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日曜日のクルーメイト #0054 『マルドゥック・アノニマス7』3/16発売!!

ハロー、クルーメイト!
いかがお過ごしですか? 冲方はなんとまだワクチンの副反応が消えてくれず、普通に風邪を引いたのではと思うくらい、グロッキー低空飛行の週末となっております。

そんな中、野性時代新人賞の選考会が、アクリル板越しではあれど久々に対面で行われました。
奇しくも311。災害についてはいろんな思いがありますが、それはまた別の記事にて個別に書きたいと思います。
さておき。選考では、辻村さん、森見さんのご意見がいつも楽しく、冲方もグロッキーな体調も忘れるくらい有意義な選考でありました。
文芸の新しい波を感じつつ、さてでは自分の創作は今後どのようにあるべきかと大いに考えさせられた次第。

結果は追って発表されますが、今回も、清新な応募作を読むことができて大変刺激になりました。
筆力は、月日をかけて育てるもの。
芽生えた筆力を、ぜひ大事に育て続けてほしいと思います。

さてでは、冲方も負けじと筆力向上に挑みつつ、今週も元気に参りましょう!

今週の宣伝! 『マルドゥック・アノニマス7』発売!!

おかげさまで、年一の刊行ペースを保ちながら、7巻目の刊行となりました。
シリーズ最長にして最終シーズンに、いよいよ突入!
オクトーバー社を訴える集団訴訟が成立に向かい、複雑さを増すハンター陣営とオフィス陣営の対立に、シザース陣営が干渉の手を広げる。
果たして棺の中に眠るのは――

天国への階段を巡り、都市のあらゆる面で争いが加速する今巻、ぜひお楽しみ下さい!

登場人物表も、シリーズ最大に。
数ページにわたっており、限界ぎりぎりの人名数となっております。そろそろ死亡した人物は表から消えそう。

勢力図に加えて、シリーズ初の「地図」が!
ちなみにエア・カー専用の「エア・ウェイ」は煩雑すぎるため省いております。シリーズを経るごとに建物や道路が少しずつ変わっているので、旧シリーズとはちょっと違うところもあります。
たとえば『ヴェロシティ』では刑務所に行くのに時間がかかりましたが、『アノニマス』では道路が整備されたため、比較的すぐ行けるようになっています。
マルドゥック・シティで生きる人々の背景にあるランドスケープもまた、様々な顔を見せるキャラクターの一種といえるでしょう。
バロットたちが見ている風景を、楽しんで頂けましたら幸い。

縦線が南北に通るアヴェニュー、横線が東西に通るストリート。
都市の道路もすっきり整理されて作者も便利。
文庫に掲載されるかはわかりませんが、そのうち各地区の地図も作ってアップしたりたいところ。

今巻も、既刊と合わせてどっさりサイン本を作らせて頂きます!
書店にて、ぜひ手に取って御覧下さい!

宣伝2 各誌連載!

『剣樹抄』第十六話 オール讀物

『骨灰』野性時代

『マイ・リトル・ジェダイ』別冊文藝春秋

各誌連載中! これらは掲載され次第、ご紹介して参ります!

お蔵ストック企画 第2回投票結果!

投票ありがとうございました!
探偵ものとSFものが一時接戦でしたが、最終的には4割の表を獲得してSFものがトーナメント進出!

ゾンビものの人気のなさに、冲方はそこはかとなくショック!
ゾンビ好きが1割を下るとは……みなさん、すでに数多あるゾンビ作品でもう満足してしまわれたのでしょうか。新たにゾンビの魅力を伝えるべく、ぜひいつか挑みたいところです。

かたやアイドルものが善戦しました。投票に加えておいて何ですが、どう書くべきか最もノープランだった企画。これもいつか日の目を見ることを願っております。

森人さんからのコメントです!
残念! 探偵ものは惜しくも二位でした。序盤は接戦かと思われましたけれども、ちょっとアイディアの盛り込みに限界がある企画でしたかね。
跡を継ぐ展開を盛り込むなら、最初から後継者を主人公にして、過去を回想させたり物語に組み込んだりするのも手かも。

さておき。スケールが大きい方に票が集まる傾向がみられました。より広汎なアイディアを盛り込めるからでしょうか。

今回の投票がどうなるかも非常に楽しみですが、現時点でトーナメントを進出した企画は、以下の二点。

Aブロック)ファンタジーもの:『ドラゴン・ヴァンパイア(仮)』
吸血鬼の始祖ドラキュラの名の意味は「竜の子」。
父子ともに「竜公(ドラクル)」と称されたように、ドラキュラを吸血鬼に変えたのは「竜の血」であった。
ドラキュラの時代ののち大航海時代が訪れ、世界各地から竜の血や爪や心臓の化石や鱗が収集されたことで、系統の異なる吸血鬼たちが生まれ、今も「夜の覇権」を争い続けている。
吸血鬼×特殊能力×世界中のドラゴン」の陰謀やアクションやドラマを盛り沢山に楽しめるアイディアとなります。

