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日曜日のクルーメイト#0025 Fifty Shoots Of Gray

ハロー、クルーメイト。いかがお過ごしでしょうか。
冲方は、note内で素敵な画像を探し、トップでお借りするのが楽しくなっております。会議ですっとぼける「インポスター」が可愛い。この雰囲気で平然と嘘八百を並べられると信じてしまいそう。

えー。ちなみに今回のサブタイトル、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のもじりですね。スーパー冲方大戦Ⅱの灰色さんにちなんでおります。今回の大戦の模様もぜひお楽しみ下さい。

また、今週から新企画の宣伝も本格化という感じで、インタビュー記事の掲載などもわかり次第ご報告いたします。

では今日も、ぶらりと参りましょう。


本日の宣伝

前回のイベントは……2月でしたっけ。でしたよね。
違う。過去の記事を見たら4月でした。日付けは忘れていく主義です。すいません。

さておき、そのイベントでの告知を経て、いよいよ『マイ・リトル・ジェダイ』連載開始!となりました。
『十二人の死にたい子どもたち』以来の現代ものであり、相変わらず子どもが大変な目に遭っており、書いていて辛いところもありますが、誰もが安心して楽しめる物語作りを目指して執筆中!
連載は今後、雑誌に合わせて隔月(偶数月)に発表される予定です!

こちらのリンクから、「はじまりのことば」を御覧頂けます。
連載開始時に、執筆のきっかけなどを述べるコーナーとのことで、企画が生まれた瞬間のことなど書かせて頂きました。是非御覧下さい。

今週からどんどん発表が増えるはずですので、冲方自身がうっかり忘れぬよう、頑張って告知して参りたいと思います! どうぞよろしくお願いいたします!

コメント・コーナー

ここからは、いつも通りクルーメイトのコメントをご紹介!
なお、ラジオの作り手から、「コメントを下すった方のお名前は、読み上げるのが基本ですぜ」と教わりました。
名乗り合いこそコミュニケーションの基本。なるほどと納得です。今後は忘れぬ限り、お名前を読み上げたいと思います。

というわけで森人さん! コメント皆勤賞なんじゃないでしょうか。いつもありがとうございます。
気づけばメダルの話、けっこう続いてますね。個人的な信頼はもとより組織としての信用という感じなんでしょうかね。
仰るようにお得意様というのがそうして生まれ、職人業が受け継がれていくさまは、かくあるべしと思わされます。

こちらは新条拓那さんのコメントと、飯テロ画像。
飯テロ、しばしば思いがけず投下されており、見るだに腹減りモードにさせられます。夜中に見るものではないですな。
特にこれ、肉の脂がつやっつやとしてるやつは冲方の弱点。肉欲を刺激されてたまりません。
ちなみに今まで食った肉のなかで、一番きつかったのは、東南アジアで振る舞われた水牛ですね。調理法の問題もあるんでしゅが、もう、くさみがすごくてですね。羊や山羊よりきつかったです。とはいえ、美味しく食べましたけど。いやー肉食いたい!。


と思ったら肉が来ました。違います。薔薇肉舶載さん。「ばらにくはくさい」さんでしょうか。そのまま読むとバラ肉と白菜ですが、薔薇肉と書くと字面がなんか雅で強そうです。
で、なんと! その話題が出ましたか。イーサン。主人公の名前、イーサンで良かったですよね。人が作ったキャラの名前を覚えるのも苦手です。

さておき、バイオハザードの7・8は、冲方もついつい仕事の合間の気晴らしと称してクリアしてしまいました。
とはいえ、モンハンやマイクラのように、えげつないプレイ時間を要求されるわけでもなく、思ったより短時間でエンディングまで辿り着けましたし、ストーリーもじっくりしっかり味わえて、大満足。

無限に続く空間って、それ自体が牢獄ですね。その怖さわかるなあ。悪夢の定番ですからね。
個人的には「かくれんぼ」が良い感じで怖かったです。とりわけ8の「真っ暗な地下の廊下で、ひたすら赤ん坊の怪物に追いかけ回されてはロッカーに隠れてやり過ごす」ところが、大変ドキドキでした。
まさに8は、ホラーゲームの集大成。各種のホラーが味わえるディズニーランドであり、大いに刺激を受けましたよ。

ちなみに、こちらも楽しみなのです。

コンセプトが良い。道具をクラフトするんですが、母親が自分でさっさとやっちゃうと、子どもが何も覚えないんですね。未熟な子どものレベルを上げさせながら、なんとかサバイバルをしていく。自分ではなく、子どものために。
子どもに何を遺すのかをひたすら考えながらのホラーゲームって、実はバイオ7から8にかけてもそうなんですよね。昨今のホラーにおける重要なテーマなのかもしれません。

さて、ここからはスーパー冲方大戦Ⅱの話題です。

再び森人さんからのコメント。
まとめねばとも思いつつ、もうまとめたりせずに、ぐちゃぐちゃでいいんじゃないのかという誘惑もひとしきり。
でもやっぱり、せっかくの双方向企画ですからね。まとめられる限りは、まとめてゆきたいと思います。

kei.さんのコメント。ワクワクするっしょー!ありがとうございます。
個人攻撃が大好きな灰色のアンチ・ディベートぶりは、書いているほうも呆気にとられます。緊急会議の緊張がましましです。
茜! もう茶色・橙色と次々に仕留められてしまったので、せめて特技を披露してほしい!

