【もっと知りたい産山村】シリーズ第9弾!『奥阿蘇の宿 やまなみ』
産山村の飲食店や観光施設、観光スポットや特産品などにスポットを当てたインタビュー『もっと知りたい産山村』シリーズ。第9弾は、アットホームな秘湯「奥阿蘇の宿 やまなみ」さんのインタビューです。
地下1000メートルで温泉を掘り当てた
築100年を超える古民家を移築した宿は、まさに「秘湯」の趣だ。森本幸隆さん(78)と妻で女将の節子さん(74)が切り盛りする宿は、各地から何度も訪れるファンも多いというのもうなずける。
「米や牛肉が自由化される中、農業だけでは生活が厳しい、と民宿を始めたのがこの商売のきっかけです」という節子さんが振り返る。
二間で始めた民宿だったが、幸隆さんが波野村(現阿蘇市)にあった古民家を見つけ、40年ほど前に移築した。
「みごとな茅葺の家で、今ではどこにも見当たらないものですね。村の人たちが移築を手助けしてくれ、雨の中で作業したのを思い出します」(幸隆さん)
宿をやるなら温泉だろう、と幸隆さんが取り組んだのは温泉掘り。だが、すぐに泉源を掘り当てることができなかったという。
「周りから、温泉なんて出ないなんて言われたんですが、1年ほどかけて掘り続け、ようやく地下1000メートルで掘り当てたんです。私も運があった」(幸隆さん)
45度の源泉は掛け流し。沸かしなおしも、水を加える必要もないため、結果的にコストを抑えることもできた。
節子さんは「お湯の泉質もよく、『肌にまとわりつく』感じがいい、とほめていただいてます」と胸を張る。
おばあちゃんの家に帰ったような…
庭や風呂にいたるまで、ほとんどを幸隆さんが手作りしてきたという。一方、料理のほうは節子さんが担当。「亡くなった姑から伝授された漬物、ぼたもち、だご汁、煮しめなど若いお客さんにもよころんでもらっています」(節子さん)
まさに、田舎のおばあちゃんの家に帰ってきたような雰囲気を節子さんが作り上げたというわけだ。
昨年、和室にベッドを入れるなど、改装も行った。
「昨年高校を出た孫息子が、いま鹿児島の高級旅館で修業しているんです。将来村に帰ってくれるのが楽しみです」と夫婦そろって笑顔を見せた。
※年齢などは取材時のものです
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?