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『胎界主』も読まずに平成が終わると思うな。

よくきたな。前回から1年経ったが俺はウサギのように歩み続け残りの『胎界主』の波濤を乗りこなし第二部の結末部分まで読み終えた。

俺の心はいま何らかの感情に打ち震えている。怒りなのか笑いなのか安らぎなのかはよくわからない。心の深奥を突く感動であることは確かだ。この終点にたどり着いてしまった今、俺はいまどんな顔をしているんだろうか。

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胎界主とは何か。一口では語り切れるものではないが、マツモトキヨシさんの知人であるロジオン・”マトリョーシカ”・ゴンブローヴィチ博士からのメッセージが最も強く、荒野をゆく真の男たちの道しるべとなるであろう。実際、俺は「方向は合っているが距離がわからない」状態に何度も陥ったが、第一話そしてWMG博士の論文へ立ち返り歩みを確かめた。

前回までの胎界主

薩摩藩ヤクザとのケジメをつけた凡蔵稀男とルーサーは妖怪に囲まれながら墓守として暮らしていた。だが、色々あって異世界《ロックヘイム》に棲む《胎界主ピュア》をボコすように魔王から指示され逆らえば死ぬので出かけることになった。

読み終わったものの、いまだにわけわからんところもあるので色々と整理していこうと思う。また、貴様らは俺が勘違いしていたり、余計なところへ踏み込むと喜ぶことを知っているのでどんどん書いていくぞ。

第一部後半戦「無責任飛行」へ

色々と複雑だった中盤が終わると、稀男は「塔の男」と出会い、ついに三人の主人公が出そろってそれぞれが悪魔派閥の解散総戦挙「無責任飛行」へ参戦する展開となる。このあたりから物語に一貫性のある推力が発生して読書ペースが革新的に高まることになるだろう。(実際、塔の男からは一直線に読み終えることができた)

騙されたかのように読みやすくなり疑心暗鬼に陥った読者

第一部「塔の男」以降は主人公が三人組となり人物に寄り添いやすくなるのも大きい。

凡蔵稀男
半妖精の辛気臭い男。中身は空虚な象徴で反射だけで生きているフリをしている。妖精なので生命の緒を見ることができるらしく、それをちょん切ったりすると人が死ぬ。強大な《運ぶ力》の胎界主。

ルーサー・ナッチェス
巨体インディアンで稀男の相棒的存在。性豪。やる気マンマンになると瞬間的にパワーアップできる呪いを備えている。父親がめちゃくちゃ怖い。

タロット・アス
《塔の男》と呼ばれるBIG3の一角。かわいい。出現シーンが異形のカメラアングルだったので「ムーたち」の一節を思い出す理不尽な男。かわいい。稀男とルーサーを手下にしてこき使うが面倒見がよく甲斐甲斐しい。

因縁が収束する「無責任飛行」へ向かえ

稀男とルーサーがすっぱだかで地獄へ落されたり、魔王メフィストフェレスがヤバい透明ゾンビを再生しそうになったり、殺し屋レフ・レックスが授業参観に来たり色々あったが、とにかく主人公チームは塔の男タロット・アスによってシメられ完全服従を強いられることになった。

これでやっと《ロックヘイム》へ行けるかと思ったら、いきなり「賞金争奪トーナメント(無責任飛行)」の開催ですよ。魔王ベールゼバブの派閥が解体されるくらいでトーナメントですか。おめでたいやつだ。しかも「俺に攻撃を当てたら降参してあげますよ」とか言ってるテニス部がいるの。おい、その態度を改めて舐めプをやめろ。無責任飛行っていうのは……もっと救われていなくちゃダメなんだ……孤独で……無限の可能性を秘めた扉が開花する……そうじゃなきゃダメなんだ、孤独の責任を全うする真の男でなければ……

とにかく物語の方向性が軽くなり、これまで大ボスだらけだった登場人物が適度に軽くなり、インド八人衆みたいな賑やかしも沸いてきて単純に楽しい。東郷から最強の男「情叔父さん」が参戦だ。本戦では壮絶な真の男を決める【圧迫面接】が行われ、それぞれの登場人物にケジメがつく。(あるいは次章へ持ち越される)

もしここまでたどり着けないようであれば「無責任飛行」についての地上で随一のガイドを読んでほしい。

レフ・レックスとの因縁に決着をつけ、魔王ベールゼバブと魔王メフィストフェレスも色々あって発狂してしまった。物語は佳境を迎えて真の王と真の胎界主がいよいよ異世界「ロックヘイム」へ向かうという展開で第一部は幕を下ろす。

レフ・レックスという面倒見のよい範馬勇次郎の弟みたいなキャラクター、ぜひ覚えていってください。たぶん試験に出ます。

「ピュア」とは何者なのか。アスの復讐の理由とは。稀男と取り換えられた子はどうしているのか。それは、きっと第二部で明らかになる。明らかになるんじゃないかな。まちょっと覚悟はしておけ。

(第二部総括編へつづく)

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