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【映画感想】「バーフバリ」の濃厚なキャラクター達

よく来たな。おれは毎日よくわからない文章をアップロードしているが、今日も印度抒情詩にスパイスを振りかけてマサラナイズした最新インド映画「バーフバリ」の濃厚なキャラクターについて書く。

(2018/3/1)読者の皆様へ:本記事は映画鑑賞後の熱気で勢いよく書き上げた記事なので若干の事実誤認や思い込みが含まれますが特に修正はしません。さらに掘り下げた記事がマガジン内にあるのでチェックしてみてください。
(2018/6/29)クマラ来日記念で完全版の描写を少しだけ書き足しました。

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「バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋」は強烈なキャラクター性が織りなす物語であり完全なキャラクター映画だ。彼らは真のインドヒーローでありインドヒロインである。

なお、インド映画特有の我々に馴染みのない名前は区別しにくいが鑑賞中にキャラクターの名前を覚える必要はない。太陽が昇っているのにアレはなんだ?と問うものはいないだろう。

バーフバリとその敵対者

シヴドゥ(マヘンドラ・バーフバリ)

本編の主人公。アマレンドラ・バーフバリの息子。数奇な運命に導かれ暴君バラーラデーヴァの治めるマヒシュマティ王国にたった1人で立ち向かうことになる。

完全版での変更点:特になし

身体能力

巨大な滝の下で滝の上の世界へ憧れながらひたすら滝登りとロッククライミングを繰り返して育ったためインド瞬発力とインド持続力を兼ね備えている。巨大シヴァリンガを担ぎ上げて運び出すシーンが象徴的。

また自然と一体化して気配を隠すインド野伏力にも長ける。それと気づかれずタマンナーにタトゥーを施すシーンに象徴される。敵兵を蹴り渡る空中トライアングルリープを決めるなど父親に比べて野生味とセンスに強みがある。

【必殺技】
チェーンナックル:両手に装着した鎖で敵を打ち据える。
攻撃ボタンを押し続けると鎖を巻いて拳を固め、リーチと引き換えに威力が上昇する。
丸太投げ:丸太を持ち上げて投げる野性的な得意技。横方向への当たり判定が強く、
集団を相手にする場合に頼りになる。
【超必殺技】
ヤシの木カタパルト:たわめたヤシの木に乗り込み反発力で飛び立つ。
ゲージがたまっているほど参加人数が増える。

アマレンドラ・バーフバリ

本編の実質的な主人公。メインビジュアルはシヴドゥではなく彼である。実父は早世した賢王。王国の継承者である賢王の兄嫁シヴァガミを母、剣聖カッタッパを父がわりに育つ。

完全版での変更点:王国追放後の描写により高いイノベーション性を持つことが明らかになった。ロマンチックな感性の持ち主である。

身体能力

卓越した武術の持ち主でありバラーラデーヴァと互角とされる戦士である。スーパースロー映像を使用しない場合は色付きの風にしか見えない。携帯用の手斧を存分に扱うが弓術の達人でもありデーヴァセーナに三本射ちのインストラクションを施した。諸国漫遊中にデーヴァセーナの従兄弟にあたるクマラの元に身を寄せたときは実力を隠したまま彼に全く気づかれることなくクマラの武勲を徹底サポート。(バーフバリに得意顔で武術のインストラクションするクマラとのやりとりは本編屈指の爆笑シーンである)

その精神性にも定評があり民草の犠牲を避け、生け捕りの指示があった蛮族の王は致命傷に留めて捕獲するなど加減ができる男。人を疑うことを知らず蓄えを施し全国民からの尊敬を集める太陽のような人間性がバラーラデーヴァとの決定的な決裂を生むことになった。

【必殺技】
指は四本:同時に三本の矢を放つ。(空中可)
斬るのは指ではない:横方向に強烈な斬撃を放つ。
カッタッパコンボ:カッタッパを投げつける対空技
クンタラコンボ:デーヴァセーナと共に連続して矢を放つ。
【超必殺技】
エレファント・アロー:暴れ象を従えて大威力の矢を放つ。(炎属性)

バラーラデーヴァ

アマレンドラ・バーフバリの兄にあたる。母の寵愛、王位の座、国民からの人気、妻と見初めた女性、己から全てを奪ったバーフバリへの怒りと復讐に燃える男。

武術や革新性に長け判断力もわきまえたバーフバリさえいなければ名君として君臨していたであろう存在だが親子二代に渡ってバーフバリに立ちはだかる強大な壁となる。太陽のようなバーフバリに照らされて輝く月のような魅力がある男。