こちらも再び薔薇肉舶載さんからのコメント。
こういう人って現実にけっこういるんだと思うんですよ。派閥争いとかに血道を上げるも、社会や会社の利益になんにもならないとか。
灰色の超利己的な最適戦略は、果たして功を奏するのか。

さあ、第六回の投票結果を見てみましょう!

スーパー冲方大戦Ⅱ 第六回 投票結果!

今回も、一部かなりの接戦でしたね。選択肢が三つくらい同数だったらどうしようと思いました。
「灰色をやっつけよう」が最も低いポイントになったのは、インポスター少年団の性格を読んだ上でのことでしょうか。
投票の結果は、「会議で灰色に疑いをかける」こと。
灰色に弱みを握られているわけですから、なかなか難しそう。

さて。すっかり当記事の巻末コンテンツとなったスーパー冲方大戦Ⅱ。
投票結果を受け、インポスター少年団はどう動くのか? 変態カルト・ガンマンの灰色の粘着を退けられるのか? どうぞお楽しみ下さい!

……と、思いきや、〆切間際にインタビューなどもあって、今週またしても記事が間に合いませんでした。楽しみにして下さっていたクルーメイトたち、本当にすいません。
日曜日のクルーメイトと言いつつ、明日の月曜日にはお送りできる予定です! 今しばらくお待ち下さい……!

スーパー冲方大戦Ⅱ 第七回 

《前回のあらすじ》
水 つまり、この船のボスになりたいから、僕らにその手伝いをしろっていうのか?
灰 そういうことだ。私が、この船にボーイズを集め、よりいっそう快適な住み処にしてやろう。そのためには、騒がしい黄色のひな鳥や、いちいち場を仕切りたがる悪目立ちの金色を始末せねばならんがな。きっと、あの藍色や、お前さん達なら、喜んで働いてくれると思うのだがね。そうではないか? この私に従うことで、何の不安もなくなるどころか、かつてなく素晴らしい人生が手に入ると思わないかね?

【医務室】
水 灰色に従うふりをしよう、と言いたいところだが、僕らが黄色と金色を始末したあと即追放という気がして仕方ない。
緑 藍色が赤に変身して来てくれるかと思ったけど来ないね。僕らでやっつける?
白 あ、でも、紫が見てるんじゃない? だって灰色と藍色を監視するって言ってたし。
水 もちろん、その可能性大だ。僕らがここで灰色を始末したあと、何もかも見られていて即追放という気がする。

灰 どうした? 何か悩み事があるなら、私も聞こう。何しろ我々は運命共同体と言っていいのだからな。お互い離れがたい間柄であることを噛みしめるひとときを過ごそうじゃないか。
白 うう、すごい威圧感。
緑 この人、誰かを脅すことにものすごく慣れてるんだね。
水 待ってくれ、灰色。少し三人で話したい。もちろん僕は協力する気まんまんだが、この二人がどう思っているか確かめる必要がある。
灰 私が代わりに話してやってもいい。
水 そちらは藍色の監視をしなきゃいけないんじゃないのか? 藍色がうっかりまた操られて誰かを殺したら、そちらが怪しまれるぞ。
灰 ほう。藍色を操る別の何者かがいるというのか? 殺害者は四人ということは……。
水 気になるなら、そちらが持ってるカメラのメモリーの中身を見てみろ。
灰 ふむ……。その間に、お前たちは何か小細工をするというわけだな。言っておくが、私に何かあれば、正しい映像データを全員が目にすることになると言っておこう。
水 小細工なんてするわけないぞ。君たち、両手を挙げるんだ。
白 え? あ……うん。

 白、水色、緑が両手を挙げた。

緑 はい、降参。おれたちちょっと話すだけだよ。ね。
白 う、うん。そうです。
灰 せいぜいそうするといい。くれぐれも私をがっかりさせないことだ。多少の時間を与えてやるが、話すべきことは一つしかない。この船をより良い場所にするには、私の存在が不可欠であるということだ。お前たちが安心して過ごせるようになるための、ただ一つのすべを私は教えてやっているんだ。
水 わかったから。僕らに話させてくれ。決して後悔はさせない。
灰 期待させられる言葉だな。では、すぐにまた会おう。

