｢好き｣と｢うまい｣は関係なくて良い

私、3歳から中1まで、だから10年くらいですかね。ピアノを習っていたんです。でも練習が嫌いで嫌いで、ほとんど上達しなかったんですね。ピアノを弾くのは週に1回のレッスンの時間だけ、みたいな状態で。先生は優しい人で、練習しておいでねとはしょっちゅう言われてましたけど、それを怒ったりはしなくて。でも、自分では練習してないくせに上手になりたくて、できないと目に涙をいっぱい溜めてたりしていました。今考えると馬鹿な話です。練習しないから上達しないっていう当然の帰結が分からないんですかね。当時は分からなかったんです、多分。というより認めたくなかったのかもしれません。自分のことを天才だと思いたがる子どもでした。なんなら今でも隠された才能が突然開花したりしないかな、なんて淡い幻想を捨てきれずにいます。そんな考えを持っているので、練習しなくても一曲仕上がる、みたいな起きるはずのない奇跡を思い描いては裏切られていました。

小学校では、合奏の授業がよくありました。学校はピアノとか楽器を習っていない子が多数派なので、難易度も控えめで私も目に涙を溜めたりしないで済みました。周りの子に｢あいつはピアノを習っている割にできないな｣と思われないために必死でしたけど。みんなで音を合わせるのはすごく楽しかった。でもこのときは自分が音楽が好きだって分かっていなかった。だって全然ピアノの練習はしたくないんだもん！　全然うまく弾けないんだもん！

中高生になると好きなバンドだの歌手だのが私にも出てきました。でも、その人たちのファンだとか、その人たちのことを好きだとは言えなかった。だって、全然知らない曲たくさんあるし、上手に歌えないんだもん！！　唯一好きって言えたバンドは、全部のアルバムとシングルを網羅したバンドでした。＊＊ってバンドが好きって言って、友達に｢～～って曲いいよね｣って返されてそれを知らないときの気持ちといったら！！！　当時は詳しくないと好きと言ってはいけないみたいなマイルールに縛られていました。知らないことをみんなに知られたくなかったんですね。

で、大学生になるじゃないですか。いや詳しいきっかけは分かってないんですけど、段々詳しくなくても好きって言っていいのでは？上手にできないことでも好きになっていいのでは？って思えるようになってきたんですね。そう思えようになった理由は友達の影響が大きいと思うんですけど、はっきりとは分かってない。

こうなった私はなんだか強くてですね、面白そうだなと思ってギターを始めました。またピアノみたいに続かないかなとも思ったのですが、なんだか練習が捗る。楽しい。音が鳴るだけで嬉しい。楽しいと練習がもっとできる。上達する。人生で初めてこのループを経験したかもしれない。なんだこの素晴らしい循環は！！

という感じでね、ギター楽しいな、好きだなと思えるようになりました。YouTube開けば、自分よりうまい人がわんさかいますけど、それでも｢私が｣弾いている間｢楽しい｣ので、ギターを弾くのは好きなんだって人にも堂々と言えるようになりました。

そこから派生して、好きな歌手も言えるようになりました。知らない曲の話になったら、｢今度聞いてみる－！｣って言えば良いんです。なんて簡単。できるようになったらね、そう思うんだけどね、言えなかった幼き日の私のことも忘れていないよ。

で、ですよ。あぁ自分音楽好きだわぁと。下手っぴでも好きって言っていいなら音楽聴くのも、楽器やるのも、歌うのも大好きだなぁと、思いまして、年末年始で実家に帰ってきているので久しぶりにピアノを弾いてみました。それがまぁ楽しい！！　うちは両親も優しくてですね、キーボードだから練習したくない！練習できない！と言い張る娘に、電子ピアノを買ってくれていたんです。買ってもらってもそのときは申し訳ないくらい触らなかったんですけど、今触ってるので良しとしてください。

今回はU-FRETさんでコードだけ見てるんですけど、まず弾きたい曲を弾ける幸せ。習ってるときはわけの分からない課題曲ばかりだったので、好きな曲を自分で弾きたい私としてはちょっと不満だったんですね。わけの分からないとか言ってごめんなさい、当時の私の感覚の話です。今は好き勝手できるので楽しいと。でも基礎はね、10年かけてすこーしずつ学んだのでなんとなくできるんです。こうなるとピアノを習っていた自分、教えてくれた先生、そんな状態でも辞めたいと言うまで続けさせてくれた両親に感謝の気持ちが止まらない。そう、私練習はしたくないけど辞めたいとは言わなかったんです。先生の人柄もありますが、教室に通ってさえいれば上達するとでも思っていたんでしょうかね、よく分からないけど中学に入ってなんだか忙しいぞとなるまで辞めなかったんです。

あんなにいやだった練習が嫌じゃない。コードしか見ていないから、自分の実力以上のことは良くも悪くもできない。でもそれがすごく丁度いい。習っている間はどう足掻いても連日できなかった練習が、実家に来てから毎日続いている！なんなら毎日2回ピアノに触っている！自主的に！！　これは、奇跡だ。

いや大袈裟。楽しくてやっているからすごく自然なことなんですね。好きなことは勝手にうまくなることを実感できたところなんだけど、逆にできないうちでも好きでいていいんだなと。それは当たり前なことだなと思った年明けでした！