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樽酒の香り

 先日の日本酒イベントに出展した際に好評を頂き、2日間のうち1日目でほぼ完売してしまった「樽酒」ですが、若い方であまり詳しく知らない方も散見されましたので簡単にご紹介します。


・樽酒は菰樽に詰めた日本酒

結婚式などお祝事の時の鏡開きや、神社でも見かける事が有ります。

 またWBCで侍ジャパンが優勝した時はシャンパンファイト🍾でしたが、祝勝会での鏡割りもニュースでたまにみかけますね。

 鑑(蓋)を割り開く事から、「先が開ける」という事で縁起の良い物とされています。


・樽酒の歴史に少し触れて

 杉で作られた樽に日本酒を詰め、樽が破損しない様に、緩衝材として菰を巻いたものが菰樽です。
 杉は抗菌作用も有り日本酒の劣化を防ぐとともに木の香りを付与し、日本酒をより美味しくしました。
 この菰樽ですが本来は輸送するための容器で、明治後期から昭和初期に掛けて主流となったガラス瓶が登場する以前は樽に詰めるが一般的でした。
一般的には四斗樽、72L(一斗=10升、1升瓶=1.8L×40本分)の樽に詰められたお酒を酒屋さんが仕入れ、量り売りをするのが主流でした。

左の杉樽に一つ一つ手作業で菰を巻いていきます。

 白鷹でいうと、幕末から昭和の初めまで樽詰めが主流だったようです。酒蔵のある関西の灘で造られた日本酒は樽に詰められて西宮港から樽廻船という船で江戸に運ばれていました。
 江戸へ向かう航路で船に揺られて芳醇な樽香がついた日本酒は江戸の料理と相性が良く江戸っ子に好まれたようです。

・樽酒の特徴

 日本酒を樽に漬けるほど杉のエキスが日本酒に移ります。
 杉の香り、樽香がつく事で、通常日本酒には無い味わいや香りを楽しむ事が出来ます。
 お酒を飲んだ時のリラックス効果も杉のアロマとの相乗効果が期待できます。

 気の置けない友人と酌み交わす時も良いですが、一人でしっぽり自分のペースでゆっくり味わい、香りを感じながら呑むにもおススメです。居酒屋のカウンターで一人、塩味の利いた漬物で冷や(常温)もよし、濃いめの出汁が滲みたおでんで燗を一盃やるのもよいですね。

 昔は、居酒屋さんのカウンターの角などに樽が置いてあり樽酒を頂く事も多分に有りましたが、最近ではめっきり見掛ける事が少なくなりました。樽香のつき具合の調整は難しく、日本酒の飲酒量が減っている事を鑑みると致し方ないのかも知れません。

 居酒屋さんや小料理屋さんの暖簾をくぐって樽酒が有れば是非注文してみて下さい。
 樽の香りがいつも以上に癒してくれると思います。

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