Bブロック)SF放浪もの『五万年を旅する男の物語(仮)』
スタートは現代、将来を誓い合う男女がいた。
あるとき女性は科学者として、人類初の有人惑星探査船に乗って旅立った。数年で帰還するはずだったが、探査船はコースを外れ、彼方へ消え去った。
その後、探査船から男性に宛てて、あるメッセージが送られていたことが判明する。内容は、およそ五万年後、地球上のある地点で、「待つ」という女性からの言葉だった。
男性はそのメッセージを信じ、五万年後の彼女のもとへ辿り着くため、時間を西部劇の開拓地になぞらえ、肉体改造と冷凍睡眠を鞍にたとえ、冷凍睡眠を管理するAIを馬にたとえるなどして、時の旅を始める。
スケールが大きい分、どこを切り取ってもよく、人類史で遊んだり、ものすごく下らない理由で目覚めされられた主人公が、事件に巻き込まれたり、これまた多彩なアイディアが盛り込めそうです。

お蔵ストック企画「どれを一緒に作りたいですか?」投票 第三弾!

皆様の反応が面白く、ついついなるべく多くの企画を見て頂きたくなりますが、あまり数が多いと、全体の把握が大変になりますので、この第三弾でひとまずブロック投票は最後とし、決選投票に向かいたいと思っております。

それでは、「どれを一緒に作りたいですか?」投票、第三弾! 
Cブロックの企画はこちらです!

1)ファンタジーもの『イザベラと幽霊船(仮)』
海洋貿易で栄えた都市イエネティアの領主が、あるとき幼い双子の息子と娘とともに船に乗り、嵐に遭遇する。
海の神の怒りを鎮めるには、女児を生贄に献げねばならないという水夫たちの声に抗えず、領主は娘イザベラを海へ投げ入れる。
領主たちは嵐を乗り切り、都市へ帰り着くが、一方で生贄に献げられたイザベラは、「実は生贄が嫌い」な海の神のはからいで、たまたま通りがかった幽霊船に拾われることに。
かくしてイザベラは、礼儀正しい骸骨船長や、陽気な幽霊シェフ、船倉に蠢く歌が上手な悪霊たちや、生前は骸骨船長の敵だった幽霊海賊船の面々や、さらには、ふだんは大人しいが怒ると凶暴なクラーケンなどに囲まれて健やかに育ちます。そして十六歳の誕生日には、骸骨船長から副船長の印をプレゼントされて大喜びするイザベラなのでした。
同じ頃、イエネティアでは領主が交代し、若き領主がたつことに。そこへ東の帝国が大艦隊を送り込んでくることが明らかとなり、若き領主は近隣諸国に同盟を呼びかけるが、裏切る都市が出るなど事態は悪い方へ。
そんな折、帝国の船団の一部が幽霊船と遭遇する。幽霊船を拿捕しようとした船団が逆に沈められたことで、その存在が若き領主の耳にも届く。
若き領主は、海の神が使わした味方が現れたのではと考え、幽霊船への接触をはかる。
他方、イザベラは骸骨船長から、自分が海に捨てられと教えられ、真実を知るために、生まれて初めて幽霊船を下りてイエネティアへ向かう。
そこで若き領主が自分の兄であることを知ったイザベラは、家族に捨てられた怒りと悲しみに打たれつつ、自分が彼らを助けるべきか迷うことに。
一方、若き領主は、父がなぜイザベラを海に投げ入れたか、別の理由があるのではと疑う。

のち、小都市の同盟軍が、圧倒的な帝国の大船団を相手に戦い、撃退に成功した陰には、海の平和を愛する幽霊船の、知られざる戦いがあった――。
というファンタジーとなります。

