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【レポ】歌舞伎座初日観劇〜令和の歌舞伎役者が遺すもの〜

 歌舞伎座公演再開おめでとうございます〜〜〜😭😭😭というわけで、先日歌舞伎座初日の連獅子を見に行きました。梅雨明けの快晴という素晴らしい日に再開初日を迎え、めちゃくちゃ幸先が良い〜〜〜〜!!!と落ち込んでいた気分が吹き飛びましたし、ソーシャルディスタンスのため観客数が半減していることも忘れるぐらい会場内は演者も観客も高まってたし、やっぱり芸術とビールは生が最高!!!と再認識しました。

 というわけで、実際の劇場・感染対策はどうだったか、そして久しぶりの生舞台を体感して何を思ったか詳細を書いていきたいと思います!

1.  対策万全&意外と快適空間だけど少し寂しい…。

感染防止策

 実際の感染症対策は、上の案内この記事この動画の通りなんですけど、現時点で有効とされている対策は最大限行われていました。私が対策案内を事前に見ていた&開演30分前に到着したということもあるんでしょうけど、入場時の混雑や密な状態は発生無し。アルコール消毒液は入り口だけではなくエスカレーターの近くなど至る所に置いてあって、気になったらすぐ使える安心感がありました。

 売店は一階のみで飲み物のみの販売(自販機も使用中止)されていて、食事処も、三階のおやつとか売ってる楽しい売店も閉まってました。今回は4部公演・それぞれ1演目のみの興業のため幕間がないので、致し方ないですね。幕間のもぐもぐタイム大好きウーマンとしては寂しい。

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木挽町広場(歌舞伎座の地下にある出店・売店があるところ)は通常通り営業していたので、入場前・後はそこで飲み物・お土産は買えます。屋根の上のかぶきにゃんたろうが可愛い。

 実際の会場内ですが、座席は前後左右空くように設定されていて、背が低めな私としては、目の前に背の高い人が来たらどうしよう…という不安がいつもあるのですが、もう心配御無用でしたね。意外とパーソナルスペースも気になる性質を持っているので、ゆったりと過ごせてなんだか安心でした。もうノーストレスで舞台かぶりつきでしたよ。

 と、私は特に感染症対策による不便さはなかったし、観劇中はむしろ快適だったんですけど、やっぱり大向こう(決め台詞・見得を切った時に「中村屋!」とかいう観客の掛け声のこと)がないと寂しい。。。観客全員「あなたの演技は素晴らしい!」というのを表現するため、めちゃくちゃ拍手を頑張ったんですけどね、やっぱり大向こうのあの瞬間的芸術には敵わないですね。拍手って持続性があって初めて拍手になるので、掛け声見たく瞬発的に「パンッ!」て一回手を叩いたって、ただの挙動不審なんだよね…。こういうのってやらないと廃れっていっちゃいそうなので、早く解禁されるといいなぁ…泣

 あと私は座席の位置的に気がつかなかったですが、ツイッターで「会場扉が開いてたので外の音が気になった」という呟きを見ました。換気のため会場扉が開きっ放しなので、座席が正面入口に近い人は晴海通りを通行するデカいトラックの音とか聞こえるだろうな〜と思います。

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憧れの桟敷席は今回販売なし。各席の扉も開きっぱなしでした。


2. 生のロマンと、髷を捨てなかった古の歌舞伎俳優たち

 全然このnote更新してなかったんですけど、実はこの数ヶ月間、色々と歌舞伎のオンライン配信を見ていました。中村壱太郎さんと尾上右近さんのART歌舞伎、特に良かったですよね!

