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[読書] 「東大作文」で読み手主体の文章の書き方を学ぶ


正直なところタイトルで敬遠していた本だけど読んでみたら面白かった。
このnoteを定期的にUPするようになって1年数か月経つのですが、
ルールを守ってUPすることだけが目的になりかけていた僕には丁度いい本でした。

この本を通じて著者が訴えることは、読者を理解し、読者に伝わるように文章を書くということ。非常に分かりやすく面白い本でした。特に興味深いポイントをいくつか紹介したいと思います。

主張と目的

文章には型がある。書き手が読者に伝えるべき主張があり、そして読み手へ期待する意図という目的と手段がある。

例えば書き手の「感動した」という「感情型」の主張ならば、「共感」という手段をもって、読み手に「理解してもらう」という目的がある。

主張には4つ型がある。

自分の感情を伝える「感情型」(ありがとうござます・感動した)。出来事や状況を共有する「共有型」(問題が発生した)。お願いや要望をする「要望型」(お願いします)。なにかアドバイスをする「警鐘型」(よくないんじゃないか)。

そして読み手にどうなってくれれば成功なのか?という意図が必要になる。
意図は目的と手段によって構成することができる。目的は「変化」と「理解」、手段には「納得」と「共感」がある。
まとめると以下になる。

目的
 ・変化 相手に変わってほしい
 ・理解 相手に知ってほしい
手段
 ・納得 論理的に訴える 納得感を与える
 ・共感 感情に訴える 相手に共感してもらう

主張:目的:手段
 ・感情型:「理解」してもらうことが目的、必要な手段が「共感」
 ・共有型:「理解」してもらうことが目的、必要な手段が「納得」
 ・要望型:「変化」してもらうことが目的、必要な手段が「共感」
 ・警告型:「変化」してもらうことが目的、必要な手段が「納得」

たとえば「このnoteをフォローしてほしい」という要望型の主張なら、読み手が「フォローしてもいいかな?」と変化してもらうことが目的になり、そのためには「そこそこ有益な情報を得られそうだし、書いている人は面白そう」と「共感」を呼ぶことが手段になる。

また今回の文章は「東大作文という本は良い本ですよ」という「共有型」になる。とすると読み手に「良い本だろう」と「理解」してもらうことが目的になり、「なぜなら〇〇や✕✕だから」と論理的に「納得」してもらうことが「手段」になる。

このようにあくまで読み手のことを考えることが必要だ。

相手の心を刺激する

説得力は、断言する事で生まれるとのこと。
断言の3つのポイントある

 ・批判されそうなポイントに自分からツッコミを入れる
 ・確かにそうですねと譲歩する
 ・ツッコミと譲歩を踏まえ、断言する

あえて相手からのツッコミを想定した文章を作ることで、読み手を引き付ける。
ツッコミは問いかけから生まれる。問いかけには3つの型がある。

 ・疑問に思いませんか?型
 ・相手の言葉の先回り型
 ・正解はどれ?型

ポジションの取り方

この本でもっとも面白いのが「ポジション」についての話だ。

読み手に対するポジションには以下がある

 ・横(メール、チャット、議事録) 主観的に書く 主張に対する自分の思い
 ・上(プレゼンなど) 横に立てるポイントを探す 横にたてる自分の経験
 ・下(提案書、質問) 下であることを語り、横として伝える 自分が下だとした上で 主張にたいする自分の思い
 ・外(レポート ブログ)ポジションを決めて、内側に入る 横 上 下のどれに自分が当てはめるか考えてみる

人は対等(横)だと思った人の意見しか入ってこない。よって上手く対等(横)になるようにポジションを調整することが大切になる。
例えば文章ではないけど、子供を叱るときなどは受け手である子供に対して自分は「上」のポジションになる。単に「〇〇しなさい」と「上」のポジションから言うと反発されてしまう。そこで「実は自分も子供のころ」とポジションを対等(横)の位置に調整することで受け手が素直に聞きやすくなる。

文章も同じで、プレゼンなどの「上」の場合は、読み手である方々と対等(横)になるポイントを探して導入部分にするべきだし、報告書などの「下」の場合は、下であることを明確にしてから「このことに関しては対等の問題意識を持っています」と(横)対等の熱意をアピールするべき。
また、noteなら普通は「外」のポジションなので「横 上 下」のどれかを当てはめる。普通は「横」なので、単に主張に対する自分の思いを書けばいいということになる。(有名noteの人などは「上」になるので、横にずらす作業が必要になる)。

そのほか

演繹法と帰納法などを「つながりと順番」として分かりやすく説明していたり、枝葉の切り方なども丁寧に説明してくれます。

著者は本を通じて「読み手」にどう訴えかけるか?という視点を貫き、それを使いやすい型に落とし込んで説明してくれています。非常に有益な情報が得られるのではないかと思います。

twitterにほぼ日の永田さんが良いツイートをしていた。
本書がテクニック的なら、心情的にはこのような気持ちでいることが大切なのかもしれない。


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