見出し画像

車椅子を使うようになった元バイトの子との再開

こんな夢をみた。ふと目を向けると車椅子のお客さまがひとりで棚を見ている。気づかなかった。僕は慌ててかけよって、何かお探しの商品はありますかと声をかける。そして、また驚く。以前勤めていた店舗のバイトの子だった。

こんなとこで会えるなんて。矢継ぎ早に話かけるが、こちらに目をやることもなく棚の商品をじっとみている。

よく見ると雰囲気が少し違う。前髪も鼻にかかるほど長く、目元も見えにくい。でも別人とは思えない。車椅子になっているのだから、いろいろ苦労してきたのだろう。

私とは目を合わさず少し離れた棚をじっと見ている。あの棚が見たい? 僕は車椅子を押してその棚の前に行く。身を乗りだすように商品に手を伸ばす。

僕の言葉に返事はなかったけど、少し役に立てたようでほっとした。どれが気になる? 商品を順番に取って差し出す。

目もあわさず返事はまったくないけれど、意思の疎通はできているようだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?