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世界一美しい広場はどこか

街中にある広場、歴史的にも多目的に使われてきた。今ではクリスマスマーケットが繰り広げられたり、イベントの会場になったりするが、かつては処刑場や虐殺や革命の現場になったりすることもあった。日本に街中の広場はあまりないような気がする。国土が狭いからだろうか、いや日本よりも狭い国でも美しい広場はいくらでもある。思想の違いか。

私が訪れたヨーロッパの広場の中で気に入っている3つの広場についてレポートします。

1.ベルギーのグラン・プラス

まずはブリュッセルのグラン・プラス。石畳の広場の周囲を、市庁舎をはじめゴシックやバロック様式の荘厳な建物が取り囲んでいて世界遺産となっています。ビクトル・ユーゴーが「世界一豪華な広場」と評したのも頷くことができます。

広場ではカフェやレストランのテーブルが並べられ、広場や美しい建物をじっくり眺めながら食事を楽しむことができるのは、旅の醍醐味です。

ベルギーのブリュッセル グランプラス
ギルドハウス

ビール醸造などの同業者組合(ギルド)の建物の正面は、さまざまな装飾に工夫を凝らして建てられています。当時の繁栄振りを象徴するものです。今では有名ブランドのショップが軒を連ねていて、観光客にはもってこいのモールとなっている。

ブリュッセルと言えばやはりこれを話題にしない訳にはいきません。世界3大がっかり観光地の一つ、小便小僧。「がっかり」が付いてしまうのはおそらくこの小ささにあるように思います。さらにこれはレプリカで17世紀に作られた本物の小僧はブリュッセル市立博物館にあるとのこと。実はこの博物館は「王の家」と呼ばれていて、グランプラスに面しています。

季節に合わせて小僧が様々な衣装を着ているので、これを見るのも楽しみの一つ。逆に裸のままの小便小僧は、意外と珍しいかもしれません。

小便小僧は本当にがっかりですか?


2.イタリアのサン・マルコ広場

これまた世界一美しい広場とされる、イタリア ヴェニスのサン・マルコ広場。ナポレオンやゲーテも絶賛したという。また映画のロケ地にも度々登場します。007シリーズでは3回ほど舞台になっています。

サンマルコ広場はやはり、その歴史の長さ。サンマルコ寺院や鐘楼は9世紀というから、他の広場を歴史の重厚さで抜きん出ている。数々の名画にも描かれているが、広場の姿が現在とほとんど変わらない、というのも驚きである。

サンマルコ寺院と鐘楼(約100m)
寺院のテラスから広場を見渡して
夜のサンマルコ広場

広場から四角い空を見上げるのも、一興である。

夜のサンマルコ寺院はどことなく妖艶だ

中世には、今のように電気がなかったから、夜のサンマルコ寺院は当時の人々にどのように映っていたのでしょうか。

ヴェニス全体が見渡せる、鐘楼からの眺め
カフェ フローリアン

広場には「カフェ フローリアン」がある。世界最古のカフェ、カフェラテ発祥の地という修飾語が付く、世界一有名なカフェである。1720年にオープンした。

映画「旅情」にも登場した

映画「旅情」(1955)でキャサリン・ヘップバーンとロッサノ・ブラッツィが出会うのがこのカフェ・フローリアン。

お値段は目が飛び出るほど高いわけではない
鐘楼でサンマルコ広場がどこにあるか分かる
サン・マルコ小広場 (左がドゥカーレ宮殿 右はマルチャーナ図書館)

サン・マルコ広場(Piazza)とサンマルコ小広場(Piazzetta)は、L字型になっていて海に面しています。二つの塔の頂上には、聖マルコを象徴する獅子の像と聖テオドーロ像が立っている。

3.フランス ナンシーのスタニスラス広場

グランプラスやサンマルコ広場に比較すると、日本での知名度はそれほどないかも知れないが、フランスのロレーヌ地方の都市ナンシーにある「スタニスラス広場」は、その中に足を踏み入れた途端にその荘厳さ、華麗さ、壮大さに目を奪われる。

スタニスラス広場が広すぎて、その全貌の美しさを表現できない

18世紀に、ロレーヌ公スタニスラスが国王ルイ15世を讃えるために造営を命じた広場は、当初「国王広場」と呼ばれていました。広場中央には国王像があったのですが、フランス革命期に取り壊されたが、19世紀にスタニスラス像が建てられ、それ以来「スタニスラス広場」と呼ばれているそうです。1983年には世界遺産に登録されています。

広場中央にロレーヌ公スタニスラスの像 右はナンシー市庁舎


ポーランドの王だったスタニスラス・レシチニスキーが、退位後にフランスに亡命し、フランスから1737年に譲り受けてたのがロレーヌ公国。スタニスラス公は、カリエール広場に宮殿を建て、さらにスタニスラス広場、噴水のあるアリアンス広場を整備して、庶民が凱旋門や彫像、噴水といった公共の物に自由にアクセスできるような構造にしたことが最終的には、ナンシーを世界遺産の街へと導くことになったと言われています。実際にはスタニスラス広場は、建築家エマニュエル・エレが担い建設されたとのこと。

凱旋門

北側にある凱旋門を通り抜けると、同じく世界遺産のカリエール広場へ続いています。この凱旋門の上部には黄金色で彩られた精霊がラッパを吹いている像が置かれています。建築家エレは、セプティミウス・セウェルスの凱旋門(ラテン語: Arcus Septimii Severi)を参考にしたと言われています。この凱旋門は、フォロ・ロマーノの北西端にある大理石でできた凱旋門です。

ネプチューンの噴水と鉄柵門 黄金の縁飾りが印象的

スタニスラス広場への出入口も極めて特徴的なものです。金具師ジャン・ラムールは、6つの鉄柵門を外周にデザインしました。ロココ様式が活かされ優美な装飾が施されています。黄金と鉄作の黒色の配色が荘厳さと優美を増幅させていると思います。

広場は人々を吸い寄せ、その美しさに心を奪われる


これまで、ヨーロッパにある三つの広場を見てきましたが、日本になぜこのような美しい広場が少ないのか、まだこの疑問は解けていません。おそらく研究者の間ではすでに結論が出ていることのような気がします。民衆が集結するのを為政者が恐れてきたからでしょうか。

この三つの広場の中では、サン・マルコ広場がベストだと私は思います。これはやはり個人的な好みの問題ですね。

世界にはまだまだ美しいけど、まだ私が知らない数多くの広場があるはずです。よかったら教えてください。

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