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『マンディ 地獄のロードウォーリアー(2018年の映画)』(深刻なネタバレあり)

俺が死んだなら墓にはスピーカーを置き頭にヘッドホンをかぶせて埋めてくれ。もし俺が死んだらな。

ようこそ地獄へ。お望月さんだヨォ!!おはマンディ。
話題作だけどあまり見た人の姿を見かけない「コードブルー」と同じ枠の映画『マンディ 地獄のロードウォーリアー』を観てきました。こいつはヤバイ。網膜から摂取するドラッグだぞ。

ボーン・イン・レッド・ブラック

1980年代アメリカ。冷戦と終末思想が蔓延る世界を横断するヒッピーハッピー教団。彼らはドラッグと麻薬とスノーフレークとどこへでも行ける切手と愛と音楽と平和を武器に米国を横断していた。一方、森林を伐採しながら静かに暮らすマンディだが、マンディが教祖に見初められたことにより地獄のロードウォーリアーの襲撃を受けることになる。寝室を襲撃されマンディを無残な手口で殺害されたニコラス・ケイジは血と炎の中で復讐を誓う。そう、マンディはニコラス・ケイジではなかったのだ!!

ネタバレ:ニコラス・ケイジはマンディではなかった!!!

自分に酔ったヤツの話は長い。

開始5分で危機が訪れ残り85分を全力でマンディすると思っていた観客の期待は裏切られた。この映画は前半の60分ではケミカル描写が続き、後半の60分でもケミカル描写が続くタイプの作品である。ハッピーヒッピー教団は音楽アーティスト崩れの教祖を中心とした強固なファンコミュニティであり「俺のほうが本当はスゴイ」「まだカーペンターズで消耗してるの?」「オフラインサロンを開設しました」「ダークコンドルを呼べ(オカリナを吹く)」「聖別されし汚染された暗黒の剣(形容詞が過剰)(たぶん攻撃力+30、追加状態異常:毒、攻撃属性:暗黒)」などのありとあらゆるズッコケ要素を盛り込んだ「殺すべし・カルト」感を醸成している。これを看破して徹底的にマンディが嗤い叩きのめすシーンについては、爽快だが悲壮すぎて涙が出てきそうになる。黒メタルTシャツは自我を守る武器だ。

「何を狩る?」「カルト教団だ」「シーズンなのか?」

家族を殺害され消毒液/高濃度アルコール飲料をしこたま飲みほしたニコラス・ケイジはついに発狂。このシーン笑ってはいけない悲惨なシーンなんだけどブリーフ一丁でダサい虎シャツを着こんだニコケイが暴れまわるため劇場は困惑。笑ってはいけない場面なのに思わず吹きだしてしまう人もいた。

マンディは森林トレーラーハウスで暮らす知人(森林のトレーラーハウスで暮らす人々は様々な問題を抱え虚無の暗黒と戦う戦士である)を訪ね、預けていた伝説の武器《死神/リーパー》(クロスボウ。攻撃力+44、弾数3、追加状態異常:即死、攻撃属性:突)を取り戻す。

「何を狩る?」「カルト教団だ」「シーズンなのか?」マンディが作中でかわす会話はこれくらいである。あとは発狂暴力の奔流となる。ここが人間性の最後のセーブポイントだ。

さらにマンディの遺灰を混ぜ込んだラージバトル殺人アックスを鋳造する。鋳造です。鋳型に金属を流し込む。金床で叩く。グラインダーで研ぎあげる。この鋳造です。怒りと発狂のレベルがやばい。手元にあったバールのようなものをつかんで走り出したりしない。鋳造です。鋳造!フォージング・ヘイト・レッド!

《マンディ》(戦槍斧。攻撃力+66、攻撃属性:斬/突、特性:美術的価値:高)

クロスボウとマンディを身にまとったニコラス・ケイジは「マンディ」となった。

ネタバレ:ニコラス・ケイジがマンディだった!!!

コラム:米国には無数のインディー刀鍛冶がいることはよく知られている。恐らくマンディも趣味で「刀剣の鉄人」的なことをやっていたので、米国人なら結構な確率で大戦槍斧くらい作れる。いいね?

やめろ!それを舐めてはいけない! 舐めるなよ!絶対だぞ!

マンディと対決するのは、地獄のロードウォーリアー達。激ヤバLSDをバグらせたような強烈な薬物で怪物と化した黙示録の四騎士。ヘルレイザー的な全身トゲトゲ男、苦悶する顔面生皮を貼りつけた男、その他いろいろ。彼らはマンディの襲撃を受けて一人一人マンディされていく。彼らのアジト(生活感がある)で伝説の武具を振り回し奴らを一人一人マンディしたマンディは流れで大量のスノーフレークをスンッ(粉)と吸引してハイテンション発狂マンディにパワーアップして奴ら一人一人を血祭りにあげていく。そして、彼らのアジト(かなり生活感がある)でマンディは《激ヤバLSDをバグらせたような強烈な薬物》のビンを入手。なぜか指で一口だけ舐めようとする。バカ!ウカツ! 固唾を飲む観客。 舐めようかやめようかで尺を採るマンディ。ヤメロ! ナンデ舐めようとしたの? 観客が固唾を飲む。 ペロッ。大爆発。マンディの視界は七色に発光し脳が連続爆発。永遠に続く廊下と徹底的な万能感と永遠に続く地獄の責め苦を同時に味わうマンディ。マンディは新たな地獄のロードウォーリアーとなった。

ネタバレ:マンディは地獄のロードウォーリアーだった!!!

マンディは復讐を終えた。
チェーンソーデスマッチ(チェン道)を制し、カルト教団を皆殺しにして、燃やし甲斐のある教会を燃やし尽くした。帰路に就くマンディ。車両には一人のニコラス・ケイジ。ニコラス・ケイジは"助手席"に向かって満面の笑みを浮かべる。(どこへ行こうか)(あなたとならどこへでも)(そうか)

マンディとレッドは、幸せに暮らしましたとさ。

ネタバレ:マンディはマンディだった!!!

感想

なにこれ。(終)

ある程度ストーリーや出来事を抜き出して整理すると面白そうに見えますが、実際には、画面の9割が常に赤いケミカル映像と間延びしたファンクラブ活動によって全く訳が分かりません。意味は分かるが意図の分からない演出がグングンきます。
それでも劇場で見るに値する映画であることは間違いありません。不穏な音圧や画面いっぱいの血しぶきは貴重な劇場体験です。
あと磔にされて脇腹を刺されてから復活するマンディやよく食うデブの存在など有名なモチーフが散見されますが、ほとんど気にするだけ無駄です。

未来へ

この映画はそんなに面白くない。けれど、それを上回る熱量があり観終わった後は「俺のマンディを聞いてくれ」となるはずだ。いつかこの映画を見たときに(なにこれ)と思ってほしい。 そして、俺マンを語ってくれ。

いじょうです。

※注意※本レビューの破綻した文面は意図的なものであり筆者自身は安定し平穏に包まれています。

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