SNSでポエムを売る、ということ
「怒りを歌え女神よ、ペレウスの子アキレウスの、おぞましいその怒りを」
私が好きな古代ギリシアのホメロスが残した叙事詩『イリアス』はこんな書き出しで始まります。
そもそも、古代人は怒りを「神聖なもの」として見ました。古代にうたわれた多くのポエムのなかで、怒りを発するのは「神々」です。
しかし、イリアスだけは、英雄アキレウスの個人的な怒りをテーマとしています。そしてこの病んだ英雄の怒りとともに、古代風の部族社会の迷妄からの個人の歴史的解放が高らかに告げられると。
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