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セーフティ・サポートカーとは

【はじめに】

自動車メーカー各社が自動ブレーキ等の運転支援装置を開発し、各社しのぎを削っています。

新技術が出てくると各社各様の名前を付けて複雑化するため、ユーザーには分かりづらくなる面があります。

これまでも名称が共通化されないことで混乱を招いてきた背景があります。

そのような反省を踏まえ、国が運転支援システムに対して共通の指標を付けるように施策されたのがセーフティ・サポートカー(サポカー)です。


【ネーミングに関して】

セーフティ=安全、サポート=支援、カー=車です。

直訳すると安全支援車となります。

ネーミングに関しては日産が運転支援装置の事を自動運転技術とCMしていることも影響していると思われます。

自動運転ではなくあくまで運転支援であるということを強調する名前です。

ただし、あまりキャッチーではないですね。

やはり自動運転という言葉のインパクトは大きいです。


【3つのランク分類】

技術的な難度に応じてランク分けされています。

メーカーの技術力(=競争力)が分かるようにするためです。

ただし、ユーザーから見るとシチュエーションや利用価値に応じているわけではないので分かりづらいです。

〈ベーシック〉
低速(30km/h以下)自動ブレーキ(対車両)
ペダル踏み間違い加速抑制装置

〈ベーシック+〉
自動ブレーキ(対車両)
ペダル踏み間違い加速抑制装置

〈ワイド〉
自動ブレーキ(対歩行者)
ペダル踏み間違い加速抑制装置
車線逸脱警報
先進ライト

出典:セーフティ・サポートカーの概要 経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170510002/20170510002-1.pdf


【機能説明】

〈自動ブレーキ〉

対象物をなんらかのセンサーによって認識して障害物を検知したらブレーキをかける仕組みです。

低速(30km/h)→対車両→対人の順にレベルが上がっていきます。

速度が高いとそれだけ応答速度を問われますし、リスク対象も多くなります。

対車両ではレーダーのみでも検知出来ますが、対人となると画像認識が必要です。


〈ペダル踏み間違い加速抑制装置〉

前後をセンシングして、障害物を検知しているときは加速しない(アクセル操作キャンセル)をする装置です。

踏み間違い事故の多くは駐車場で発生しています。

このことからほとんどが低速もしくは停止時に発生していると予想されます。

低速に限定するとセンサーにカメラやレーダーだけでなく、古くからあるソナーを使っても実現できます。

昔からあるセンサーを使うと、信頼性が高くコストも抑えることが出来ます。

このことは普及を図ることにつながります。


〈車線逸脱警報〉

これはカメラがないと話になりません。

映像から車線を認識し、進路が車線から逸れそうな時に警報を鳴らして車線の逸脱をドライバーに知らせます。

ウィンカーを出していれば警報は鳴らないようになっています。

この機能と電動パワステの制御を組み合わせて車線逸脱補助→車線逸脱防止→同一車線維持という風に制御を拡張できます。


〈先進ライト〉

AFS(アダプティブ・フロントライト・システム)の総称で、かなり以前から照射範囲をコントロールする車はありました。

主に左右に照射方向を振ってカーブでも進行方向にライトを向けるものでした。

最近はいわゆるオートマチックハイビームがよく言われます。

これは前方の車両の幻惑をしない範囲でハイビームに切り替えます。

前方の車両を検知した場合は自動的にロービームに切り替えます。

さらに進んだ機能のライトは光の範囲をコントロールして対向車を照射しないよう照射範囲を狭めます。
(部分的にハイビームになったりもします)

この装備は自動運転のカメラ機能を補助するためにとても重要なので、将来的にも装備や機能が充実していきます。


【機能制限】

周辺監視が正しく行えていないとどれも正しく出来ません。

例えば、カメラやレーダーが汚れていたり、雨などで常に映像が歪んでしまっては正しく認識できません。

ガラスもカメラでは見えないため検知できません。

急な坂道は逆に路面が障害物に見えてしまいます。

坂の頂上付近では路面が見えません。

特殊な外観をした車両は対象から外れるかもしれません。

部分的に見えている、もしくは隠れている車両や歩行者なども正しく認識できません。

三輪車や車椅子や自転車やバイクも正しく認識するかわかりません。

これらの装置を装備した車の説明書を見ると、これでもかというくらい、「こんな時にはうまくいきません」と書いてあります。

TVCMでも「作動には一定の条件があります」と比較的大きな字でテロップが表示されています。


【各メーカーの呼び名】

それぞれ単独の機能名はわかりにくく個別に付いていますが、安全パッケージに特有の名前をつけているメーカーもあります。

トヨタ トヨタセーフティーセンス(TSS)
ホンダ ホンダセンシング
日産 特になし
マツダ アイ・アクティブセンス (i-ACTIVSENSE)
スバル アイサイト(EyeSight)
スズキ 特になし
ダイハツ 特になし
三菱 特になし

最近は自動車メーカーの打つTVCMでもサポカーという名前が登場しています。


【自動運転との関わり】

セーフティ・サポートカーは運転支援システムは自動運転のレベルで言うと2以下を指します。

これらの装置の発展と応用が自動運転に繋がっています。

自動運転については下記のノートを参照ください。

技術的な内容に関しても上記のノートで触れています。


【あとがき】

はじめの方に書きましたが、ネーミングがキャッチーではないため普及はしなさそうな気がしています。

マツダを皮切りにTVCMでトヨタもダイハツもやっていますが、すぐに収束しそうです。

これらの安全装置はこれまで説明してきた通り完全・完璧ではないです。

しかし事故を少しでも減らすのに貢献できるため導入され普及を図っています。

くれぐれも過信しないようにお願いします。
(事故ったらドライバーの責任です)

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