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わたしが古本市に関わる理由(出会いと初参加編)byミスミアヤカ

約30km。
これは、私の住む街から古本市の拠点であるうだつ上がるまでの片道の距離です。南橋を渡ったすぐ先にあるうだつ上がるの扉を開けると、あたたかな色合いの光と、楽しそうな話し声が迎えてくれます。今日はどんなお話ができるかな、どんな出会いがあるかなとわくわくする瞬間です。

南橋。



私は、うだつのあがる古本市が初開催された2年前まで美馬市・脇町に縁もゆかりもありませんでした。そんな私が現在うだつのあがる古本市に関わる理由や脇町に通い続けたいという気持ちに至るまでについてのお話しをさせてください。
今回は、古本市の出会いと初参加編です。

歌人・詩人として活動している私が自分の足ではじめて脇町を訪れたのは、第一回目のうだつのあがる古本市(以下古本市)開催の少し前のこと。うだつ上がるの運営をされている高橋さんからお声がけをいただいたことがきっかけでした。
実際に訪れたうだつの町並みに、歴史が積み重なった過去と現在の暮らしの色の調和を感じてとても感動したことを覚えています。
うだつ上がるをどきどきしながら訪れると、高橋さんと、徳島で色々な活動をしている同世代の女の子たちがお迎えしてくれました。はじめて会う彼女たちの共通点は「徳島で何かをしたい」という想い。古本市の発起人である谷あおいちゃんの「徳島でわくわくすることをしたい、始めたい」という気持ちにはとても共感しました。私が大学生の時にも 「まちづくりをしたい」と活動する人達に出会い一緒にイベントのお手伝いをすることはあったのですが、社会人になってからはそういった機会がほとんどなかったので、あの頃の「とにかく何かをつくりたい」という気持ちを思い出しました。
イベント作りやまちづくりというより、体験を通して「日常」を面白くしたいという気持ちを原動力にしているのが、私にとって新鮮な驚きでした。日常が面白くなれば街も面白くなる。当時の私は「自分が生まれた徳島の街を好きになりたい、ここで生きたいと思えるようになりたい」と密かに思っていました。歳を重ねるにつれ周りの友達や大切な人が徳島を離れていくことが多くなるなかで「私が徳島で生きたい理由」を探していたのです。
そんな時に見つけた「徳島で何かをしたい」と奮起する人達と、その人たちが集まる場所との出会い。
今思えば、あの日にはもう既に「徳島でわくわくする出来事」が始まっていたのだと思います。

その年の11月に行われた第一回目の古本市。私は自分の作品集とともに、出店者として古本市デビューを果たしました。早朝の脇町の澄んだ空気と近くの山が青々と広がるうだつの風景に「ついに始まった」と気持ちが引き締まったことをよく覚えています。

そして古本市がスタート!

初参加時の出品物。


当時の私は、歌人・詩人として本格的に活動をしようと足を踏み入れたばかりで、自分の作品や持ってきたものを見てもらうという経験を積み始めていた頃でした。「受け入れてもらえるかな」と緊張していたのもつかの間、はじめてお会いするお客さんや出店者さんとの会話を経て、だんだんと緊張がほぐれて空間を楽しむことができたのです。
同じ場所で出店される方も皆さん個性豊か!お子さんとの思い出の詰まった本をこれから必要とされる方に届けたいという方、読書会で紹介した本や寄贈で集まった本を取り扱う方、本棚を背負い歩く青年…。「古本屋さんって、本屋さんってこんなに自由でええんや…!」と驚きっぱなしの一日を過ごしました。
何より、こんなにあたたかで、「自分の好き」をたくさん表現できる場所を本当に作りあげた古本市メンバーの実行力に感動しました。「いつかやりたい」の「いつか」をいま実行させていたことが、私にとっても大きな刺激となったのです。

本や、本が好きな人に囲まれることやひとつのイベントが笑顔で始まり笑顔で終わる一日を過ごし、気持ちが高まっていたのでしょう。

イベント後に開かれた交流会で
「私も古本市、一緒に作ってみたいです!」
と、私は高らかに宣言をしたのでありました。

徳島市から脇町。片道30kmで通う私の新しい挑戦。
その先には、「古本市をつくる」うえでの発見と出会いの喜びの連続、葛藤に揺らぐ自分と向き合う時間が待っていました。

続きは、後編で。

ミスミアヤカ

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