 灰色が医務室から出て行った。
 白、水色、緑が手を下げた。


白 紫に見られてたかな?
水 そうなら、僕たちが灰色に脅されているように見えたに違いない。
緑 実際に脅されてたけどね。で、どうしようか。おれの手札で紫の目をくらまして、その間に灰色をやっつけるとしても……。
白 映像データをどうにかしないと。あ、黒のときみたいに、偽物を作ってどちらが本物かわからなくさせるとか。
水 いいぞ、白。君も悪知恵が働くようになってきたな。電気もカメラも知らない自給自足生活者みたいな人間が多いから、こっちが先に偽造データを公開してやれば、簡単に混乱するだろう。
緑 自給自足生活者ってなに?
白 えっと、テクノロジーに依存せずに生活する人たちかな。
水 単なる文明の違いだ。気にするな。さっそくやるぞ。

 水が機械の羽を現した。

水 《よし。通信室に黄色と紫が、管理室に金色がいる。ウェポンルームには青と銀だ。ひとまずこいつらが見ているモニターに、新しく偽造したデータを見せてやる》

虹 懸命な復旧の様子がおわかりでしょうか!? このあたくしの孤独な戦いの果てに、船に光と平和が訪れるのです! いやああ手が震えて上手くいかないわ! ひいっ、さらにけたたましい警報音が! パニック! 虹色はパニックよ!
虹 いやああああ!
虹 く、黒さん!? 黒さん何を!? いやああああ!
虹 はっ! 黒さんが赤に変わっていくわ!?
灰 そうぴいぴい騒ぐな。
虹 灰色さん!? た、大変よ! 黒さんが赤に……。
灰 私がそうしているのだ。
虹 ええっ!? なんですって!?
灰 私は死者の霊を取り憑かせることができる。口うるさい九官鳥は私の船にはいらんのでな。さ、やるがいい黒……いや、赤よ。
虹 なんということでしょう! みなさん、見ていますか!? 灰色が黒さんに赤の亡霊を取り憑かせているのです! いやああああ!


【通信室】
紫 なんてこと……。
黄 くっ、そういうことだったのか!

【管理室】
金 なんと……。これは虹色が遺したものなのか? それとも……。

【ウェポンルーム】
青 これ、誰が流してんだと思う?
銀 さっき水色が専門だとか言ってなかった?

【医務室】
水 《くくく。三人とも驚いているぞ。これで灰色が何かしたところで、多数決で押し切れるに違いない》
緑 よくできてるね。作り物だって知ってるおれでも、本当にこういうことがあったのかもって思い込んじゃいそう。これが映像ってやつの力なんだ。
白 というか、フェイク動画っていうべきかな。
緑 そうなんだ。なんかすごく邪悪だね。
白 う……。
水 《邪悪な爺さんに絡まれたんだ。こうするしかないだろう。さあ僕らも、この虹色が残した映像を見て驚いたっていう顔でカフェテリアに行って会議を――》

 灰色が医務室に入ってきた。

灰 どうやら、このインポスターたちは小細工で忙しいらしい。
白 うわああ!
緑 あ、やっぱり来た。
灰 話し合いはどうした? もしや私をがっかりさせる気だったか?
水 《しっかり話し合うさ。船にいる全員でな》

 青が緊急会議を招集した。

【カフェテリア】
青 えーとさ。水色って、怪しくない?
白 え?
緑 あー、そう思っちゃうんだ。
水 ちょっと待て。なんで僕なんだ。
銀 だって前の会議で映像見せてたの、あんたじゃん。今見せたのも、あんたじゃないの?
水 確かに僕だが。虹色の映像データをわざわざ解析したんだぞ。僕に礼を言うべきじゃないのか。
青 つーか変っしょ。虹色ってば叫んでるだけで誰が殺したかわかんねーし。
銀 だいたい誰が撮ってんのこれ。カメラ持ってんの藍色?
藍 ううむ……記憶がない。
灰 どうやらこの水色の特技は、自由自在に映像を作り替えることらしい。
茜 ええっ。そうなのですか?
金 ふうむ……。映像とやらの仕組みがわからぬゆえ、判断がつかぬ……。
黄 灰色を疑いたいところだが……違和感が強い。この映像というものは信じないほうがいいかもしれない。
紫 はい。夢か幻を見ているような気分にさせられます。
藍 みな、どんなものを見たんだ?
金 藍色は見ていないと申すのか? ならばもう一度ここで見てみようではないか。水色、藍色に見せてやることはできるであろう?
水 む、むろんだ。よく見てくれ。

