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私が『エスカレーター広告』に惚れ込んだわけ

皆さんはご存知でしょうか。
エスカレーターの手すりに広告を出せること、それが「利用者の安全を守る」取り組みであることを。
 
エスカレーター手すりを事業資産として活用することを専業としているのは、日本で、いや世界でもUDエスカレーターしかありません。今回のクラウドファンディングをきっかけに、創業者である私がどういう想いでこの事業に取り組んでいるか、少しでも理解いただければ嬉しく思います。

広告代理店からソーシャルビジネスへ


ある日、広告代理店として、商業施設に掲出したエスカレーター手すり広告を取り外していたところ、高齢の女性に声をかけられました。
 
「この広告をはがさないで。これがあると乗りやすくなるんです。」
 
この一言が、広告ビジネスの方向性を大きく変えるきっかけとなりました。
エスカレーター手すりというのは、単なる広告スペースということではなく、何かとても大事なことを訴えかけているのではないか?
 
それが、UDエスカレーターの根幹に気付けた瞬間だったのです。
私の過去に遡りながら、一つ一つ考えを綴ります。

バングラデシュで学んだこと


2004年から2年間、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊というプログラムで、バングラデシュに滞在したことがあります。その頃は、国際公務員という響きに憧れ、国連関連機関への就職を目指すキャリア構築の一環として、いわゆる開発途上国に飛び込んだのでした。
 
バングラデシュでは、県保健衛生局のフィールドワーカーとして、ある感染症の撲滅を目的とした駆虫薬の定期服用を啓発、徹底する役目を担いました。
 
ある日、巡回した村で目撃した光景が私の進路に大きな影響を与えたのです。それは、消費期限の切れた大量のワクチン在庫とその販売を業とする役人の存在でした。各国が援助したワクチンや駆虫薬は、然るべき住民らに届けられることで命が救われる、という短絡的な図式が一気に崩れ去りました。極端な事例であることは承知していますが、それがあまりにも世の中の縮図に思えてならかったのです。
 
“感染症を撲滅する”という大義名分は、疑いもなく社会、コミュニティーへの貢献です。しかしながら、国語辞典には、こうも書かれています。
「大義名分」とは、「普段はできない・はばかられる・避難されるようなことが堂々とできるだけの理由のこと。」
 
私が違和感を感じたのは、お金を渡す人とお金を受け取る人で利益が完結してしまい、社会の利益とリンクしていない状況です。この辞典の記述は、言い得て妙だと思いました。
 

大義と収益は両立するのか


良い意味でも悪い意味でも世界は大義名分で溢れています。それは古今東西、人の心を一つにまとめるマジックワードです。しかし、200年前まで遡れば本質的な歴史検証は難しいように、過去、大義名分に熱狂した人たちは、事後の検証を十分に行う術も機会もありませんでした。

その状況が今急速に変化している理由は、リアルの移動手段の高度化、デジタル化、高度解析、AI、NFTなどに凝縮されています。つまり、大義名分の持続的な検証手段が民主化する中で、結果を伴わずに終えることができなくなってきたのです。
 
大義名分(これは悪い意味ではなく)の凝縮である国際連合が掲げるSDGsが特にEUを中心に、新たなマーケットを切り開こうとしているのは、この時代の要請に応えた必然的な結果です。大義をマーケットに浸透させなければ、人は動かせず、売上も上がらない世界になろうとしています。
 
自明の流れの中で、市場ルールを他国より先んじて整備していこうとしていくのは当たり前であり、間違いなく世界は一歩一歩良い方向に歩みを進めていく事になります。
 
重要なことは、「儲けた結果として社会的大義が達成される」という発想ではなく、「社会的大義を達成するから儲かる」というパラダイムシフトが現実のマーケットで起こっているという事です。

出所:イオン銀行HP

後者をビジネスのスタンダードにしていくには、「大義がブレずに儲けとリンクするルール」を整備していくことが必要になります。その直近の参考になる例が、排出権取引です。このモデルでは、CO2が温暖化と結びつくことを科学的に検証しながら、CO2削減=社会的大義と意味付けしました。その上でCO2削減目標を国連を通じて世界各国の利害に結びつけ、目標を達成する手段としての排出権売買市場を創り上げました。現代、そして今後のビジネスモデルの成功パターンと考えられます。

