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進化する自治を構想する 18「地域の地力を強くする取組み」

 ucoの情報の基本としている「自治」。一言で自治といってもその範囲は広い。ucoとして扱いたいと思っているテーマも、いまよりももっと数多くある。
 大阪における教育政策は、ほんとうに惨憺たるものがある。大阪市では、昨年3月31日をもって、市立高校の廃止が行われ、大阪府に移管されると共に、土地・建物、備品などの財産は、無償で府に譲渡されている。財産無償譲渡については、譲渡の差し止め、賠償盛況絵を求めて、現在住民訴訟が行われている。財産譲渡も自治法に照らすと違反が明らかなわけだが、市立高校の廃止によって、280万人からなる政令指定都市において、高等教育が無くなってしまったということだ。しかも、高校廃止の決定に至っては、本来行うべき教育会議の場で討議された形跡はなく、教育的配慮によるものではなく、ただただ政治的な意思によるものだったことが明白となってたいる。
※大阪市立大学は、2022年に府立大学と統合され、大阪公立大学となっている
 また、高等教育だけでなく、小中学校の統廃合も進められている。生野区西部では、12校の小学校を4校にするという、1クラス当たりの定数割れを理由に、過疎地が行う優な統廃合が強引に進められた。現在、淀川区や港区など、他の区でも同様の統廃合が進められている。
 大阪維新の目玉政策として、高校の無償化がクローズアップされ、一部の市民にもてはやされている。しかし、高校無償化は私学(民間)への助成である。本来自治体としては、公教育を充実させる必要があり、それは小中学校も含め、教育環境を充実させ、魅力ある学校をつくっていく。それこそ自治体の義務ではないか。高校の授業料無償化については、国が行うよう働きかけることであって、自身の自治体の公教育予算を、私学助成に回すことではない。
 
 少子化や高齢化によって、就学児童や生徒の極端な減少が起こっている地域がある一方で、廃校跡をタワーマンションにしたり、旧来からの文教地区などでは、全校生徒が1000人以上のマンモス校も多く出現する事態となっている。教室が足りない、運動場で遊べない、運動会は全校児童ではできないので、学年を割って2回に分けて行うなど、こうしたことにも対策は取られていない。
 
 小中学校の廃校は、単に学校が無くなるというだけでなく、地域を結びつけるキーであったコミュニティの喪失と、コミュニティで行われていたさまざまな地域文化が、無くなってしまいかねない。また学校は災害時の避難所や防災拠点にもなっており、そのような地域そのものの存亡にも関わってくる。
 例えば防災面についても、大阪は、非常に対策が遅れていると言わざるを得ない。大阪市の西半分の地域は、南海トラフなどの海溝型大地震が起こった場合、津波によって浸水すると予測されており、海浜地区ではビルの3階までが飲み込まれる可能性がある。しかし、その避難方法や避難路の周知徹底などが十分ではなく、多くの市民はどうしていいのかを知らされていないに等しい。
 また、災害時は、公的支援が行き届かないことが言われているが、では災害時の食料の時給や供えについて、どれほど真剣に対策が練られているのかといえば、心もとない。

 文化面でも、地蔵尊や史跡保存など、地域の歴史や文化を継承する様ざまな活動を地域が担っている事例は多くある。このような文化や地域文化圏を中心としたコミュニティによって、地域を結びつけている面も取り上げ、紹介していくような取り組みも行っていきたいと考えている。。
 防災であれ、文化継承であれ、地域として、どのように力をつけていくのか。地域の地力を強くしていく取組みが、今後必要なのではないか。それが「自治」を考えるきっかけとなってほしい。今後は、講座も含め、もっと多彩な方をお招きして、自治を考えるテーマの層を厚くしていきたいと考えている。

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