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ACL第4節 チェンライU戦

折り返しとなったACL第4節チェンライユナイテッド(THA)戦。

ここまでガンバは3試合終えて2-0,2-2,1-1で勝ち点5、得失点差+2という状況。

同グループでライバルと言えるのは全北現代(KOR)であり、その全北は第4節タンピネス相手に4-0と快勝。

チェンライ戦前に結果がわかっていたため、グループ突破をするには是が非でも勝ち点を落とせない試合だった。

7/4に行われた前日会見では、松波監督及び宇佐美選手から何が何でも勝ちに行くという気持ちが見えた。また、松波監督は「我々がやろうとしていることをしっかり明日のゲームでも出し切りたいなと思います。」と松波ガンバのやりたいサッカーを体現したいとも明言していた。

7/5チェンライユナイテッド戦スタメン発表

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フォーメーションは第2節,第3節と同様の3-4-2-1の布陣。前節からスタメン9人を入れ替えた形となった。

試合開始前の時点で気になった点が3つ。

前節70分で交代となったウェリントン・シウバがベンチスタートなこと。左サイドのペアが川﨑、宇佐美で同じタイプを並べたこと。中盤に井手口、奥野と守備的な2枚を置いたことである。

何故前節いい動きをしていたシウバをスタートから使わないのか。ACL3試合消化した時点で出場時間が計73分と、他の選手と比べたら出場時間が少なく、さほど疲労が溜まっているとも考え難い。

また、WBにおいては、第2戦第3戦とLWBはここまで藤春と黒川の左利きのサイドバックが務めてきたのに、急にアタッカーである川﨑を置き、更に、1列前には宇佐美を置き同じタイプを同サイドに置いたことはスタメン発表を見た時点で?が浮かんだ。

中盤のコンビにおいては、井手口,奥野と守守のコンビにすることにより、守備的に入るのだろうと予想した。

7/5 1:00 《キックオフ》(日本時間)

チェンライボールで定時にキックオフとなった。

キックオフ直後から、チェンライは立て続けにロングボールを帆織り込んできた。

基本フォメは3-4-2-1、守備時は5-2-2-1。攻撃の際は奥野が少し降りてきてボールを受け、井手口が少し前目にポジショニングを取っていた。

開始直後はチェンライがボールを握る展開だったが、前半4分ごろからガンバの時間帯になった。

ここで松波ガンバのやりたいサッカーが少し見えた気がした。

中央から左右に振り、相手を広げたタイミングでボランチが縦にボールを入れ、相手が食いついたところでWBに預けて中にクロスを上げるというサッカー。

それが前半4分の矢島→宇佐美→奥野→川﨑→菅沼→井手口→宇佐美→川﨑→矢島でシュートシーンまで持ってった形から伺える。

また、LWBに右利きの川﨑を置くことで、左サイドから右足でクロスを上げるため、キーパーからしたらボールがゴールに向かってくる感覚になる。そのため、相手キーパーからしたら、出るか出ないかの判断1つがゴールに直結する選択になる。第3節ではゴールから逃げるようなクロスを上げていたこともあり、相手キーパーの判断ミスという部分も戦術の1つとして取り入れていたのではないだろうか。

《前半5分》

直後のゴールキック。相手キーパーから右サイドへロングキックが放たれ、対応したのは川﨑。攻撃的な選手でもあるため、落下点から少しずれたのか、ボールを打ち上げてしまう。そのこぼれを拾ったチェンライ6番のスクジッタムマルクが、9番ビルとワンツーから小野瀬の裏を取った7版フェリペにダイレクトの浮き球を送球。トラップからシュート。Jで何度もピンチを救っている東口でさえも止めることはできなった。

この失点、大きく分けて3個の要素があると考えられる。

先ず第一に、最終ラインからトップであるペレイラまでの距離感が間延びしすぎていたこと。川﨑がボールを打ち上げた時点で、最終ライン3枚と川﨑で4バックを形成。奥野は戻っていたが、井手口の戻りが少し遅れていたため、小野瀬は最終ラインに吸収されずに1列前に残った。しかし、相手の6番に対して誰も競り合う姿勢を見せなかったため、ドフリーで軽々とトラップをされる。この時点で相手はボールを自由に扱える状態になっているため、1つコースを消したところで他の選択肢に移ることができてしまう。更に言えば、前線3枚はジョグで戻ってきていることが伺える。この時点で中盤から前と距離が乖離しすぎている。全体が間延びしていたのが1つ目の失点の要因。

