悪魔のグルメ2
2020/10/28現在、カクヨムにて無料で読むことが出来ます。
小説家になろうで消されてしまったので、修正版を執筆中です。
それでもいいという方のみご購入ください。
『由良』
多くの場合人は変わることが出来ず、その不可能性、不可逆性に自分自身を規定されるのだけれど、それと同じくらいに変わらないものなんてない。
月が満ちていくように、ただゆっくりと形を変えるものもあれば、劇物をあおり、突然に毒々しく色を変え、二度と戻らないものもある。
僕は、灰川真澄という毒を飲んだ。
灰川は探偵で、僕はその助手で、そうであるからにはもう、そうでなかった時のようではいられないのだ。
変わらないもの──僕の壊滅的なファッションセンス。電話にはめったに出ないこと。腕時計をしないこと。劣等感。ダサくて不細工で卑屈さと傲慢さが入り混じった僕が僕であること。
変わったこと──コーヒーが飲めるようになったこと。毎日髭を剃るようになったこと。喧嘩や詐欺が少し上手くなったこと。免許はないけど、車が運転できるようになったこと。死後硬直から大体の死亡時刻を推定できるようになったこと。人を何人か助けたこと。人を何人か殺したこと。
そして──人間ではなくなったこと。
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