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冗談禁止の異世界転生


轢ーーッ!!

目を覚ますと俺は生成りの貫頭衣姿で寝台に身を横たえていた。
身を起こす。清潔だが無機質のアイボリーホワイトで統一された室内には目立った装飾がなく壁はつるんとしている。

目を覚ましたようね。
ここは《生真面目タウン》、冗談禁止の世界よ。

頭の中に直接"声"が響いた。

あなたは生前にあまりにも冗談を言い過ぎました。
その業(カルマ)のため今生では冗談を禁止します。

胸に手を当てるまでもなく心当たりはいくらでもあったので俺は素直に頷く。つるんとした壁の一角に長方形の線が走り扉が形成された。

さあ、新たな人生を送るのです。
この扉を抜けた先に新たな世界が……

俺は寝台から飛び降りると垂直ジャンプを繰り返す。
そして走りながら壁に体当たりを始めた。

お待ちなさい……

制止は無意味である。
角だ。角を狙ってジャンプしながら体当たりをする。
壁に体当たりをしながら空中で身体を角度へねじりこむ。

おい……!

次は走りながらしゃがみ姿勢でジャンプだ。
壁や天井に頭をぶつければやられ姿勢になるか?どうだ?

……。

成功だ!
空中やられ姿勢が角度の先に刺さり、俺は完全にスタックした。

……。

どうしよう。

……。

異世界転生社OP部。

「センパぁイ!!やっぱアイツだめです!」

転生オペレーターのガブリエルしず子(入社二年目)が嘆く。

室内に角度禁止
交渉不可
対話禁止
イントロダクション不要
チュートリアルスキップ
強制転生を推奨

次々と申し送り事項が記載されていく。

転生OP部 主任ウリエルひろし(入社百二十年目)
「あいつはクズです。このまま霊的削除を実行するべきです」

転生OP部 大部長ミカエル隆(入社千二百年目)
「待て、デバッガーとして使えるかもしれん」

「は?」

「しず子と共にやつを捕獲せよ」

「「えェ~~~~????」」

続く

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