第二に、相手ボールになった後の対応である。相手の6番がトラップをし終えたタイミングで奥野が刈り取りに行くも、ビルとのワンツーで剥がされてしまった。ここは本来相手がトラップする瞬間を狙うか、飛び込まずに縦のコースを消す選択をして、井手口の戻りを待つほうが良かったのではないだろうか。トラップされて焦って飛び込んだことにより、ワンツーで簡単にはがされ、相手を一瞬フリーにさせてしまう展開を作ってしまったのが2つ目の失点の要因。

第三に、相手の1トップである9番のビルに対して、三浦がついていくのか昌子がついていくのか曖昧になった事。相手の6番がトラップして、それに奥野が食いついた瞬間にビルがガンバの最終ラインのライン間から少し降りてボールを受けに来た。それに対して昌子が付いていかなかったため、三浦が大外にいた相手の7番のマーク捨ててビルにプレスをかけようとベクトルの方向を変えた。ここで三浦がビルに食いついてしまうことにより、大外にいる相手の7番の選手がフリーになってしまった。

更に言えば、この第三の要素が起きた時点で、ガンバの選手全員が6番に対してボールウォッチャーになっている。そのため、小野瀬が頑張って戻ったところで時すでに遅し、キーパー東口との1対1に持ち込まれてしまったのだ。

ではこの場面失点しないためには何をすればよかったのか。

LWBに川﨑を起用している時点で、藤春や黒川と比べて守備面で脆さが出るのはわかっていたはずなので、川﨑がゴールキックを打ち上げてしまったのは仕方がないと言える。(ましてや後ろからくるハイボールの処理だったため。)

奥野が相手6番に対して競り合いに行けたかというと、不可能だったと感じる。というのも、少し下がり目に奥野がポジションを取っていたため、無理に競り合いに行ってかわされては余計ピンチを招いてしまうからである。

その場合先ほども書いたが、井手口の戻りが遅れていたため、相手がトラップして自由にボールを扱える状況になってしまったので、奥野としては飛び込まずにパスコースを塞いで井手口の戻りを待つべきであった。

また、三浦が大外の7番のマークに付いていたため、昌子が相手の9番に対してついていき、三浦に7番に付いていくようにプレーで示す、もしくは声かけを怠らなければ相手の7番は裏でフリーでボールを受けることはなく、小野瀬のカバーも間に合っていたと考えられる。

《前半9分》

奥野が抜け出すもオフサイドになったシーン。この時間帯チェンライはラインを低く設定せず、トップから最終ラインまで画面に収まるほど比較的コンパクトに守備網を敷いていた。そのため、裏へのスペースはもちろん空いていた。

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ペレイラと宇佐美の動き出しが少ない中で、中盤でボールを回しているときに、シャドーの位置に入った矢島が下がってきて相手の3バックの一角を前に釣り出し、空いたスペースに奥野が走り込み、ペレイラを経由してオフサイドにはなったがフリーの奥野にボールが繋がった。

この形は矢島が下りてくることにより、相手を釣り出しているため、逆サイドのペレイラ,宇佐美,井手口のコンビでもできるはずだが、この試合では井手口がスペースに走り出すことは少なかった。

前半10分以降チェンライ側のポジショニングに少し変化を感じた。

チェンライは前半9分に奥野がフリーになった場面以降、1トップのビルを前に残して全体的にラインを下げて裏のスペースを消してきた。ということは、矢島or宇佐美が下がってボールを受けに来たとしても、相手の最終ラインと中盤でマークの受け渡しが行われやすくなる。スペースを消されて以降は、相手守備ブロックの外側でボールを回す時間帯が多くなってしまった。

