「ひたすら面白い映画に会いたくて」49本目『エクソシスト ディレクターズ・カット版』
リーガンの「スパイダーウォーク」、首が一周ゆっくりと回る場面、そして、空中浮遊などの名場面をついに観ることができて、嬉しかった。なぜなら、『エクソシスト』の話題を誰かがしていたらこれでようやく入っていけるようになったからだ。これだけでも大満足である。
49本目 : 『エクソシスト ディレクターズ・カット版』(2000)
脚本 : ウィリアム・ピーター・ブラッティ /
監督 : ウィリアム・フリードキン
「オカルトの夜明け 悪魔 vs 神父」
物語の概要
12歳の少女リーガンに取り憑いた悪魔パズズと2人の神父(メリンとカラス)たちとの壮絶な戦いを描いた作品。この映画は、一大オカルトブームを巻き起こし、アカデミー賞では脚色賞と音響賞を受賞している。
本作は、この『エクソシスト』25周年を記念して、公開時にカットされた15分ほどの未公開シーンを追加したディレクターズ・カット版である。
本作の魅力
もしかするとこの映画はホラーというジャンルの作品ではないかもしれない。これは本作を観終わった後の私の率直な感想だ。今までは、本作をホラー映画のど定番だと思い続けていたのだが、実際に観てみると、サスペンスやヒューマンドラマに近いと感じた。
確かに幼い頃に本作を観てしまうと、間違いなく夜1人で眠ることが出来なくなるほどのトラウマを植え付けられていたことだろう。あのリーガンの顔は夢に出てきそうなほど恐ろしく、大人になった今観ても恐ろしいなと思ったくらいである。
しかし、現在の自分が観ると、そのような怖いシーンよりもストーリーを真剣に追いかけてしまうので、ホラー映画としてではなく、1本の映画として観ることが出来るようになっていたのだ。
本作は悪魔祓いの勉強になり、当時の医学の分野における精神医学の位置付けなども少し学ぶこともでき、今観ても考えさせられる内容の話であった。この辺りが私が本作をホラー映画っぽくないと思った所なのだろう。
私のようにホラー映画は基本的に苦手だけど、名作ならば1度くらいは観ておきたいかなと思う人に、本作はかなりおすすめの作品である。怖い場面はもちろんあるのだが、それを上回るほどの面白いシーンもたくさんあるのだ。
エクソシストの冒頭を観ている時、「間違えて『アラビアのロレンス』を観ているのでは」と思ったくらい砂漠の映像が美しかったことに驚いた。まさかイラン北部で撮影をしていたなんて。
これは1度観たら長く記憶に残る場面だなと思う。自分の中での『エクソシスト』のイメージが冒頭で随分変わったことはきっと忘れないだろう。
また、エクソシストのあの有名な音楽が流れた場面では、とてもテンションが上がった。こんなところでもうこの曲が流れるのか、と少々驚いたぐらいだ。映画内での音響は全て素晴らしかったなあ。
観る者を必要以上に怖がらせないほどの音響でありつつ、上手く不気味な雰囲気を醸し出していた。メインテーマも絶妙なタイミングで流れており、さすがアカデミー賞音響部門受賞作品だなと思ったものだ。
私の1番好きな場面
私の1番好きな場面は、悪魔祓いの際に、リーガンが神父2人の目の前でベットから宙に浮いている場面である。
この場面は、怖さが一周回って笑いに変わってしまう場面ではないかと私は感じた。友達と自宅で鑑賞しているときに、この場面を笑わずに視聴し続けることが困難であったのだ。
この場面に、思わず次のようにツッコミを入れてしまった。「いやいや、ハリーポッターかよ!」と。あの神父2人がもし杖を持っていたならば、完全にハリーポッターの世界へと変わり果て、『エクソシスト』のジャンルが瞬く間にファンタジーになってしまっていたことだろう。この場面おそらく人気なんだろうなあ。個人的に1番お気に入りのシーンである。
最後に
この物語は、本作だけでは完結しない。エンディングを迎えても自分の中にモヤモヤがいくつか残ってしまう。
結局のところ、悪魔との戦いに神父たちは勝ったのか、負けたのか、そして、リーガンは本当に元通り元気な少女に戻ったのであろうか。本作のその後を知るためにも、続編を順に観て行きたい。
次はあまり評判は良くないが、勇気を出して『エクソシスト2』を観てみるつもりだ。次回も友人と集まって一緒に観ようかな。