完全版での変更点:特になし。

身体能力

神器[槌鉾チュッパチャップス]を振り回す腕力自慢であり壮年となっても素手で野牛をねじ伏せる王国最強の現役戦士。

インド頭脳とインド忍耐力に長けバーフバリを追い落とす二者択一の奸計、王座から追い落としたバーフバリを国務長官から解任する、セクハラ裁判で国外追放をキメる、暗殺騒ぎの自作自演で国家反逆者としてバーフバリ殺害への道筋をつける等、悪行三昧だがどこか憎めない魅力がある。

おそらく弟へのコンプレックスから発明家としてのインドイノベーション性が強く打ち出され高性能望遠鏡や万刃戦車の開発に成功する。最終決戦時は三連万刃戦車を駆りデーヴァセーナを奪還、シヴドゥに土をつける。

【必殺技】
槌矛チュッパチャプス:槌矛を振り回して攻撃。攻撃ボタン長押しでリーチが伸びる。
野牛ひねり:敵を捕獲してひねりつぶす。
国王パンチ:空中へ飛び上がり強烈なハンマーパンチを繰り出す。(空中可)
【超必殺技】
カリギュラ・チャリオット:バカ戦車に乗り込み轢殺する。上方向からの攻撃に弱い。

カッタッパ

王族に奴隷(おそらく日本語での翻訳が不可能なレベルで人間扱いされていない存在と思われる)として仕える剣闘士。兄弟の剣術の師匠であり父のないバーフバリには父親として敬愛された存在。そんな彼がなぜバーフバリを裏切り背後から刺し殺す行動に出たのかが「王の凱旋」の主なストーリーラインである。

完全版での変更点:王国で耐え忍んだ忍耐が爆発するシーンが追加され彼の人生の決算に喝さいの声が上がった。なお、ロマンチックな感性は全く持ち合わせていない塩コショウ野郎。

身体能力

戦歴数十年の現役戦士。伝説の達人であり吹き替えは麦人なので外見的にも精神的にもほぼ愚地独歩。身分を弁え常に王の隣にさぶらうが命令一つで敵対者を手にかける。生ける抑止力である。

彼の最大の強さはその忠義力である。伝説の刀剣<大帝>を売りさばきに来た武器屋(アスラム・カーン)との立会いで<大帝>を砕き、お主の忠義こそが最大の国の宝だと賞賛された。

ユーモアや処世術に長けバーフバリとの諸国漫遊中には身分を隠すために王を愚鈍な若者に仕立てあげ嫁探しの徹底サポートをする。バーフバリとの親子コンビネーションに定評があり山賊バーバリアンや蛮族バーバリアンを皆殺しにする際には息のあったノールック斧投げ渡しを見せ武器を託し託される信頼関係の強さを見せつける。

【必殺技】
神速剣:剣が耐えられない速度での斬撃を放つ。
忠誠心:地面をえぐるほどのスライディング土下座で王への忠誠を示す。
かわいそうな甥:愚鈍を装い攻撃を回避するスライド移動をする。
突き刺し:完全に虚を突いた状態で慈悲の心で背後から突き刺す。
【超必殺技】
カッタッパァ!:シヴァガミの号令によって上空からカッタッパが出現。
裏切り者を皆殺しにする。慈悲はない。
カッタッパンチ:万感を込めた拳で殴りぬける。(完全版で追加)

三代の女性主人公

原典マーハバーラタには存在しなかった女の戦いが描写されているのも「バーフバリ」の特徴だ。

第1世代 シヴァガミ

「結婚は下命である」

賢王の兄(ビッジャラデーヴァ)の嫁であるが国政を一任されるほどの烈女であり「国母」として敬愛される。実の子供と区別せずに義理の息子を育て、国法を守ることと王が間違えた時には指摘することの大切さをバーフバリに教える。(このことが決定的な決裂を招くことになる)

「伝説誕生」の冒頭シーンで彼女が抱え上げる赤子について「なぜ彼女ほどの立場の者が生命をかけて救ったのか?」という真実を知ると「不沈のターミネーター」という爆笑シーンの印象が180度転換して滂沱の涙を誘うのである。

第2世代 デーヴァセーナ

「結婚相手は自分で選ぶ」

バーフバリと結婚して後のシヴドゥを生む。その後、反逆者の妻として25年間にわたり「王宮の小枝を拾って焼却炉に入れる業務」という暗黒メガコーポのシュレッダー部屋のような刑罰を命じられる。

彼女はことごとく国母と対立をするが憎しみはなく最終局面で国母と同様に頭頂部に灯した炎をシヴァ神に奉納する儀式を成し遂げるのである。

武力が非常に高くその気位からセクハラしてきた国務大臣の指をケジメするほど。この事件の裁判で国外追放が決定してしまうがバーフともどもそれを気にする様子もなく受け入れ「心の王国」を築く芯の強さを見せつける。