「ベネチアとレパント沖の海戦」をモデルにしつつ、家族愛、冒険、人生の意味などをテーマに、ディズニー的な、陰惨ではないファンタジックな作品を目指します。


2)青春ホラー 『谷川岳と幽霊と少年たち(仮)』
エベレストよりも多くの遭難者が出るといわれる谷川岳。
風光明媚な景色に油断し、遭難する者が多いという。
あるとき、殺人犯が警察から逃げて谷川岳に入り込み、それを刑事が追っていったものの、二人とも行方不明になるという事件が起こる。
それから数年後、ミステリー同好会の高校生四人が、卒業旅行を兼ねて、谷川岳へ向かう。
四人はそれぞれ家庭の事情を抱えており、今回の旅行を最後に、それぞれ異なる進路を目指すことになる。
そんな彼らが最後に共に楽しむと決めたのは、「消えた殺人犯と刑事」の足跡を追うというもの。
過去の同好会のネタ同様、どうせ何も見つからないけれど、推理を重ねて楽しむひとときを味わうだけ、と思っていた矢先――犯人が残したと思われる品を見つけただけでなく、今なお殺人犯が生きて山中に潜伏している可能性に辿り着いてしまうのだった。

恐怖のいっときを四人で耐え抜きながら、最終的には殺人犯と刑事がともに死んでいるのを発見し、「それではあのときのあれは幽霊だったのか……」といった後味を残す感じの物語になりそうな予感がします。
展開の工夫次第で、いろんなバリエーションが考えられそう。
スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』みたいな青春ホラーを目指す企画となります。


3)現代ホラー 『占有屋(仮)』
占有屋とは、競売物件に居座り、物件の落札者に法外な立ち退き料を要求する人のことをいいます。
主人公は、借金が返せず、家族を夜逃げさせたものの自分だけ捕まり、とある競売物件に居座ることを命じられてしまいます
何があっても決して住むことをやめてはいけないその物件は、実は不動産業者の間でも有名な呪われた事故物件なのであった
物件に居座り始めた主人公に、次々に怪異が襲いかかるだけでなく、あたかも物件に意思があるかのように、家族や親しい者たちまで呼び寄せられてゆく。
果たして主人公とその家族は、再び平穏な生活に戻れるのか。はたまたその物件に居座る「別の何か」の餌食となってしまうのか。また、そもそも物件に居座る「何か」はいったいどこから来たのか。

シンプルなシチュエーションに、多彩なドッキリ、ビックリ、冷や冷やをどれだけ盛れるかが勝負の、お化け屋敷ホラー。
これまた幽霊が大活躍の企画となります。


4)サスペンス・ミステリー『死者の法廷(仮)』
ある深夜バスに乗り合わせた男女は、目覚めると見知らぬ廃村にいた。
バスはガス欠、運転手は失踪、携帯電話の電波は届かず、廃村の周辺はフェンスと猛獣除けの電気罠で囲まれていて脱出できない。
男女は廃村の集会室で、『上告』と題されたある事件の裁判記録の束と、証拠保管袋に入れられた凶器、そして「村から出たければ事件の真相を明らかにすること」というメッセージを発見する。
男女は全員、元裁判官、元刑事、元証言者など、何年も前に死刑が執行されたその事件に何らかの形で関わっていた。
自分たちがどのようにして集められたのか、誰がそうしたのか、この場にいる人間の誰かが仕組んだことではないのかなど、疑心暗鬼になりながらも、メッセージに従って「裁判のやり直し」を強いられることになる。
そして過去の裁判が冤罪であった可能性が明らかになるたび、冤罪の原因となった男女が、一人ずつ死体で発見されてゆく。
脱出方法を探りながら、エスカレートする猜疑心とパニックに支配されてゆく男女は、果たして生きて村を出られるのか。

脱出ゲームと裁判ものと「そして誰もいなくなった」ものをかけ合わせた密室の同士討ちゲームとなります。
男女の人数を調整することで単純にも複雑怪奇にもできますし、かなり陰惨なテイストにすることも、テンション高めのパニックものにすることもできるのではないでしょうか。

以上がCブロックの四作品となります!

ぜひ、後日ツイートする投票にご参加下さい! 冲方のお蔵ストックを、みんなで一緒に作ろう企画、結果を楽しみにしております!

あとがき

あとがきとコメント・トークを兼ねて、再び森人さんからのコメント!
両足で蹴るって、考えてみれば最強の捨て身攻撃ですね。上手く当たればですが。
合気道はアクションの描写がとても楽しい。
またぞろ、格闘満載の小説も書きたくなりました。

ぜひ、当記事の感想、飯テロ、要望、最近の小ネタなど、皆様のコメントを、

#日曜日のクルーメイト

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さて。
先週今週と、正直、とてつもなく体調的にきつい日々でございました。
ここで苦しんだ分、体内に抗体という名の頼もしい味方が定着してくれると信じ、まだちょっと残っている副反応に耐えて参りたいと思います。

皆様におかれましては、今週も健やかな日曜日をお送り下さい!
冲方丁でした。




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