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吸気口に換気扇を取り付けるにはどうしたらいいのか? 【その8・取外し機構・完結編】

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【その7・取外し機構編】の続きです。

 取り外し機構に四苦八苦しているのですが、カッコいいデザインも同時進行していました。それでスリットデザインにしました。

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 最初は、設計方針ーー

(1)誰にでも簡単に取り付けできること。
(2)お部屋に馴染む、シンプルなデザインにすること。
(3)できるだけ小さくすること。

 これの(2)と(3)に沿うために、必要最小限のデザインにしようと思いました。最小限のデザイン、要はスリットがない。ファンの風が通る穴だけがある。これをイメージしてました。

でも、いまいちカッコよくないんですよ

 参考に、耐久試験中の↓試作機をご覧ください。

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これはまったくカッコよくないですね😅 指を怪我しないためのファンガードすらありません。真ん中の黒い穴が、ドラクエモンスターのキラーマシンのようで怖い👹 試験メモがベタベタ貼ってありますが、内容は企業秘密😆

 ちなみに、ファンガード付きはこちら。

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ガードの方向が縦か横か、それとも網目か? 考え出すとキリがない😂

いや、設計方針を考えれば、カッコよくなくてもいい

 いかんせん無機質過ぎる。お部屋になじむどころか浮いちゃう。真っ白だからでは? 最終的にはオフホワイトにして壁紙になじませよう。いっそ壁紙を貼って保護色にすれば? 貼り付ける手間どんだけ。よし、抜本的に変えて、正面吸気をやめて、サイドから吸気すれば? そうすれば正面はまっさらな板の超シンプルデザインにできる。いや待て。それやると、最初からデザイン、いや、設計のやり直しだぞ……うああああああああ(^q^)

 選択肢が、頭の中にぶわーっと広がって大混乱。考え込んでいるうちに、なにもせず一週間が終わっていた……なんてことも😅

考えてもしょうがない

 とにかく形にするんだ! とスリットデザインを仕上げてました。スリットデザイン第一号が↓これ!

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前回のnoteでお見せした、スリットデザインに比べて、スリットが多いですよね。内部構造が見えちゃうくらいスケスケです。

 これくらいスリットが入っていると、当然強度が落ちます。指で押すとしなやかに曲がります。

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 余談ですが、3Dプリンタに触れていると、梁、柱、壁面、筋交い、火打などの補強(?)によってもたらされる強度が実感できます。ただの板だとペラペラですが、少し縁をつけて(L字断面にして)あげるだけで途端に強度があがる……など。たのしい😊

そして気づいたのです😲

 スリット構造にしたことで、しなやかさが生まれ、換気扇全体をしならせることにできる。しならせれば、アタッチメントに引っかかっているフックを外すことができ、取り外すことができる!……と。

 文章で説明するとわかりにくいので、動画で……

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 赤の矢印で示した、灰色のフック部がフックが動いているのがおわかり頂けると思います。右手親指であてている所を押すと、こうなるんです。

これはまさに、取り外し機構じゃないか!

 当初は「大発見!🤗と喜んでいたのですが、頭が冷えてくると、なんて事は無いと気づく。家電製品のカバーとかも、素材自体のしなやかさで〝しならせて〟脱着したりしますからね。

でも、なんだかんだうれしい

 道具不要。デザインもシンプル。突起は一切なし。理想のイメージ通りに脱着機能が搭載できた訳ですから。

ただ、スリット入れ過ぎ……

 この後の話になりますが、量産版の換気扇本体はアルミ板を切り出し、板金加工で成形します。その切り出し工程でスリットが多過ぎるとデコボコになる可能性がある。さらに、カットの工数=コストですので、スリットの数を減らさざるを得ない。

 そうして、↓このデザインが出来上がったという訳です。

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 そして、↓こちらを御覧ください。

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ただスリットを減らしただけじゃありません。赤い矢印で示している所、ここだけ、スリットの形状が違っています。スリットを下向きコの字になっています。ここを取り外しのプッシュ部としました。

 コの字にすることで、このように↓動くようになります。

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 そして、コの字部の下には、フックがあり……

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 ほら、赤矢印が示したところ、プッシュ部がフックを動かしてくれるでしょ〜🤭

 プッシュ部をつくることで、明確に『ここを押して取り外してください』と提示することができ、よりわかりやすく、簡単に取り外すことができます。

それでは、取り付けから、取り外しまでご覧ください

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 最初に、給気口をルーバーを開けて、取付け。そして取り外し。とても簡単でしょ〜。Gif動画なので音がないのですが、ガチャンとハマる音がして、取付けされたことがわかりやすくなっています。

ちゃんと取り付けられているか?

 ここで言う「ちゃんと取付けられているか?」とは「換気扇としての機能しているか?」と同じ意味です。

 機能するには、吸気口にちゃんと接続されているかが重要になります。

 では、↓こちらをご覧ください。これは、検証中の吸気口です。

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 この給気口に取り付けていた、コロシアム型・気密スポンジが↓これです。

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 気密スポンジが吸気口の形になっていますね。つまり、給気口に隙間なくフィットしているということです。

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 Before & After です。左が使用前。コロシアム形状です。右側が吸気口の形状になった気密スポンジです。

吸気口の形状を問わない

 これまでのnoteで書いたように、給気口は形状は様々です。気密スポンジに、しなやかなウレタン素材を使用することで、どんな形状の吸気口にもフィットし、気密を確保します。(ちなみに、スポンジは復元力があり、時間が経つと元の形に戻ります)

つまり〝ちゃんと取り付けられる〟ということです! 特許出願中!

なお、写真の給気口は試験している給気口の中で一番形状が複雑です。

 それはつまり、隙間ができやすい難易度の高い給気口ということ。それでもきっちり気密。開発者としては満足の仕上がりです。

 最後に、アタッチメントの取付けをタイムラプス動画をご覧ください。

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 アタッチメントはマップピン(細い画鋲)を12本刺して固定します。最後に、換気扇本体を取付けていますが、一瞬しか映っていませんね😅

これで、換気扇本体のデザインはほぼ完成です。それはつまり……

 その8まで続いた「吸気口に換気扇を取り付けるにはどうしたらいいのか?」がクリアできたことになります!🍾🤗🎉

 晴れて、給気口に換気扇を取付け編は完結と相成りました!ありがとうございます〜。

しかし、製品化への道半ばです。

 次の課題は量産化です。

 次回のnoteにつづく!

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