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感性豊かに生きる〜フランス人ミュージシャンの場合〜

先日、Couchsurfingで宿泊のリクエストをしてくれたフランス人のミュージシャンカップルを家に泊めた。
2泊3日。
オランダ人とのハーフのAlexi(身長186㎝)と、日本人とのハーフのAkemi(身長183㎝、カタコトの日本語を話す)の長身カップル。

ヨーロッパの中でも、フランス人は特に個人の感性に従って生きている印象があって、更に今回は二人ともがミュージシャンとのことで僕も妻も彼らを泊めることを楽しみにしていた。


計画をしない。下調べをしない。

異文化に触れると、新鮮な驚きがあるものだ。

彼らは北海道から南下しており、ここ仙台の次は福島の会津若松に行く。
だけど、彼らは次の宿泊場所も決めていないどころか、会津若松の写真すらほとんど見ないのだという。
その方が、行ってからの発見や驚きが大きいから、と。

日本人(少なくとも僕)の感覚では、見どころや歴史を多少なりとも調べておくことで、より深くその場を味わえるし、後から後悔しなくて済む気がする。

だけど、何も調べない面白さもわかる気がする。
まるで、何の情報もない大航海時代に、誰も知らない島に辿り着くように。

その場所の多少の歴史を知り、ご当地料理を食べ、マストスポットを訪れれば、ちゃんと行った気にはなれるだろう。
だけど大切なことは、なんとなく行った気になることや、誰かにその場所のことを語ることではなく、自分自身が自分自身の感性でその場を味わい、楽しむことだと思う。

そういう意味では、あえて何も計画せず、下調べもせずに、その瞬間を味わうことは、むしろ有意義かもしれない。

小話だけど、彼の方はピアニストということもあり、小さなキーボードを探して炎天下の中リサイクルショップに出かけて行った。でも残念ながら持ち運べるようなサイズのものはなかった。
なので、僕の方から「Amazonで買って、どこかのコンビニで受け取れるようにできるよ。ほら、安いものだと3,000円くらいからあるよ。」と提案した。

でも、彼らはそうしなかった。
あればあったで良いし、無ければ無いでいい、と。
確定した何か良いことを得るのではなく、フローの中で面白さを経験していきたいというのが二人の考え方だった。

そして、それはとても素敵なことのように思えた。


彼女の方はボーカリスト。(他に、キーボードとベースも)
うちに何年も弦を変えていない古いギターがあったので、彼がそれを演奏して、二人で歌を歌ってくれた。(トップの写真)

普通に会話するくらいの声量での歌だったけど、ギターと二人の歌声がハーモニーとなり、この小さな和室を包んだ。

文字通り僕は何かに包まれた感覚になって、なんとも言えない強い感動を覚えた。
もしかしたら、今まで聴いた歌の中で一番素敵な歌だったかもしれない。

リサイクルショップから帰ってきた彼らは、暑さにやられて昼寝を始めた。
元々は15時には戻るという話だったのに、帰宅は16時で、その後更に昼寝。本当は15時から一緒に出かけよう、と話していたんだけど。

だけど、不思議と僕は全く腹が立たなかった。
フローのままに生きている彼らを美しいとさえ思った。

仕方が無いので、僕と妻は子どもを連れて、近くの公園に出かけた。

何かに囚われるでもなく、周囲を変に気にするでもない。(もちろん人への配慮はできる人たちだった)

そんな生き方が、彼らの歌にも現れているような気がした。

妻のヨガレッスンにも参加してくれた


なんでもない一コマ


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