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アベノミクスを振り返る②

こちらの記事で当初アベノミクス3本の矢とされたものは何だったのか
簡単に振り返りました
しかして、その後実際にはどういった政策が行われたかを振り返っていきましょう。
ダラダラと長くなりましたが僕なりに金融緩和と機動的な財政出動について末路を語ります。

大胆な金融緩和でどうなったか

こちらは日銀の2013 年 4 月 1 2 日の資料に良さそうなのがあったので引用します。
異次元の金融緩和でわかりやすいモノとしては

・2%の物価安定の目標を、2年程度の期間におく
・国債買い入れ枠を50兆円増やす

https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2013/data/ko130412a1.pdf
より引用



同上より抜粋

ちなみにマネタリーベースとは「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」であり日銀当座預金が増えただけで信用創造がされなくても目標を達成することは可能です
何の意味があるのかって話ですが


増えるマネタリーベース、増えないマネーストック

先ほど述べたように
マネタリーベースとは「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」
マネーストックとは
金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量
 具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などが保有する現金紙幣、そして預金となります

金融緩和の狙いとは日銀当座預金を供給することで銀行が貸付できるようにしてやり
個人や企業等が借入することで経済が活発になるだろうという目論見だったと思います

しかしながら、日銀当座預金が激増したことでマネタリーベースは激増しますがマネーストックは沈黙したまま
当たり前ですよね、後述しますがアベノミクス第2の矢は放たれずむしろ増税と緊縮財政の強化によって景気の浮上はありませんでした。

誰がどうして借り入れをして通貨量を増やすのでしょうか。

http://mtdata.jp/data_71.html#MBMS
より引用


民主党時代から一転して円安へ

https://finance-gfp.com/?p=3008
より引用、抜粋

このグラフは上がるほど円安になっていると思ってください
民主党時代の円高から一転一気に円安に転じているのが分かります
ただ量的緩和が円安誘導になるメカニズムについては忘れてしまったので
ここではこうなったと結果だけ示します。


弱体化する実質実効為替レート


ついでに実質実効為替レートを見ていきましょう
民主党時代から一転ガツンと弱体化しているのが分かります
金融緩和の影響とは限りませんが併記しておきます

https://x.com/OgawaSeisakusho/status/1684779572305559553?s=20
小川製作所
@OgawaSeisakusho
様よりお借りしました

上二つのグラフが合体するとこのようになります

http://mtdata.jp/data_79.html#kawase
より引用

実質実効為替レート(一般的に通貨の実力として扱われる)もダウン・・・酷い有様になりました

ちなみに株価のほうは上昇しています


実体経済と金融経済の乖離は今では指摘されますね
実体経済で回るはずのお金が金融経済で回っても

金は天下の回り物とはならない
株価が上がってもGDPの5~6割を占める私たちの需要はあがるとは・・・
株やってた人はヨカッタデスネ・・・

https://ogawa-tech.jp/2021/12/17/japan-economy/
より抜粋、引用



機動的な財政政策でどうなったのか

これはロイター通信の記事ですが、こちらによると
第二次安倍政権はは2012年度に政権を奪還したのち13兆円の補正予算を組んだようです

僕が調べた範囲ではアベノミクス第2の矢はこれくらいです
さすがにそれはないだろうと思ったんですが
「ない」んですよね
一方で消費税増税により税収は伸ばし
民主党時代より国債発行額は減らしています

税収とは通貨を破壊した額
国債発行額とは通貨を新たに生み出した額
これで景気が良くなるわけがありません

緊急経済対策を盛り込んだ総額13兆円超の2012年度補正予算案は、26日午後の参院本会議で賛成多数で可決され、成立した。投票総数233票のうち賛成117票、反対116票で、わずか1票差だった。

もちろんこのうち全てを執行したとは限りませんのでそこはご留意ください。
第一の矢で日本の円安、実効為替レートの弱体化を招いたわけですが
こちらはどうなっていったのか見ていきましょう。

僕は可処分所得の増加を伴わないインフレはまずいじゃん!って立場ですが
デフレ脱却を掲げていたのでインフレ率の推移を見ていきましょう


消費税増税以外では伸びないインフレ率、ディスインフレ状態

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17A930X11C22A1000000/
日本経済新聞さんより引用しました

インフレ率は消費税増税以外、コロナ禍での物不足、ウクライナ侵攻の影響以外で伸びた時代はほぼないですねっていう・・・

2014年4月の消費税増税によりブワッっと上がり、墜落していいきました

余談ですが2019年10月にも消費税増税を景気後退に上げるとか錯乱した政策をしてそのままコロナ禍に突入していくことになりましたね

だだ下がりする実質消費指数

日本の実質消費指数(2015年=100)の推移をみると

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12661441124.html
より引用

2014年直前に駆け込み需要があったもののガクンと消費は落ち持ち直すまで
4年近く必要としたことが分かります
2019年にも消費税増税をしたので似たようなグラフの動きをしていますね
駆け込み需要をする余力もない感じです
機動的財政政策どころか、消費税増税によってGDPの5~6割を占める内需を破壊しにかかっているのが分かります。


実質賃金についても抑えていきましょう


実質賃金とは労働者が給与で購入できる物品やサービスの量です

先進国で実質賃金が下がる国って異常なんですが、複数のグラフから日本がどうなっているかお見せしましょう。

どん!

http://www.zenroren.gr.jp/jp/
全労連さんからお借りしました

どん!!

http://kyujokowasuna.com/?p=2838
より引用

どどん!!

https://go2senkyo.com/seijika/96855/posts/304863
より引用

名目賃金がわずかなりとも増えたと言っても実質賃金がダダ下がり
良いインフレが可処分所得の増加を伴う物価上昇とするならば
安倍晋三氏が言うところの「デフレでない状態を作り出した」と言ってもその実
働いて得た給料で購入できるものは減る一方、物も売れなくなる一方で
とても健全な経済状態とは言えないと思います。
インフレになれば賃金が上がるのではなく、事業者が上げるから賃金が上がる
それを全く理解していません。

そもそもデフレ克服だけをなぜ目指したかというとインフレにさえすれば経済は良くなると思い込んでいたのもあると思いますね。

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