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日曜日のクルーメイト #0069 カリー!ちむどんどん!

はいさい、くるーめいと。
ちゅー、がんじゅー(いかが、元気)ですか?
冲方は東京を出て、南方へ。ただいま宮古島に来ております。
取材を兼ね、久方ぶりに心身をリセットしてやっております。
都市生活と自律神経のくんずほぐれつが、いかに健康と創作に不適切であるか。
今日、今、この瞬間にばかり意識が向き、気づけば、不眠の一歩手前をふらつき始めている。
そんな体が、昨日も、明日も、明後日も、その先もふくめて、「生きるべき今である」という感覚を、取り戻してゆく。

次週からのアメリカ行きで創作のリズムを崩されぬよう、今のうちに、健やかな鼓動の柱を、体の真ん中に植え込んでおきたいところ。

それでは、今週も元気に参りましょう。

対談公開 『RWBY』with虚淵玄さん

こちら、久々にアニメ作品にて取材・対談となりました。
制作からだいぶ時間が経っておりますが、改めて問われると、「そういえば、こんな作り方をこのとき学んだっけ」と思い出される点が、個人的には最も有意義。
翌週放映の日本版『RWBY』、ご視聴の前に、ちらりと裏方の様子を垣間見るのも一興。

また、放映前の配信もあると伺っておりますが、すでに御覧になった方も。

いえいえ、何を仰るのですか。全てはキャラクター大切に思うがゆえの結末であるのです。
それはさておき。
一気に御覧になることで、この魅力的な世界に、ぜひ、どっぷり浸かって頂きたいと思います。

他方。
業界の事情なのか、三密回避で大変だった制作が苦境から脱しようとしているのか、このところさらに、アニメ・映像関連の連絡がしきりに。
今後、さほど時を要することなく、ご紹介できそうなことが多く、冲方も大変楽しみなのです。
乞うご期待。

今月の連載

『骨灰』、『マルドゥック・アノニマス』、『マイ・リトル・ジェダイ』がそれぞれ掲載!
こちらにつきましては扉絵等もふくめ、次週以降、改めてご紹介。

七月以降、ご紹介することが増えて錯綜せぬよう、逐一、整理して参りたいと思います。

先週のお題 物語における「家族」

またしてもハッシュタグのつけ忘れに気づかず投稿。
にもかかわらず、よくぞ見つけて投票して下さいました。

個人的には、やはり「家族」というテーマは今後も強い、ということにやや安心、ではなく。
「そうではない」という意見が、なんと三分の一を超すとは、という点に戦慄を覚えた次第。

古今東西、「家族の葛藤」というテーマは、和食における味噌汁、ゴーヤチャンプルーにおける卵、バーベキューにおける肉とビールに等しい、なくてはならぬ献立であり具材であるがゆえに、鉄板であるのです。

しかし今、十人中三人が、「和食にもう味噌汁はいらないんじゃない?」と言っているに等しく、明日からの子どものお献立に困る、お父さんお母さんの気分にさせられるのであります。

こうした衝撃に刮目しつつ、クルーメイトのコメントを拝見して参りましょう。

森人さんからのコメントです!

形態としての家族が、いよいよ解体していくことは確かに容易に想像がつきます。
もともと「核家族」などという言葉が流行した時点で、家系およびコミュニティから「家族」が切り離され、最小単位化してしまったわけですから。
あとは、形態として成立しないほど空中分解するのみ。

と悲観する一方、家系およびコミュニティに等しい観念が復興し、新たな葛藤が生まれるかもしれません。
人間が「人間らしく」ある上で、葛藤はやはり重要。
ぜひ、そうであってほしいものです。

tiger88さんからのコメントです!

二十年以上も前に見出したフレーズが、巡り巡って現実生活にしっくり来るというのは、手応えと言うより、ぞっとさせられることが多々あり。
何しろフィクションだからこそ安心して考えさせられるわけですから、現実となると笑い事では済まされません。

仰るように、このところの対立は、二元論的すぎることが最大の問題。
相手の意見を聞く気はなく、むしろいかにして相手の勢力を削ぎ、その意見を消滅させられるか、という態度が、ポリコレすなわち政治的正解である、というように曲解されました。
いつか、この二元論的な態度が調停され、より高度な判断が下されることが政治的である、という態度が流行するよう、願ってやみません。

今日こそ明日から(とんかつ)さんからのコメントです!

人間は一体化なくして社会は築けないと冲方も考えますので、大いに賛同したいところなのです。
個がいよいよ明確になるなら、一体化もより具体的で詳述されるものとして復活するかもしれません。

しかしそのとき、何より恐ろしいのは、ファシズムの新たな流行。
真実など聞く耳を持たず、隣人との和解など考えもせず、平和など一切無用の、熱狂的な一体化。

過去、多くの賢人・才人でさえ、抗えずに呑み込まれていった悲劇の渦。
その萌芽が感じられる一体化だけは、どうにかして、自身からも、自身の執筆からも、払い落としたいと願う次第。

新条拓那さんからのコメントです!

冲方が個人的に最も期待と希望を抱いているのも、そのような「最小単位としての家族」が「選択的に」復活すること。

つまり、家族というあり方が、空中分解してのち、それまで他人であった誰かと新たな家族の絆を結んでいく。
実際、そのような物語が、人気あるものとして取り沙汰されることも増えてきた気がします。
『SPY FAMILY』などは、エンタメが、「家族という鉄板」を断念しなくて良い、社会的な失望を助長せずに済む、より良い将来への筋道を予感させてくれます。

そこに、従来の動物との絆や、新たな機械との絆も描けるならば、間違いだらけの一体化に人々がなだれ込んでいかずに済む世界が、しっかり担保されることでしょう。

あとがき


かくして。
いつも、冲方の唐突なお題にお答え下さる、聡くまたユーモラスなクルーメイトに感謝であります。

何しろこの二十年は、人類史レベルで誰も経験したことがないほど急激な革新期となっております。
思えば、祖父母・父母・子・孫が、互いに常識を共有できなくなること自体、コミュニティの維持という点においては、タイタニック号が氷山に激突したよ衝撃に等しいのでしょう。

のまま長いときをかけて沈没するのではなく、いずれ新たな船が築かれ、より期待と希望に満ちた航路が見出されることを信じ、今後も執筆して参りたいと思います。

皆様におかれましては、ぜひ幸いかつ健やな日曜日をお送り下さい。
冲方丁でした。

カリー!


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