決して教育界からなくならないものがあります。
それは・・・

「黒板」です。

「黒板」だけは明治時代から衰えもせず、形変わらず受け継がれているのです。それどころか未だに板書に特化した書籍もどんどん発売され続けているのです。

(2)板書の魅力とは

では、板書と電子機器の違いは何でしょうか。
それは・・・
電子機器は、視覚や聴覚などの語感に刺激を与え、子どもを意欲的に学習に向かわせることができるという良さもあります。
しかし、事前準備に時間がかかったり、瞬時に起こる授業の展開に対応させたりすることが難しいという点があります。

それに比べて、板書は子どもと共にその場で作れるという臨場感があります。
つまり、電子機器では難しいとされる、その瞬間に起こった子どもの思考のプロセスを示すことができるのです。
また、自分だけでなく仲間の考えを追体験することも可能になり、一人では解決できない問題に立ち向かうこともできるのです。

(3)板書の役割

上記したように、板書には電子機器では難しいと思われることを行い授業を活性化させるという役割があるのです。
では、板書の役割をさらに詳しく考えてみましょう。
私は次のように考えています。

○子どものひらめきや想像的な考えの手助け
○学習活動の中で起こる多様な考えの整理
○新たな価値の創造

特に、道徳科においては上記の板書の役割を活用しながら授業を展開していくことが大切になってきます。
例えば・・・
(親切について考える授業:教材「くずれ落ちた段ボール箱」)
教師:相手に誤解されて、注意されたたとしても親切することに意味があ理ますか。
子ども:あると思う
Aさん:たとえ誤解されても、その親切はつながっていく
Bさん:誰かがその親切を知ったときに、倍になって戻ってくる
Cさん:相手が助かればそれでいい

このよう子どもの発言で、何となくわかったような気持ちにはなります。
しかし、子どもが伝えたい真意が他者に伝わったかというと疑問が残ります。
そこで・・
次のように、板書します。

この板書だけでは、わからないので少し説明を加えます。

一番左がAさんの発言を受けて板書したものです。
主人公から受けたおばあさんの思いや、それを相手につなげるという親切のサイクルを可視化したのです。

次に、中央がBさんの発言を受けて板書したものです。
誤解をした店員さんや、親切のその後の展望を可視化したものです。

最後に、右上がCさんの発言を板書したものです。
誤解されたとしても、他者が助かったのならそれで良いという親切の価値の本質に迫ったものを板書したものです。
*少し雑な説明ですみません。

このように、子どもの声を受けながら板書に可視化してくことで、「場面的な親切」でなく、親切という価値の構造が全体的に見えてくるのです。

このようなやりとりは電子機器では難しいでしょう。
つまり、板書は子どものひらめきや想像を助け、多様な考えを整理し、新たな価値を創造することができるのです。

とは言っても、瞬時に起こる子どもの考えを可視化していくことは簡単にはいきません。

そこで、本シリーズでは最初に記した「板書の3つのポイント」で、よりよい板書を作っていくための方法を、私なりにお伝えしていきます。
次回は、2週間後の6月26日(日)に投稿いたします。
よろしくお願いします。

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