《前半17分》

相手キーパーがファンブルしたボールを川﨑が回収し、宇佐美に預け、ターンして相手を剥がして左足でクロスをいれ、矢島が飛び込んだ場面。ペナルティーエリア内には相手選手がキーパー含めて8人、ガンバの選手は矢島,ペレイラ,小野瀬の3人。

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一番大外の小野瀬はフリーなものの、宇佐美も逆足でのクロスだったのでそこまで届くことなく、ペナルティーエリア中央ややニア寄りにクロスが上がり、最後は矢島のヘディングが枠外に逸れた。

何故高さのあるペレイラではなく、矢島が飛び込んだのか。正確には、矢島のもとにクロスが来たと言ったほうがいいだろう。

というのも、宇佐美が相手ディフェンダーを振り切ってクロスを上げたシーンで、ペレイラに対して相手は2枚マークに付いていた。逆に矢島が飛び込んだスペースに対しては、マンマークでマークではなく囲い込むようにゾーンで守っていた。

ペレイラは第3節で佐藤のアーリークロスを左足で合わせてチェンライ相手に点を奪っている。中2日で同じ相手ということもあり、チェンライ側は高さがあり裏に抜けるタイプのペレイラに対して、ゴール前では1人ないしは複数マーカーを置き、クロス対策をしていたと考えられる。

ペレイラに対して複数枚マークがつくということは、他のスペースが空くわけで、今回は小野瀬がフリーになることができた。逆に失点する前の川﨑→矢島の流れも同じように、ぺライラに対してマークの意識を強めた結果、ファーサイドがフリーになりやすい形となった。

ファーサイドが空くのはわかったものの、何故ニアで矢島がクロスに合わせることができたのか。理由簡単で、矢島はクロスに対してスペースに飛び込んできた。つまり、クロスが上がる前には矢島はそのスペースにはいない。更に言えば、クロスが上がった瞬間チェンライの選手は、皆ボールウォッチャーになっており、飛び込んでくる矢島に対応できなかったというわけである。

《前半19分》

小野瀬のスローインから奥野→井手口→菅沼→川﨑→矢島でフィニッシュにつなげたシーン。

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宇佐美が外に開くのではなく、中央によっていたことにより川﨑が使えるスペースが増え、相手RWBとの1対1を仕掛けられた。また、川﨑が仕掛けている間にニアからペレイラ,宇佐美,矢島の順にペナルティーエリア内に侵入していった。この時また2分前と同じ現象が起きた。

矢島のマークに付いていた33番の選手が、最初は矢島のポジショニングに対して首を2回振って確認したものの、ペレイラが気になったのか、矢島から数秒目を離してしまった。そのため、相手の視界の外に出た矢島は簡単に相手の前に入り込みクロスに反応することができたのだ。

その1分後、川﨑が相手のトラップミスをカットし、宇佐美→ペレイラ→川﨑とつながったシーンでは、川﨑が相手の背後に動き出すペレイラに対してパスを出せなかったところが少し気になった。

あの面で縦パスが通ってたとしたら相手キーパーと1対1に持ち込めたはずだ。今シーズン数回しか出ていない川﨑とペレイラとの関係はまだ浅いと感じられる一面でもあった。

前半1トップがペレイラだったこともあり、ジョグでプレスには行くものの、縦のパスコースしか切れていないため、左右どちらにも展開される可能性があり、ペレイラがプレスに行ったところで、宮本体制で見せていた全体としての連動したプレスもなくなっているため、間延びするだけして相手にフリーでパスを出させてしまうことが多かった。また、いくら昌子、三浦がマークに付こうと、相手9番のビルに収まってしまうため、相手のペースで試合が進んでいってしまった。1トップに収められてしまうのであれば、パスの出どころを封じるべきだったのではないだろうか。

《前半44分》

左サイド深い位置で矢島の浮き球から川﨑へという場面で川﨑がペナルティーエリア内で倒された場面。

遠目から見るとファールではないかとも思えたが、リプレイを見ると相手の2番は正当なチャージをしているため、ファールはない。あの場面でフィジカル負けをしてしまうとJ1で川﨑は戦えるのか心配になってしまう。

