見出し画像

EdTechが変える教育の未来[前編]

新型コロナウイルスの影響で学校が休校になりましたね。準備や勉強の時間が増えたと捉えて、積読していた本を片っ端から読んでいます。

先日読んだのはこちらです。

前編・後編の2つに分けて感想を書いていきます。長文になりますので目次を見て、興味があるところだけでも見ていってください。


1.EdTechとは


エドテックとは、Education(教育)×Technology(技術)を表す造語です。

○○Tech というのは、
フィンテック(金融×技術)
ヘルステック(健康×技術)
といった、さまざまな産業とテクノロジーの結びついたものを表すものをさします。

エドテックの例
・メールで保護者に連絡を伝える。
・動画教材やタブレット等で学習する。
・ソフトを使って成績や出欠簿の管理をする。

作者は、このエドテックが日本の教育を変えると断言していました。 ここで大事になってくるのが、今までの時代とこれからの時代についてです。


2.今までの時代とこれからの時代

・今までの時代とその教育
高度成長期の頃、ビジネスの主眼は工業化社会で、大量生産がキーワードでした。そのため、決められたことを正確かつ効率的に行い、覚えたことをただしく繰り返す能力が求められました。

学校教育でも知識を詰め込み、教師の言うことを素直に聞き、問題を早く正確に解く人材の育成に重きをおきました。

結果、教師主導の知識注入・一斉授業により、受け身の人間が育ちます。

・これからの時代
第4次産業革命と呼ばれる時代です。AIや仮想通貨、自動運転、ドローンなど、新しいテクノロジーが次々と登場しています。

このテクノロジーの発達により、すごい勢いで新しいビジネスやサービス、価値観やルールが生まれています。

過去に学んだ知識や技術でずっと暮らしていけるわけではありません。この変わり続ける不確かな時代を生き抜くためには、生涯にわたって「学び続ける力」が非常に大切とのことです。

また、必要とされているのは「21世紀型スキル(コミュニケーション・コラボレーション・情報活用能力・課題解決力など)」です。

つまり、作者は、

「これまで通用してきた子どもが受け身の教育ではもう限界が来ている!だから子どもたち の主体性を伸ばすために、学習者中心の学びにシフトしていかなければならない!」

と言っています。
そして、その学習者中心の学びにおいて重要になってくるのがエドテックです。


3.学習者中心の学びとは


学習者の特性を最大限尊重した学習モデルのことです。

[漢字学習を例に]
・今までの教育では…
一斉に宿題などを通じてひたすら書く。 

覚えられる子もいれば、もちろん覚えられない子もいました。

・エドテックを使うと…
僕は漢字の成り立ちを紹介した動画を見る。

 私はアプリを使って覚える。

僕は書く。

私は見る。

自分に合った学習を選択できるようになります。


4.学びはどのように変わっていくのか


テクノロジーの進化は人々の予想を超え、既成概念を次々と崩していきます。5Gになり、インターネットが普及した世界では、世の中の9つの原理原則が変わると言われています。(ザ・プリンシプルズで調べてください。)

その中の一つが教育です。「教育制度に頼らなくても学びが手に入る。」と言われています。

今これを読んで、「先生という職業が無くなるってこと?」と思った方も多いでしょう。

この本を読んで、僕は半分イエス・半分ノーだと感じました。 その理由はあとでお話します。

ただ、教育システムに頼らなくても学びを生むことが可能な時代は、すでにやってきています。本書では様々な国のエドテックによる教育革新について書かれていました。

アメリカでは、多くの子どもたちが学校に通わず、インターネットを使ってすでに学習しています。(カーンアカデミー・ムークで調べてみてください。)

そして、一人ひとりに合った学習方法をAIが提案し、苦手を徹底的に克服させるという学習者中心の学びが実現しています。

中国やイギリス、イングランド、イスラエル、シンガポールでもエドテックは非常に盛んです。


5.日本でエドテックが盛んではない理由

理由① インフラ(Wi-Fi、タブレット等)が完備されていない学校が多くて導入できない。

理由②テクノロジーを学習に活用するという発想が浸透していない。

学校や塾で教える立場の人は、エドテックに頼らなくても、従来型の指導方法で良いと考える人が多いです。今までの「工業社会」においては成功例です。しかし、21世紀には通じません。

また、日本は全国各地である意味高いレベルの教育を受けることができたため、教育制度や仕組みそのものを変革する可能性に及び腰になっているうちに出遅れました。


(アメリカや中国等・・・地域によっては学校に行けなかったりする子もいる。→政府「なんとかしなくては!」→エドテックによって家でも勉強できるようにしよう!)


6.学校にもテクノロジーが必要な理由

しかし、子どもたちがタブレットで見たり、書いたりしなくても、教科書とノートがあれば、学校の勉強はできるはずと思われる人も多いでしょう。

実際に教育者の中にもテクノロジーを使うことに否定的な人もいて、議論が二つに割れることもあるらしいです。


学校にエドテックが必要な理由を理解するには、世界の動きを学ぶ必要があるとのことです。先進国を中心に、 先ほど出てきた「21世紀型スキル」が定義されました。これがそのスキル一覧です。

【21世紀型スキル一覧】
(1)想像力とイノベーション
(2)批判的思考、問題解決、意思決定
(3)学びの学習・メタ認知
(4)コミュニケーション
(5)コラボレーション(チームワーク)
(6)情報リテラシー
(7)ITリテラシー
(8)地域と国際社会での市民性
(9)人生キャリア設計
(10)個人と社会における責任

(6)情報リテラシー(7)ITリテラシーに注目してください。つまり、テクノロジーを理解し、生活や学びの中で使いこなすことが世界的に重要であると定義されていることが分かります。

日本の文科省もこれを追うように新指導要領の中で「情報活用能力」を重視しており、これを伸ばすためにはテクノロジーの利用が欠かせないとしています。プログラミング教育もその影響の一つと言えます。

後編に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?