運気を磨く
田坂 広志著の「運気を磨く~心を浄化する三つの技法~」を読みました。
この本はタイトルの通り、『運気』の存在について書かれています。
『運気』と聞いただけで、「あ、スピリチュアル的な人が書いた本か」と唯物論的価値観の方は敬遠するかもしれないですね。
しかしこの本の著者は東京大学卒業・大学院修了の工学博士と科学的教育を受け、長く研究者の道を歩み、唯物論的な世界観によって研究に取り組んできた人間です。
この本は『運気』というものにフォーカスを当て、科学研究者という立場・視点からそれを明らかにしていくというものです。
そして、現代科学の最先端、量子力学の世界で議論されている「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」についても紹介されています。
そうした科学的仮説を踏まえ、この『運気』というものが現実に存在することを認めたうえで著者が実践している三つの技法、
「人生の習慣を改める」
「人生の解釈を変える」
「人生の覚悟を定める」
という三つの技法を紹介されたのが本書です。
「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」とは
この宇宙のすべての場所には、「ゼロ・ポイント・フィールド」と呼ば れるエネルギー場が偏在している。
そして、この「ゼロ・ポイント・フィールド」には、我々の生きるこの宇宙の過去、現在、未来のすべての情報が記録されている。
従って、我々の心が、この「ゼロ・ポイント・フィールド」に何らかの形で繋がったとき、我々は、過去、現在の出来事はもとより、未来に起こる出来事をも、予感、予見することができる。
私たちの心はこの「ゼロ・ポイント・フィールド」と量子レベルで繋がっていて、情報を受け取る・送ることができると本書では述べられています。
すなわち私たちが発揮する直観力や想像力、発想力や創造力といったものは、実は、私たちの脳が生み出すものではなく、「ゼロ・ポイント・フィールド」から与えられているということです。
そして、「一般の人間」と「成功者」や「天才」と呼ばれる人間の違いとは、脳の構造や遺伝子的なDNA、先天的な能力の違いではなく、「ゼロ・ポイント・フィールド」と繋がる能力の違いであり、その能力は「心の世界を変える技法」を習得することによって、後天的に身につけられるものであると述べています。
これは、本書の主題でもある『運気』を引き寄せる力というものが、「持って生まれた運の強さ」ではなく、「ゼロ・ポイント・フィールド」に繋がる能力であるということに結論づけられます。
そしてここから、それらの能力を磨くための技法が綴られていくわけですが、ここでは私が感銘を受けた部分をピックアップしていきたいと思います。
「人生の『解釈力』こそが『良い運気』を引き寄せる」
私は前職での激務が祟り、精神疾患に侵されました。
そこから休職を余儀なくされ、その後退職することになりました。
一見すると「不運」に見舞われたように見えますが、今現在新しい職に就き、新しい環境で新しい人たちと働くことができ、また休職期間や退職・転職を経て家族ともより強い絆を深めることができ、結果的に「運が良かった」と思っています。
その場では不幸に見える状況でも、時が経ち俯瞰してみると「運が良かった」と思える時が必ずきます。
「運が良かった」と言うと何か素っ気ないように感じられますが、傍にいてくれる家族への感謝の気持ちに気付くことができたり、自分自身を見つめる本当に良い機会になったと思っています。
本書の最後に著者が述べている通りに前を向いて生きていきたいと思います。
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