《前半終了》

前半は0-1で折り返しとなった。立ち上がり5分~10分は前からプレスに行き、相手ゴールへと攻め立てる姿勢は見えたものの、失点後から縦パスが入らなくなったり、プレスに行けなくなったりと、チーム全体として動きが重くなっているように見えた。

リアタイで前半を見たときの主の感想はこれだ。

前半終って正直こんなサッカーをしてたら後半勝ち越せる気にはならないし、最終節の全北現代に勝てるはずがないとも思っていた。

《後半0分》

松波さんにしてはすごい早く動いたなと印象を持った。

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outペレイラ→inパトリック、out川﨑→in黒川と、前半プレスに行けてなったペレイラと相手のカウンターのターゲットにされていた川﨑を下げて、前からプレスに行けるパトリックと、縦に突破してクロスを上げられる黒川を投入してきた。

パトリックが1トップに入ったことにより、クロスを入れれば前半より簡単に競り勝ってくれるため、サイドからの攻撃の脅威は増したと感じた。また、パトリックが前からコースを遮断してプレスに行くため、前半のようにチェンライがバックパスをしまくる展開も少なくなった。

《後半5分(50分)》

井手口がイエローカードを受けた場面。足裏を見せてスライディングをしているものの、相手は受け流していてそこまで危険なプレーに取れないため、イエローカードを提示する必要はないと感じた。仮にここでイエローを出すのであれば、前半小野瀬に対してファールをしていたチェンライ7番のフェリペ、前半から明らかにゴールキックが遅かったチェンライ22番のキーパーに遅延行為として、イエローカードを1枚ずつ提示するべきではないだろうか。

後半川﨑に代わって入った黒川はDFの選手ということもあり、ハイボールの競り合いで負けることがなくなり、守備が安定したのは今後の収穫になったのではないだろうか。

《後半8分(53分)》

矢島が放ったグラウンダーのクロスにも見えるシュートが、相手にリフレクションをしてゴールネットを揺らした。

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スローインを受けた相手に対して、相手の背後からパトリックがプレスに行き、前へのパスコースは奥野がいるため、後ろに下げざる得なくなったチェンライは、ダイレクトでバックパスをするも、それを狙っていた矢島がインターセプトから相手ペナルティーエリア内に侵入し、放ったボールが相手にあたってゴールに入った。

この早い時間帯で追いつけたのは、勝つしかないガンバにとっていい展開だったと伺える。

《後半10分(55分)》

続けざまに良い形を見せるガンバ。

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右サイドからサイドチェンジされたボールを奥野が受け、バイタルにいる宇佐美へ。宇佐美が左サイドに流れながら相手を引き付け、空いたスペースに走っている黒川へ。黒川が仕掛けてクロスを上げて飛び込んできたのはまたしても矢島。

相手がパトリックに警戒しているからこそ矢島がフリーで飛び込むことができるのである。前半からこの形が多くみられる。

《後半12分(57分)》

自陣で菅沼とビルがやりあった場面で、菅沼は前節累積で1枚カードを貰っているため、手を出さないほうが良かった。この場面でカードが出なかったのは幸いだった。ただ一つ付け加えるなら、相手9番のビルのシミュレーションを取ってカード出しても良かったのでは?と思ってしまう。

《後半15分(60分)》

ここでガンバにアクシデント。

前半から再三ゴール前に飛び込んでいた矢島が両足を痛めて負傷交代。代わりに倉田が投入された。

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倉田はそのまま右のシャドーの位置に入った。

《後半23分(68分)》

倉田がロストしたボールを相手がカットし運ぶも少し流れたため、奥野がスライディング。相手も遅れてスライディングをしたため、正面衝突したが相手ボールになってしまう。奥野がスライディングをしたタイミングでは、相手はボールをコントロールできない位置にいるため、フィフティーフィフティーのボールになっているはずなので、遅れてスライディングしてきた相手のファールのはずなのに奥野のファールを取られるという謎判定。ただこの謎判定もACLにはつきものなのでイライラしてもしょうがない部分でも会う。

