山田太郎議員は何故自民党から出馬したのか
2019年7月山田太郎氏は第25回参議院選挙に自由民主党公認で全国比例で出馬し、540,077票という得票で当選した。自民党の参議院比例候補者の中で得票数第2位であった。
そんな彼の掲げる政策の一つが表現の自由を守ること。
だが、在籍する規制派も少なくない自民党から出馬したことから、表現の自由を守るという建前を疑問視、懐疑的な目を向けた人も多い。
この記事では何故山田太郎氏が自民党から出馬したかを考察したい。
山田太郎議員の経歴
主に山田太郎氏自身のサイトからの引用となる。
注目したいのが、2019年野党時代(自民党で出馬する以前)は政治家として選挙ではかなり苦戦していたという点であろう。
そして、単純比較は出来ないが、得票数が29万票が54万票まで増加していることにも注目したい。これは自民党という大きな後ろ盾が出来たためであろうか。それとも彼を支持する所謂オタクの力であろうか。
自民党、オタク両面から考察していきたい。
自由民主党の特徴
表現の自由を守る上で自民党から出馬したから山田議員を懐疑的に見るようになった人は多いと書いたが、それについて説明したい。
悪名高き憲法改正草案
自民党が表現規制派と言われる原因として欠かせないのはこの憲法改正草案であろう。これは2012年に自民党が野党時代に発表した日本国憲法の改正草案である。
この第三章 国民の権利及び義務の第十二条、第十三条が主に問題なのだ。
要は自由や権利を時の為政者の判断により制限できると憲法に明記しようとしているのだ。当然この案は、他にも沢山問題があったが、話題となり修正を求める声が、自民党支持者の中からも挙がったが、現在(2022年3月時点)でもこの草案は撤回されていない。
自民党の青少年健全育成基本法(青健法)
また、憲法は山田議員が入る前の過去の話、自民党の体質は変わったとお思いの方もいらっしゃるだろう。だが、2021年の衆院選の自民党の政策にはこの青健法が記載されている。
青健法の目的のひとつに、有害情報から子供を守るということが挙げられる。
だが有害情報の定義が曖昧で表現の自由を侵害する危険性があるのだ。
ちなみに類似の法案は2004年、2014年に国会に提出されているが、いずれも審議なく廃案となっている。
表現規制に肯定的な議員たち
2015年6月に自民党議員が文化芸術懇話会という勉強会を開き、そこでの発言が問題となっている。
このように自民党内には表現規制派が少なくなく存在している。
(勿論反表現規制派議員もいるが、)山田太郎議員が自民党から出馬したことから疑問視されたのは、これらのためである。
政権与党という立場
ただ表現の自由を守る上で、法案提出など現実的な実行力を持つのは政権与党である。その点で表現の自由を守るのであれば、自民党という選択肢は間違いではないと考える。
所謂オタクについて
2019年参議院選挙の山田議員が躍進出来た要因のひとつは、所謂オタクの積極的な政治への参加であろう。
山田太郎議員の表現の自由を守るという呼びかけにオタクたちは応えて、選挙応援を展開したのだ。
そのオタクについても考えたい。
反リベラル、反左翼、反野党
一概には言えないが、ネット環境でのオタクは反リベラル、反左翼、反野党の立場の者が少なくない。これはSEALDsなどの所謂リベラルが馬鹿にされ、彼らを批判する安倍元総理が肯定的に見なされていたことからもそう考える。
今のオタクは権威主義、自民党支持が多いと考える。それは所謂リベラルへの反発から生じたものと考える。アベノミクスや民主党政権の失敗の影響もある。所謂リベラルは弱者は救済しようとするが、オタクに手を差し伸べることはなかったと少なくとも彼らは認識していると考える。そしてリベラルの進める弱者の権利拡大は、オタクの自由や権利を侵害する者も多く、そこで反発を招いたのだと考える。そこからリベラルと親和性の高い野党に対しても否定的になるのは当然の帰結であろう。
このことからもし野党から出馬しても、山田太郎議員はここまでオタクの応援は得ることは出来ず、54万票もの得票もできなかったであろう。苦戦を強いられたと予想する。
逆に言えば、自民党と山田太郎議員には、オタクの権威主義を見越して、自民党から出馬したのではないかと考える。
表現の自由という大義名分
市民権を得てきたとはいえ、オタク文化はマイノリティである。オタクたちには制限されてきたという被害者意識があった。ただオタクやオタク文化の自由では世間から支持を得られないことも察していた。そこに表現の自由という錦の御旗を振るう発想が現れた。するとオタクたちはそれに飛びつき、美旗を振ったのである。
山田太郎議員はその心理も考慮して、表現の自由を前面に押し出したのではないかと考える。
オタクにとっても草の根活動から国会議員という権威が後ろ楯になるのでは意味が違うだろう。
山田宏議員のポプラディアの騒動
山田太郎議員の当選で、マイノリティだったオタクから権威側になったと考えるオタクも少なくない。だからこそ山田議員の支持者は山田議員に全幅の信頼を置くあまりに絶対視している風潮がある。
例えば、山田宏自民党参議院議員がポプラ社の総合百科事典に苦言を呈した時のことである。
この発言は検閲を示唆するもので、表現の自由を侵害する可能性もある。
ネットは騒然となり、山田太郎議員もこの話題に触れたのだが、
この対応だけで溜飲を下げた支持者が多く、太郎議員を絶賛する者もいたのだという。
だが、山田宏議員が具体的に何を目的とした発言なのかや謝罪は引き出せていない。先輩議員の手前、しょうがないという面もあるかもしれないが、完全に真っ白な解決とはいえないと考える。
表現の自由はエンターテイメントの自由から侵害される
支持者の見識を最も疑うのが、この山田太郎議員のyoutube動画での言動に肯定的な態度だということだ。
ここで山田太郎議員はある画像を上げる。
彼は動画内でこれを用い、エンターテイメント表現の自由の重要性を訴えた。だが、より高位に存在する政治的表現の自由の軽視に他ならず、このように進まなかった例外など掃いて捨てるほどある。はっきり言うと御粗末なスライドである。彼のポリシーの根幹となる部分がこれなのである。にも拘わらず、支持者はこれを擁護しているのだ。
また女子差別撤廃条約を外圧だとしたことも常軌を逸しているとしか思えない。
ちなみにこの問題についてまとめたtogetterもある。
また
山田太郎議員は二次創作の完全合法化を掲げており、それも非難の対象になっているが、支持者は支持するままなのである。
結語
以上より、山田太郎議員が自民党から出馬したことは、支持層である権威主義のオタクからしても好都合であるとわかる。また山田太郎議員は良くも悪くも支持層のニーズ(エンターテイメントの表現の自由(主に漫画やアニメ)に興味があるということ)を捉えており、そのニーズに応えた政策を提案・推進していることがわかる。
批判ばかりしたが、オタクという政治への無関心層が積極的に政治に参加したこと自体は高く評価している。それは、山田議員の手腕によるものだし選挙応援したオタク自体も立派だと思う。
今後、漫画家の赤松健氏も自民党から出馬するようであるが、オタクたちは何を思い、どのような投票行動をとるかに注目したい。
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