完全版での変更点:愛らしいダンスシーンが加わりアマレンドラ・バーフバリとの恋情がますます尊いものとなった。(この修正はクンタラ系キャラクター全員へ適応される)

(考察)
何故リストラ部屋に耐えられたのか

王宮にはそれほど木が生えているわけではない。為政者は飽きて辞表を提出してくることを待っていたが思ったより枝があったのでデーヴァセーナは25年間も復讐の薪を集め続けることができた。

 小枝とは何か?
それは彼女を慕う王国民の怨嗟の声である。彼らは人知れず王宮に小枝を投げ込み女王の生命を繋いだ。その紡がれた意思が大団円において暴君を炎の中に投げ込むことになる。

第3世代 アヴァンティカ

「結婚はしない。仕事に生きる」

彼女には課された使命があり結婚は許されていない。彼女自身も納得して使命に従うがシヴドゥの求愛により己の魅力と恋愛に生きることの尊さを知り独立した女性として最終決戦に参加する。

「王の凱旋」では出番が驚くほど少ないが彼女は次の世代の女性だからであろう。新生マヒシュマティ王国の戦いはこれからだ!!

完全版での変更点:特になかった。(逆にびっくりした)

サブキャラ達

 ビッジャラデーヴァ(国母の夫)

王位を弟に実権を妻に健全な肉体を息子達に奪われた悲劇の男。生まれつき片腕が衰えており多大なコンプレックスを抱いているがカッタッパからは肉体的な素養ではなく精神的に王者の器ではないと看破されている。(目の前でそれを伝えるカッタッパもカッタッパだが)息子を頼り国母やバーフバリやバラーラーデーヴァの暗殺をそそのかす卑小な男として描かれている。本作のダニー・トレホ枠。

完全版での変更点:クマラへの粘ついた視線から長期的に忍耐強く陰謀を練る孤高の悪であり王宮に棲む怪物としての権謀術数が強調された。

クマラ・ヴァルマ(デーヴァセーナの親戚)

この虚栄心と傲慢さと決意のこもった男の表情を見よ!

マハラジャの家柄を鼻にかけた男。武力が自慢だが実力はバーフバリと比べるまでもない見栄っ張りマンである。愚鈍を装ったバーフバリに先輩ヅラで武術のレクチャーをする作中屈指のコメディリリーフだ。

クンタラ王宮が山賊バーバリアンに襲撃された時に、正体を現したバーフバリから「国民を守るのが王族の務め」であると叱咤激励されたことで王族の戦士として覚醒。死線を乗り越えたことで一線級の戦士としてバーフバリと肩を並べるようになる。ムロツヨシ枠。めちゃくちゃ好き。

自らの生まれを鼻にかけた「バーフバリがいなかった場合の」バラーラデーヴァのif存在ではないだろうか。彼は小心者だが勇者になった。

完全版での変更点:クンタラ王国編の描写強化が利いていて完全にメインキャラの一人としての立場を確立した。愚鈍を演じるアマレンドラにおはじきとかの用意をするなど世話を焼いたりデーヴァセーナへ近づくアマレンドラに露骨に嫉妬する等、人間味マシマシマシマシ!!

ラジオ出演でのセリフ「ウッタッパ! 劇場デ待ッテルヨ!!」

カワイイの権化かこの人は。

母ちゃん

シヴドゥの育ての親。彼の将来を案じて彼女が男根1048度参りを始めたことがシヴドゥが滝の上を目指す転機となる。シヴドゥを拾った直後の「逆らう奴はぶっ殺死!」という発言にはパワーがあり観客にシヴドゥの育て方を心配される。

シヴドゥが滝の下に運んだシヴァリンガは永劫の未来まで母の祈りを叶え続けたことが「王の凱旋」のラストシーンで示唆されて作品が終わる。

武器商人 アスラム・カーン

「伝説誕生」に登場。<大帝>(イスカンダール)と呼ばれる名剣をカッタッパに破壊されたことで彼を賞賛する場面のみのカメオ出演に留まっている。無駄にイケメンでポーズも決まっているのでどうやら大スターの予感がするがよく知らない。(後日、スディープという超大スターであることが判明して赤面しました。超スターじゃん!)

解説なんて気にするな

なお、この映画でも、例外なくインド映画特有のバグ(登場人物の区別がつかない)が発生しているが恐ろしいことに気にならないしそのうち区別がつくようになる。ここで解説した内容は映画館に行けば1発で理解できることなので、これは大きな蛇足であることを付け加えておく。

とにかく劇場で見られるうちに劇場へ行け。

王を称えよ!

「バーフバリ 王の凱旋」 公式サイト
http://baahubali-movie.com/sp/

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