またこのタイミングでチェンライは左のシャドーに入っていた7番フェリペに代えてパンヤを投入。

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《後半27分(72分)》

先ほど相手と交錯した奥野に代わって、前節スタメン出場した山本が投入される。

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山本が投入されることにより、中盤の構成は攻守の組み合わせになるため、山本投入には点を取りに行くというメッセージが込められていた可能性が高い。

ここまで倉田が入ってアグレッシブに攻守に走っている印象ではあるものの、矢島がいたときよりも攻撃が停滞している感が否めない。

《後半30分(75分)》

相手のスローインから9番ビルが受けたところを、菅沼が後ろから倒してしまいイエローカードが出される。これにより累積2枚となったため。次節菅沼は出場停止となる。ただここも、イエローを出すほどのファールだったかというとノーカードの判定でもよかった気がする。

《後半32分(77分)》

チェンライはRWBのワサンに代えて17番ソムキッド、8番チョ・ジフンに代えて27番ヴェルズーラを投入。

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《後半34分(79分)》

チェンライUキーパーのアピラックに遅延行為としてイエローカードが提示される。

ただ、前半から同じように時間稼ぎをしてたから、レフリーによっては2枚目で退場になってた可能性もありうる。

《後半37分(82分)》

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1枚カードを貰っている菅沼に代えて一美を投入。これにより交代枠5枚を使い切った。

一美を入れることにより、前での起点を増やし、4-3-1-2にシステムを変更することで、宇佐美を中央で使い、ミドルorドリブルorゲームメイクをしやすい場所に置いた可能性が高い。

《後半42分(87分)》

倉田が仕掛けて敵陣中央ペナルティーエリア手前でフリーキックを獲得。ボールの前には宇佐美と黒川が立つ。キッカーはこれまでもプレースキックを蹴ってきている宇佐美。ゴール右隅に巻いて落とそうとするも落ち切らず枠外へ外れた。

ヤットさんがジュビロに行ってから宇佐美がセットプレーのキッカーを務めているが、正直あまり可能性を感じることができない。逆にこの時間にピッチにいた山本は、今シーズンまだコンディションが上がりきっていないものの、昨シーズンアウェイ仙台戦で同じような位置から直接FKを沈めていたので、この場面のキッカーは山本に蹴って貰いたかった。

《後半44分(89分)》

チェンライはシナパット、シワコーンが下がり、サワディ、タナサックを投入。

《後半45+1分(91分)》

一美が相手を後ろから倒してイエローカードを提示される。

いくらゴールを取らなければならないと言っても、正直いらないカードだった。

《後半45+2分(92分)》

井手口→三浦→パトリック→倉田→井手口で崩すもキーパー正面に飛びはじかれる。

その後、宇佐美からのアーリークロスに三浦が飛び込むも、またもやキーパーにセーブされる

《後半45+3分(93分)》

試合終了。1-1の引き分けで、残り2戦勝ったとしても最大勝ち点は12となる。

この試合、前半の早い段階で相手に先制点を取られたのが最悪の事態だったと感じている。

先制点を取られてから、明らかに相手はバックパス多めのセーフティーなサッカーにシフトチェンジしており、前から全体で連動してプレスに行かなければマイボールになることが少なかった。また、全体として動きが重く見え、本当に勝ちに行く気があるのか見ていて疑問に思った。

第3節と第4節のメンバーをみて、主力に追いつけていない選手もいれば、主力だがサブ組に抜かされてもおかしくない選手もいるように感じた。

僕自身が特にそれを感じたのは、主力で言えば井手口、三浦、宇佐美、ペレイラ、倉田。サブで言えば佐藤、川﨑、黒川である。

宇佐美とペレイラは少し違うので後に回すが、問題は倉田、井手口、三浦だ。

倉田は第3節でボランチで起用されたが、前に運ぶドリブルは特出したものを持っていると思うが、他の試合でシャドーで出た際に、受けてから必ずと言っていいほど捏ねたがるため、ショートカウンターをかけても、そこで攻撃が停滞したり、見方がいるスペースにドリブルで進んでいってしまいスペースをつぶしてしまうなどあり、正直シャドーの位置で出すのは得策とは言えないだろう。