出所:共同通信

重要なことは、大義そのものの「人道性」、大義達成プロセスの「透明性」、大義達成への「直接性」にあります。つまり、分かりやすく直接的により多くの人を救うプロセスを公明正大にクリアしていく、というビジネスが社会に受け入れられています。

UDエスカレーターとの出会い


私は、バングラデシュの経験を通して、国連の道には進まず、経営コンサルティング会社へ就職、その後独立して投資経験を積んできました。持続的な社会貢献にはマーケットと経営を学ぶ必要を感じました。
 
社会貢献を高収益につなげるというお題目ではない、グラミン銀行のようなソーシャルビジネスは、日本でこそ花ひらくべきだと感じています。「三方良し」というステークホルダーのみならず社会まで利益を享受する視点を当たり前のように「正」としてビジネスの文脈の中で語ってきた日本は十分なポテンシャルがあります。
 
様々な企業をみる中で、まさにCO2削減ビジネスと類似しているモデルを持っていたのが、「UDエスカレーター」だったのです。
 
実はUDエスカレーターが扱う手すりシートの原型は、もともと広告代理店が開発した技術なのです。カナダで約20年前から実用化され始めたエスカレーター手すり広告に惹かれ、日本にそのモデルを輸入したのが始まりでした。当時、新規媒体であることや安全性の問題などから、広告媒体価値に比して、収益は上がりませんでした。
 
しかし、冒頭の女性の一言がビジネスのあり方を変えました。
「この広告をはがさないで。これがあると乗りやすくなるんです。」
 
偶然にも、そのエスカレーターの手すりに施されていたデザインが利用者の安全につながるのではないか?という大義を発見したのです。
 
エスカレーターは、日本の人口の90%が利用するが故に、数多くの痛ましい事故も引き起こす移動補助媒体です。「人々の移動の安全を守る」ことが実は大きな価値なのであって、広告は結果論でしかない、というビジネスモデルに向けて舵を切りました。まるで世界の流れを投影するかのように、儲けから大義へ、大義から結果としての儲けへシフトしていった企業なのです。
 

UDエスカレーターのビジネスモデル


CO2マーケットで重要な点は、3つありました。
・CO2と温暖化の結びつけを科学的に検証、CO2削減=社会的大義と
意味付けしたこと。
・CO2削減目標を国連を通じて世界各国の利害に結びつけたこと。
・目標を達成する手段としての排出権売買市場を創り上げたこと。 

UDエスカレーターも小規模ながら同様のモデルを辿っています。
・エスカレーター事故が起こる原因及びソリューションを科学的に検証し、   エスカレーター事故を減少させる=社会的大義と意味付けしてきました。
・エスカレーター事故削減が、各施設の利害に結びつくことを繰り返し啓発してきました。
・エスカレーター事故ゼロを達成するために、施設と広告主をつなぐ、協賛広告市場を構築しています。
 
さらに、UDエスカレーターのビジネスモデルは、エスカレーター手すりでのビジネスを徹底することで、人道性、透明性、直接性の全ての要素を兼ね備えてきました。長い時間をかけて一つ一つ積み上げてきたモデルは、今テイクオフの時が来たと実感しています。
 
「エスカレーター 転ぶ」というワードを「X」で検索してみてください。1日何度も投稿がなされています。高齢者の救急搬送事故が最も多く、そしてSNSなどへの投稿が少ない層であることを考えると、日本全体で測りきれない数の被害者がいることが現実なのです。その社会問題に直接的なアプローチができるのがUDエスカレーターです。
 

最後に


UDエスカレーターは未成熟なベンチャー企業です。しかし、世界の潮流と成功事例に合致したビジネスモデルを持っています。そして何より、私はUDエスカレーターの経営者であり一番の応援者です。
 
その心は、UDエスカレーターの成功を通じて、日本から高収益なソーシャルビジネスが次から次へと花ひらく、その基礎となる強固なモデル企業を創る事に関わることにあります。大義を貫いた人たちが最も多くの儲けを得ることができる、それこそがサステイナブルに世界を改善する原動力となるのではないでしょうか。
 
まだまだ発展途上の当社ですが、今積み上げている売上は、万金に値する強固なビジネスモデルが凝縮されたものであると自負しています。
 
今日も泥臭く電話がけをして、持ち場を少しずつ広げていきたいと思います。
 
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一人でも多くの方にこの価値を感じてもらうことを目指して、
株式投資型クラウドファンディングに挑戦しています。

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