見出し画像

366日いつでも探している猫5月19日

『夫妻集』小野寺史宣さんを読んだ。
繋がっているような繋がっていないような。この本自体が作中作のような絶妙な塩梅。
小野寺さんのこの何でもない日常な感じとっても好きだなと改めて思う。

片方が出版社勤めの夫妻がでてくるから、何だかちょっぴり感情移入。わたしはどうなるのかな。どんな夫婦になれるのかな。
彼氏さんと出会ってからの方が、男の人と普通に話せるようになって、出会いが増えたような気がする。出会いが増えたというのは語弊があるけれど、彼氏さんの友だちとか先輩からとか。世界には男の人もこんなにいたんだなと思うくらい。
就活の相談をうけて、幼稚園来の友人の男の子と電話したり、先輩にごはんをご馳走になったり。なぜ前からわたしの世界に登場していた彼らではなくて、突如あらわれた彼氏さんが好きになったのか。たまに不思議に思うことがある。どこが好きなのか。なぜ好きなのか。不思議に思っては顔をみる。会いに行って手を繋ぐ。

今日、祖父に会った帰り道に思い立って1人カラオケに行った。ヒトカラを検索すると、上野か新宿。ふむふむ。
想像と違ってゲーミングチェアみたいな椅子がひとつ。壁にはファーストテイクで見かけるマイク。ヘッドフォンをつけて、いざスタート。
自分の声を聴く不思議。もっと声だして!とセルフ指導をしつつ、お腹から声出すために姿勢を正す。あんまり歌ったことない歌を歌っては撃沈したり、低い声がでなすぎて面白かったり。ファーストテイクごっこして、咳払いしてお願いしますって呟いてみたり。いちばん暗くした照明のなかでひとり、楽しんでいた。
1時間はあっという間に過ぎ、最後30分間。猫にはじまり366日とか失恋曲が続く。こんな歌詞だったっけ。と、感情を込めたら悲しくなってきた。one more tome, one more chance.会いたいよね、別れたら会えないのか……。締めくくりに、愛を込めて花束を。感情ぐちゃぐちゃ。

勢いのままLINEをする。電話がくる。
ぽつぽつ感じた雨が急に気にならなくなって、バスに向かってちょっと走る。ぐんぐん進む。坂道をのぼる。門をくぐる。人混みをくぐりぬけて、人人人迷子。諦めて待つ。
親からは不評だったけれど、ちゃんと今日着たいと思って着ている服を見下ろす。変じゃないかな。待ち合わせっていつも不安と期待でそわそわする。会いたいって言って突然会いにくるのは迷惑ではないのか。近くにいるって言われたら、来る?っていうしかないよねと後から気づく。ちょっと不安が勝る。いや、カラオケがこの近くだったのと弁明。本当か?本当か?
最近これ多いな。判定グレー。

でもいつも会うとぐるぐる考えていたことが飛ぶ。大丈夫って思える。ひとりになると考えちゃうから。聞かないと言葉にしないで溜め込めてしまう彼氏さんの優しい部分が、彼を削っていないか損なっていないか心配になってしまうから。わたしの妄想が進んじゃうから。だから、早く一緒に暮らしたいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?