三浦に関しては、相手が深い位置まで侵入してクロスを上げてきた際にはじき返せるのは強みだと思う。また、同ポジションを争う佐藤や高尾と比べても飛び込みすぎないという面では不安要素は少ない。但し、第4節の失点シーンもそうだが、キャプテンマークを巻いているにも関わらず、大事な場面での声掛けだったりが少ないような気がする。また、、攻撃参加するときも、基本受けたらバックパスか小野瀬にパスを出すだけで、佐藤や高尾のようにアーリークロスを上げたり、高い位置を取ったりすることがほぼ皆無なので、攻撃のバリエーションが減ってしまうのが難点でもある。そのため、前の威力が高いチームには三浦を、引いてくるチームには佐藤や高尾を起用していくほうが効率よく勝ち点を重ねられると感じる。

重症なのは井手口だ。昨年怪我をする前まではコンディションが良く、井手口がいた時といない時で守備の強度が相当変わるレベルのスーパーな選手だったが、今シーズンはボールロストも多く、ドイツから帰ってきたときの悪い井手口になってしまっていると言っても過言ではない。コンディションがいいときは、コーナーからダイレクトでボレーを枠に飛ばしたり、自分の間合いで刈り取りに行ける選手であるため、重宝されるが、現状のコンディションならば倉田-奥野or山本-奥野orセジョン-奥野の組み合わせでJを戦たほうが勝ち点を取りこぼさないのではないかというレベルにまで落ちている気がする。

続いて宇佐美とペレイラに関して。

宇佐美は第2戦の全北現代戦で矢島へのクロスからパトリックのゴールを演出したが、動いている中でのキック制度は高く、ドリブルも相手を抜けるだけの力を持っているのに、ゲームメイクをしようと降りてきてゴールから遠ざかってしまうのがもったいなく感じる。2回目にドイツに行く前までの宇佐美は仕掛けに行く姿勢があり、相手もそれを脅威に思っていたはずなので、ゲームメイクというよりかはペレイラやパトリックの近くでプレーして、なるべくゴールに近い位置で勝負してほしい。セットプレーに関しては、あまり期待が持てないので、山本や矢島がいる場合はそちらに任せて、自身はシュートを枠に飛ばす力はあるはずなので、こぼれ球をミドルで狙うなりしてほしい。

ペレイラに関しては、まだチームとしてどのように活かすか決まってないように感じる。ペレイラ自身元々守備をがっつりやるタイプではないし、どちらかというとスペースで受けたり、シャドーの選手とコンパクトな距離で関わることで怖さを増す選手だと思っているので、第4節チェンライ戦のように、むやみやたらにクロスを上げるのではなく、宇佐美、矢島をもっと近い距離でプレーさせる、もしくは、コンビネーションのいいシウバと一緒に使うなどしたほうがよさそうだ。というのも、広島時代は森島、ヴィエイラと近い位置で、3人でフィニッシュまで行く形が多かった印象が強いので、シャドーの位置に置く選手との組み合わせの問題もあるような気がする。

ここからはサブ組の期待の選手について。

先ずはCBの佐藤選手。今季明治大学から加入したルーキー。Jでも数試合出場しており、特に印象深いのはACL第3節チェンライ戦のペレイラのゴールをアシストしたアーリークロスだ。ダイレクトでピンポイントのクロスを出せるCBは数少なく、ガンバで言えばLCBを担当するヨングォンが比較的得意としているが、右サイドの同ポジションで見れば三浦、高尾がいる中、高尾は小野瀬を追い越して深い位置まで侵入できるポテンシャルを持ってるが、アーリークロスを上げるシーンはほとんど見ない。逆に三浦はクロス自体を上げることが少なく、ショートパスで繋ぎたがる癖があるので、右足で精度の高いクロスを上げられる選手としてこれから早い段階で対等してくると思う。一つ不安材料なのは、飛び込んでしまって裏を取られてしまうことがある。

黒川は昨シーズンまでガンバU-23で戦っていた一人。藤春の怪我により、全北戦で途中から入るも期待に応えられなかった。だが、続く第3節チェンライ戦ではインナーラップをしたりオーバーラップをしたり、攻撃面で多彩な考えを披露したほか、走力もあり守備面でもすぐに戻れるのでLWBやLBでの活躍に期待を持てる。一つ注文するなら、クロス制度がもう少し上がればもっと怖い選手になれると感じる。

