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勢いにのって香港

韓国の翌週は香港、その次は書店研修と非日常が続いているうちに3月に突入していた。
そう、まず書き残しておきたいことといえば香港に行ってきたのだ。
卒業旅行中の彼氏さんに合流するべくひとりで新幹線やら飛行機に飛び乗る。2週間連続で海外に行くなんて初めてのこと。おもしろい。

朝が早かったことと、カプセルホテルで音出しのアラームが禁止ゆえに振動で目覚めねば!!とスマホを握りしめ緊張していたから浅い眠りを繰り返した。諦めてだいぶ早く起きて優雅に朝風呂につかる。道中、飛行機ではほとんど寝ていたように思う。自分が寝入る感覚と目覚める感覚は何だか不思議な感じ。酔うから文字もあまり見ずにまとまった時間を過ごす。ふわふわと文字通り上空を浮いていて、わたしもどこかふわふわしていた。

香港に到着して、ながーーーーーい廊下を懸命に歩く。早歩きって一生懸命になればなるほどどう歩けばいいのかわからなくなって転けそうになる。本当は動く歩道も酔うから乗りたくないが、それよりも早く会いたいが勝って頑張る。早く会うために荷物も手荷物のみにしてピックアップも省き、ニコリともしない入国審査をくぐり抜けていく。どこいるのーってLINEをすると、がんばって歩いてーと返ってきた。すんごいがんばって歩いてるのよーと思いながらも進む。扉が開いて、待っている人の列に彼氏さんを発見。うきうきして走りよるけど、手すりに邪魔された。ニーハオ!

ぷりぷりん海老のご飯を食べて、向かうはタイオー。香港の漁村が残る田舎町。信じられないくらい高いロープウェイに登る。高すぎるし、柱が少ないし、結構なスピード。同乗者のことを一切気にしないおばさんが爆音でTikTokを撮影している。言語がお互いわからないから、しゃべり放題。本人を目の前にして、「おばさんすごい撮ってるね〜」って語れるのって不思議な感覚。
潮の香りがする古い町並み。人が少ない。猫とか牛がいる。タバコを吸ってたまにハンドルから手を離してるおじさんが運転するフェリーに乗る。風景が違うって面白い。観光しなきゃ!みたいな気持ちが抜けていく。いつものようにらのんびり、初めての場所。

ぼんやり1時間。波打ち際のベンチで佇む。歩く、歩く。一回、走った。食べたばかりのお腹いっぱいで、ふたりで香港の夜を走ってるのが何だか面白くて、間に合うとか間に合わないとかは正直二の次だった。高いバスの2階。トラム。リムジンみたいなお洒落なタクシー。色んな乗り物に乗る。
夜景をみに乗ったタクシーは荒い運転ばかりのまちなみで嘘みたいに静かだった。運転手さんは必要以上のことを喋らず、チルな音楽がこれもまた珍しく絞られた音量で流れている。香港のビル群から山に向かって、天井が透けて見えるタクシーで進む。なんてリッチ!移動時間が観光になるあたり、とても旅行だ。彼氏さんが素敵な時間に感謝を込めてチップを払っている。彼の言動だけが好きなところではないけれど、好ましいなと思う。好ましい、が増えていく。こういうところ素敵だよねーに、時差で気づいていく。

彼の先輩と合流して飲茶。喧騒とした店内の勢いに圧倒されている間に、先輩は店内を渡り歩いている。なんだなんだ。同じテーブルの現地の人と喋り始める。本当にわからない言語ってさっぱりだ。英語の何となくわかるってすごいことなんだな。身振り手振りで食べていく。美味しい。美味しいけど、面白いの方があとに残る。勢い!っていう単語を体現してるみたい。

いっぱい歩いて、のんびり。いつの間にか帰る時間。飛行機に特急に新幹線、日本日本。
日本じゃないところ、ここじゃないところ、ひとりで意外とすぐ行けるんだなって思う旅。

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