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カウンセリングの傾聴とは

 傾聴とは、カウンセラーがクライエントさんの話を聴く際のカウンセリングスキルの1つです。
話を聞くだけなら誰でもできる、と思われるかもしれませんが、我々はカウンセラーですから、ただ聞くだけでは、それは仕事をしているとは言えません。友人や知人を相手に愚痴るのではなく、わざわざ時間と労力を使ってまで相談したいと思って下さったクライエントさんの要望に応えられるだけのカウンセリングを提供できるのがプロフェッショナルです。資格を冠に名乗る以上、プロとしての仕事をしなければといつも思います。

 そんなプロカウンセラーがどのようなテクニックを使っているのかというと、単に内容を把握するために情報収集をしているわけではありません。
傾聴とは、英語でアクティブ・リスニングと言います。
日本語における『聞く』と『聴く』の違いにおいても、音が勝手に耳に入ってくるのが『聞く』、理解しようと意識的に耳を傾けるのが『聴く』とあり、受動的か能動的かという明確な違いがあります。
つまり傾聴とは、耳だけでなく心も傾けて共感しながら、置かれている状況から思考や価値観まで相談者そのものを理解していく作業です。感覚としては、クライエントさんが伝えようとしてくださっているメッセージをこちらから掴みに行く、というかなりアグレッシブな意識でやっております。

 傾聴には力がある、とよく言われますが、私もそう思います。
それは、悩みや苦しみを吐き出してスッキリするカタルシス効果もありますが、それだけではありません。傾聴により自分の人生のために誰かが本気で向き合ってくれる、存在そのものを尊重してもらうという体験を通して、自分自身と向き合えるようになるからです。そうすると、カウンセラーを介して悩みや問題を客観的に見つめられるようになり、解決に向けて自ずと思考が展開してきます。逆に言うと、そこまでの傾聴ができているか、というのが、カウンセラーとして毎回の相談で問われているわけです。

 カウンセリングは、カウンセラーに問題を解決してもらう場ではありません。問題を解決するのは、あくまでも問題意識を持つクライエントさんご自身です。クライエントさんが自分の価値観に基づき、自信を持って問題を乗り越えていけるようサポートするのが我々カウンセラーの役目です。

「人の問題を横取りしてはいけない。」と、よく思います。
問題とはその人が成長する為に必要な過程です。悩んでいる、そのこと自体がクライエントさんの人生にとって尊いことであり、カウンセラーが問題を解決してしまうと成長が阻害されることになるのです。この認識が持てると、傾聴の重要性が理解でき、取り組み方も変わってくるのではないでしょうか。クライエントさんが求める“聴く仕事の価値”を、カウンセラー自身が最も理解していなくてはと思いますよね。

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