最後に川﨑について。今シーズンこれまで出場機会が少なく、ゼロックスの川崎戦では3トップの一角で出場した。今回のチェンライ戦ではシャドーではなくLWBのポジションでスタメンに名を連ねた。元々攻撃的な選手であるため、守備面では相手の起点にされたり、ロングボールの処理ミスを狙われたりして前半のみで交代させられたが、前半左の深い位置で切り返してクロスを上げたりとチェンライ相手に攻撃面ではいいアクセントになっていたと感じる。それこそLWBに昨年までU-23で一緒にプレ^していた黒川を置き、川﨑を宇佐美の位置であるシャドーに置いて、より攻撃に特化させるようにしたほうが活きるのではないかと感じた。

というように、今後のガンバがJで残留、ACLで決勝トーナメントに行けるかは、サブ組の突き上げと、それによっておこるポジション争いの激化によって変わると感じる。

ここで7/6の1:00現在の順位表を見てみよう。

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5試合消化しているのはグループGのみだが、グループGは最終節で名古屋と浦項が戦うため、名古屋が負けなければ浦項の最大勝ち点は11となる。その場合ガンバが残り2連勝すれば2位のチームの内最下位はなくなる。

残りのグループは2試合ずつ残している状況であるので、グループFから見ることにする。

グループFの第5節の組み合わせは、蔚山-ベトテル、カヤFC-BGPユナイテッドのため、蔚山及びBGPユナイテッドは勝ち点を積み上げることが予想され、得失点差の観点から見てもガンバがこの2チームより上に行けるとは思えない。

グループI

次節川崎- 大邱の組み合わせになっているが、最終節大邱は最下位のセレスFCと当たる。また、得失点差の観点からみても、現時点で+14のため、2位通過確実と言える。

グループJ

2位傑志は次節3位のポートFCと、最終節にセレッソと戦う。初戦でポートFCに対して2-0で勝利しているため、第5節で傑志がポートFCに勝つ可能性は高いが、得失点差が4節を終えて+3とガンバと比べて1しか差がないため、最終節セレッソが勝てば最大は勝ち点は12となる。

そうなると、ガンバは残り2戦を複数得点差で勝たなければならない他、2連勝しなければいけないことは確かである。2位通過ぎりぎりの3/5に入れるか入れないかの勝負になるので、何が何でも点を取らなければならない。

そんなガンバの次節の相手は初戦で当たったタンピネスである。初戦ほぼフルメンバーで行った中2-0としょっぱい試合になってしまった相手でもあり、相手には日本人の仲村選手も在籍している。

そんなタンピネス戦、最終節の全北現代戦のためにたTOするのか曖昧な所だが、残り2試合勝たなければならない試合なので、TOするよりも、主力で固めてやれるところまでやってみてほしいと思う。

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現状の序列的にはこの形が予想される。そのためタンピネス戦では怪我人の度合いにもよるが、右のシャドーに倉田、LWBに黒川が入り、後は概ね1番手の欄に記載されている選手で組んでくると予想したい。

勿論最近出番がない湧矢や、出場時間が短いシウバ、第3節でアーリークロスからアシストした佐藤、今季愛媛からレンタルで加入している加藤も今後Jを戦っていくうえでチームになじませていってほしい部分もある。

特に湧矢は数少ないファイター型のユーティリティープレイヤーでもあるため、無理をしない程度に試合に出してほしい。

ここまで長々と書いたが、怪我人には無理をさせずに今いる選手で何とか頑張ってもらいたい。

また、松波さんに関しては、交代が遅いなどの声が上がっているが、トップでの監督としたら8年間も現場を離れていたこともあるし、急遽引き受けてくれたのだから、松波さんをそこまで責めることはできないと自分は思う。

それこそ徳島と横浜FCに2連勝しただけで正式に監督として就任させて、後任監督に振られたフロントのほうが大問題だと僕は思う。

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