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【読書】今読んでいる本

【備忘録6/3】
経営には「 新たな事業機会の発掘(探索)」と 「既存の事業の深掘り(深化)」が重要だと説く。

両利きの経営を実践し、企業を変革するカギとして注目を集めるのが「組織カルチャー」だ。 NewsPicksでは、企業の組織カルチャー変革に伴走する「NextCulture Studio」という新しい事業を立ち上げた。 オライリー教授の日本における共同研究者で、『両利きの組織をつくる』(英治出版)の共著者でもある組織コンサルタントの加藤雅則氏に、NewsPicks NextCulture Studioの山本雄生が 組織カルチャーを理解するためのポイントを聞いた。

ここで言う「組織カルチャー」は事業理念や価値観・社風といったふんわりした概念ではありません。その企業の「行動様式」であり、具体的な「仕事のやり方」です。

今、日本でも組織のカルチャーが改めてスポットライト浴びつつあります。

それは、組織の多様化が進み、さまざまな人が集まることで、「阿吽の呼吸」のコミュニケーションが難しくなってきているからでしょう。

だからこそ、組織を束ね、組織能力を発揮していく上でもカルチャーが求められるのです

カルチャーが確立すれば求心力が生まれる

組織カルチャーが確立している会社には、2つの大きな循環が生まれるというのが僕の仮説です。

1つは、自分たちの強みとなる行動様式を確立すると、社内の求心力が生まれます。

もう1つは、対外的な意味での「ブランド」です。

僕がオライリー教授にお会いした1990年の頃は、「カルチャーをいかにマネージメントするか」という発想は、日本でも当たり前だと思われていました。むしろ、組織カルチャーの考え方は日本企業の研究が原点とも言われていたのです。

長期・終身雇用をベースにした「日本型経営」の仕組みは、どの会社にもありました。キャッチアップ型で一定の正解があり、その正確に効率的にたどりつくことが勝ちパターンを生む源泉でした。

競争に勝つために戦略よりも重要なこと

現在は企業間の競争が複雑化しています。このままの業態ではダメだという場合、単純に、事業や領域を変更したり拡大する戦略だけで戦っても勝てる状況ではありません。

大切なのは、戦略以上に、「組織能力と実行力」です。

従来は戦略を重視し、「どこの市場へ参入するか」という思考やアイデアが重要でした。ところが、世の中がフラットになったので、情報はすぐに共有されます。アイデアや戦略そのものではなく、「いかに早く実行できるか」が競争の主導権を決めるわけです。

「両利きの経営」でも知の探索・深化という概念や思考レベルではなく、いかに新しいアイデアを生み、実装し、手の内に取り込んで量産化へ持ち込んでいくかを説いています。
たとえば、シリコンバレーへいくら視察に行っても実行が伴わなければ意味がありません。組織能力を発揮し、プロジェクトを実現へと推進する組織カルチャーこそが、今は重要なのです。

NetflixとAGCからの学び

事例でよく挙がるのはNetflixです。NetflixはDVDレンタルからオリジナル番組を作り、ストリーミング配信する世界的企業へと変貌しました。

CEOのリード・ヘイスティングは、「最初にコンテキストを設定して、会社全体のアライメントの土台を作る」のがCEOの役割だと言っています。

日本企業であれば、「両利きの経営」の実践企業としてオライリー教授の論文にケーススタディとして登場するのがAGCです。

AGCは、創業100年以上の歴史を誇る世界最大手のガラスメーカーですが、2010年に史上最高益を出したあと、4期連続の減益に見舞われていました。2015年にCEOに就任した島村琢哉氏(現会長)は、既存事業を維持・強化することで次の成長エンジンとなる新規事業を創出することでV字回復を果たした。

組織カルチャーの重要性を認識していた島村氏は、
「人が動きやすい環境を経営陣が提供し、人が動くことで、はじめてビジネスが動き出す」と語っています。

人が動きやすいコンテキスト(文脈、大筋、大枠)を作ることが経営者の役割だというのは、まさしくカルチャーチェンジを指します。

上意下達では組織は動きません。現場が裁量をもって動くなかから、時代の変化や市場の変化を感じ取ってチャンスを取り込んでいく。今まで手つかずだった“カルチャー”こそが「残された競争力の源泉」と言えるでしょう。

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