 水色が機械の羽を現して、先ほどの映像を見せた。
 水色が機械の羽を消した。


水 どうだ。
藍 まったく現実のものと思えない。虹色のそばにいた私はどこにいるんだ?
黄 そもそもこんな風に過去の出来事を目で見るなんて不自然だ。
金 紫の言う通り、幻のようだ。
水 くっ、しまった……これが映像慣れしていない文明の常識か。
白 青と銀に疑われるなんて思わなかったし……どうしよう。
緑 紫は何も見てなかったの? 灰色、おれたちを脅してたんだけど。
紫 見えていました。灰色の前で、三人が手を挙げているところを。
灰 この少年たちに船でともに過ごすための作法を少しばかり教えていたところだ。どうやらはからずも、インポスターが馬脚を現したようではないか? この私がどのようにして原子炉から電気室へ移動したか説明できるものはいるかね?
黄 灰色がどの程度の脚力の持ち主か、という話か?
灰 ふん。この黄色いひな鳥は歩けぬ分だけ口が減らんらしい。
金 灰色! そのような口をきき続けるのであれば、貴様から追放してくれるぞ。
灰 これは失礼。何に対して謝るべきか少しもわからんがな。どうやら黄色と金色は少々気が昂ぶっているようなので、宥めねばならんようだ。
青 うわ、もー、いちいちむかつく、この爺さん。
銀 超ー性格悪っ。水色と一緒に追放しちゃう?
水 待て待て! 僕が映像を偽造した証拠でもあるのか!
黄 虹色がこの道具で作った映像というものを、自由自在に操れる水色は、単純に僕らにとって脅威だな。黒が追放される前に気づくべきだった。

緑 あ、よくない流れだ。
水 くそっ。これはまずい。
白 ど、どうにかして、水色くんの疑いを晴らさなきゃ。

金 灰色だが、炉をともに修復したのは事実だ。
白 ま、待って下さい。インポスターもサボタージュの復旧ができるのでは?
金 どういうことだ?
緑 壊したものを直すこともできるってことかな。
茜 ええっ。では灰色が壊しておいて、自分で直したということも……。
灰 はて。聞き捨てならんような気もするな。無知で頭の回らん小娘のさえずりというのは。
青 うわ、もー、ほんとむかつく。
銀 なんで普通に喋れないのこの人。
茜 無知って、どういうことですかっ。当然考えるべきことでしょうっ。
灰 私が金色と茜色をおびき寄せるために炉を壊したなら、二人とも生きてはいないということだ。
茜 そうとは限りませんけどっ。
金 よさぬか茜色。なんであれ水色が我ら全てを惑わしたというのであれば、藍色が記憶を失い、覚えのない場所に運ばれたこともうなずける。
水 待て待て待て! 僕がそんなことできるものか!
黄 まんまと黒を追放させたのは事実だ。もっと早く水色を疑うべきだったな。
紫 はい。この映像というものは、何度見ても、向こう側が透けてしまう幻です。もっとちゃんと見るべきでした。
水 おう。文明が違いすぎる。
灰 どうやら大した小細工でないどころか、自分の墓穴を掘っただけらしい。さて、そろそろ投票の時間のようだ。

緑 あー、これ、まずいや。
白 水色くん……!
水 何も言うな。くそっ。こうなったら二人とも黙って僕に投票しろ。

 投票が行われた。

 青、銀色、金色、茜色、藍色、黄色、紫、灰色、白、緑が、水色に投票した。


水 裏切ったな、灰色!

 水色は追放された。
 水色はインポスターだった。


黄 よし。二人目の刺客を追放できたぞ!
紫 ですが、水色の最後の言葉は……。
藍 裏切り……?
金 なんとも聞き捨てならんことを言い残した、な。
灰 ふん。こざかしいフェイク坊やの言葉がどうしたというのかね?
青 すっげー気になるっしょ。
銀 なに? もしかして仲間を捨てて生き残ったとかってやつ?
茜 なんて卑怯な!

緑 あ、ちょっと良い流れになった。
白 水色くんのためにも、ここは――!

スーパー冲方大戦Ⅱ 第七回投票

水色の叫びを受け止めるには何をすべきか!
皆様の投票をお待ちしております!

あとがき 

えー、というわけで、だいぶ遅くなった上に月曜日をも越えてしまいましたが、最後まで記事を完成することができました。
日曜日も土曜日もあくせくしていて、なかなか記事を作る余裕がありませんでしたが、それでも何とか続けられていることが嬉しい。
スーパー冲方大戦Ⅱで、投票して頂いた方々との約束ごとを守って書きつづるというのは、本来の創作の追求と重なりつつも、だいぶ違う刺激となっており感謝なのです。
この経験を、ぜひとも創作に活かしたいもの。

皆様が素晴らしい一週間を送れますよう!
冲方丁でした。




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