 配信だと、見たいシーンを何度でも繰り返して見られるし、カメラがドアップで演者を映してくれるので、ディテールがよく分かって面白い!と思って楽しんでたんですけど、今回久しぶりに舞台見て、生の圧倒的情報量に驚きました。

 オンラインだと、カメラに映る範囲やカメラマンの人為的フィルターがどうしても掛かってしまうので、その制限内の情報しか受け取ることができないんですけど、生の舞台の場合、視線は自分の意のままに動かすことができるし、メインではなく周辺で起こっている何か目に入ったものからも、観客は新たな発見をすることができるんですよね。

 例えて言うなら、黒子さんの動きはどうでしょう。連獅子では毛を振り回した後、最後の決めポーズ前に黒子さんがパパッと素早く毛並みを整えてくれるんですけど、普通に考えればこれは作業なのでカメラには映さず、その間は長唄の人を映すとかしそうですよね。カメラで映されない限り、私たちはその作業を知らないままですが、舞台だと自分で見るものを取捨選択することができるので、それを見ることができる。黒子さんの動きと演者の動きの連携を見て、舞台に関わる人たちのプロフェッショナルさを感じることができて、しかもそれは自分の座席によって見え方も変わってくる可能性があるだなんて…。舞台って受け取り様に無限大の可能性がある、大ロマンじゃないですか???

長唄連中の人たちは、特注マスクしてました。なんか黒幕感があって意外といいかもしれない笑

 もう一つ、生の舞台にある唯一のものと感じたのは、瞬時に取り交わされる観客と演者の相互作用ですね。それは可視化されてないし、言語化もされてないのに、観客がめっちゃ盛り上がった時のパワーはすごく感じますし、演者もそれを分かって、間の取り方や演じ方で応えてくれますよね。3次元を超えた何かをお互いに共有して昇華していくあの空間は、やはり生舞台でしか味わえないと思えます。いや〜〜〜〜ほんと素晴らしい。

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  少し話は変わりますが、先日NHKで劇団四季の再演までの特集を見まして、座席数減で収入減で赤字だけど、それでも演劇を絶やしたくない、と懸命に興業を続けようと奮闘されてました。歌舞伎も同じ状況でしょう。

 ですが、歌舞伎は全然まだまだチケット発売中で、座席選び放題な状況なんですよね…。実は私が初日連獅子観劇を決めたのも、前日夜でした。まだチケット余っとるやんけ!?!?初日なのに!?!?と思って、応援したい気持ちで勢いで購入しました。

 通常、一番お手頃なチケットの土日公演から売り切れていくのですが、現時点での来週8/8(土)のチケット状況を見てみると、3部以外はまだ最安値チケット(¥3,000)が売っていました。。。団体客を招いたり、貸切公演ができないのも、恐らく原因の一つなんでしょうけど、ほんと衝撃です。そんなことある?って思ってしまう。

 歌舞伎座は東京のど真ん中に位置しているし、皆さんそれぞれ事情がありますから、リスクを考えたときに観劇できない人の方が多いと思います。本当にそれは致し方ないので、来られない人も楽しめる何か他の方法ないかな〜と思うと、やはり配信なのでしょうね。さっきあんなにリアルの素晴らしさを語っちゃったけど。

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 でもやっぱり、歌舞伎には生舞台を続けて欲しいなと思います。先日、幸四郎さんのトーク配信拝見した際に「江戸から明治に移行するときに、髷を捨てずに継承していった当時の歌舞伎俳優たちはすごい」といった様な趣旨のことを仰っていて、今まで気づかずにいたけど、天皇さえ散切り頭にした中で髷を突き通し、そうして現代にこうやって残っているって確かにすごいなって思いました。

 演劇(だけではなくライブで何かをすることを生業にしている人たちにとって)は、江戸から明治へ変わるぐらいの大きな時代の変革期に居ると思います。リアルを分かち合うことが難しい時代は続いて、リアル体験がプレミアになっていくでしょうけど、髷を捨てなかった明治の歌舞伎役者の様に、令和の歌舞伎役者の方々も生で演じることを続けて、是非未来に残していって欲しいですね。

 いやはや1ファンとしてマジで応援してます!!!これからも楽しみです!!!早く安心して興業できる日が来ますように!!!

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