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総合印刷会社が進めるDX 部署をまたいで情報共有の効率化に挑戦

▼東京都「DX人材リスキリング支援事業」※にて、業務効率化コースを受講されている日経印刷株式会社の佐々木克敏さんに現在の学習方法について取材しました。

佐々木克敏さん(日経印刷株式会社
印刷物を制作から製版・印刷・製本、発送までの全工程を行い、書籍・参考書、パンフレット、販促ツールなど、様々なジャンルを取り扱う総合印刷会社。佐々木さんは製版部リーダー。


手段・時間の制約があるコミュニケーションが引き起こす作業遅延


ーこのプログラムに参加したきっかけを教えてください。
私は、お客様から届いた入稿データをもとに印刷用データを作成する業務を担当しています。業務の中で、入稿データに不備があったり、入稿データに添付されている手書き帳票に不明点があるときは、営業に電話で問い合わせをしていました。私たち製版部は24時間体制で動いています。しかし、深夜は日勤の営業担当者へは電話ができません。こういったトラブルは、我々の業務に大きく影響を及ぼしています。
これまで製版部では、限られた人数で効率的に仕事をするため作業工程やスケジューリングの自動化などを推進してきました。今回の情報システム部・営業部・製版部と他の部署との連携を図るプロジェクトを成功させるため、プログラムに申し込みしました。

効率的なコミュニケーションを実現させる3つの機能


ー具体的な改善プロジェクト内容を教えてください。
営業部と製版部が効率的にコミュニケーションをとることができるように、案件(入稿データ)管理システムで主に3つのことを実装したいと考えています。

①作業状況の可視化


問い合わせデータに既読・確認中・お客様待ち・対応済みなど作業ステータスの管理機能を設けます。営業担当者・現場共にリアルタイムに作業の進捗状況を把握できます。

②問い合わせチャット機能


製版部から営業部への問い合わせツールとしてチャット機能を設けます。相手が都合の良いタイミングでメッセージに対応することができます。

③フォーマット準備


②の製版部と営業部の問い合わせチャット機能にフォーマットを準備します。大項目・中項目・小項目と問い合わせ内容を選択し、簡単にメッセージを作ることができるようにします。
2024年1月に着手し、導入は閑散期となる2024年5月を予定しています。現在は、情報システム部・営業部に新しい業務フローを相談するなど事前準備を進めています。

トラブル内容のデータ分析で業務の品質向上も目指す


―プロジェクトが着実に進んでいますね。先ほどの機能の中で工夫したことがあれば教えてください。
③フォーマットに大項目・中項目・小項目を設ける点です。このデータを蓄積をして、お客様ごと・担当者ごとに問い合わせ内容を分析したいと考えています。そのデータを営業部にも共有し、お客様の入稿データ作成に役立ててもらいたいです。

自分だけでは気付かなかった「お客様も業務フローに組み込む」という視点


―これまでの学習の中で、印象に残っていることがあれば教えてください。
実践ゼミの宿題で、新しい業務フローを作成しました。
最初に、業務に関わる全ての関係者をリストアップしましたが、箕輪先生からの「お客様も業務フローに組み込む」という考え方が衝撃的でした。お客様にも負担をかけない業務フローであることは、このプロジェクトの成功の鍵です。社内のことだけを考えていた私には思いつかないアイディアでした。箕輪先生は私たちの提出した宿題に対して「私だったらこう考えますよ」とフィードバックをくださるので、多くの学びを得ることができます。

社内のDX人材育成の体制づくりにも活かすために学んだことを社内Wikipediaに蓄積


―これからの目標を教えてください。
まずはこのプロジェクトの成功が一番の目標です。それ以外に、私が学んだことは社内Wikipediaにまとめています。データをグラフなどの見やすい形に変換してダッシュボードに表示するPowerBIなど、このプログラムで学んだことはたくさんあります。社内のDX人材育成の体制づくりに活かせるように、私だけに留めずしっかり情報蓄積していこうと考えています。


※東京都では、2023年度現在、都内中小企業を対象にしたDX人材を育成するための学習プログラム、「DX人材リスキリング支援事業」を実施しています。(事業概要はこちら
※本記事は、株式会社ベネッセコーポレーションが東京都の許諾の下取材を実施しています。