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女学生の称号、剥奪

3月1日、卒業式。3年間待ちに待った卒業。俗に言う、JKブランド終了である。私は、JKにしては少数派、学校が嫌いだった。

毎日きついと言いながら通った高校の卒業式は驚くほど悲しくない。校長の話はいつも通り長く、寝てしまうかと思った。親への感謝を述べる答辞の声が震えるのにつられそうになるけれど、耐えた。この学校には未練もなく、いいえ、購買のパンに少しの未練を残して、元気よく去ります。

とはいえ、高校生活というのは嫌なことばかりではなかった。大好きな友達と出会うには、この高校に入らなければならなかった。それなのになぜ学校が嫌いだったかというのはまた別の機会に。

テニス部の部員、1人残らず全員大好きだった。いつだって全力で面白くて、楽しい。部活自体はあんまり好きじゃなかった、休んだり遅刻したり。迷惑極まりないが、キツいと言いながら顔を出し、早く帰りたいと言いながら、練習の延長を嘆いた。思い出補正というのは恐ろしく、今は少しそれだって恋しいような気さえする。皆とテニス以外のことをして過ごす時間が好きだった。夏になれば近所の川に、海に行く。部室の前でラグビー部が体を洗う蛇口にホースを繋いで遊ぶ。皆とご飯に行くこと、カラオケに行くこと。冬の部室でまだ外に出たくないと、ウダウダすること。あぁ、好きだったな。そのような理由で、引退まで部活を辞めなかった。

掃除場所が2年同じのあの子や、お弁当を一緒に食べているあの子、生物で一緒に赤点を取ったあの子、歌だけは上手いあいつ。大きな声で号令をかけるあの子、基本彼氏と続かないあの子、猫好きのあの子、塾でよく会うあいつ、エトセトラ。本当に大好きだ。塾のあいつだけは写真を撮り忘れたな。

学校が違っても仲良くしてくれた人達、ありがとう。マクドナルドでよく集合したあの子。あの時間、本当に最高だった。いつだって面白いことに全力で、小学生の時から変わらないな。私が嫌なことがあって学校に行かなかった日、カラオケに行ってくれたあの子も最高だ。一緒にA・RA・SHIを全力で歌って盛り上がってくれる。お陰で、何が嫌でその日、学校を休んだのかもうすっかり忘れてしまった。小、中学時代、よく喧嘩したあの子は少し丸くなったのかな。でも今でもよく先生に怒られるのね、そういうところ結構嫌いじゃありません。音楽の趣味が合うあの子、いつか一緒に地球の丸さを体験しに、端っこが本当にないのかどうか、海外に旅行でもしたい。でもきっとどこに行ったって楽しい。まずはあの子の運転で、ちょっと遠くまで行きましょう。

先に言った部活しかり、いつか思い出補正がかかるのでは無いかと思うのだ。都合のいい頭をしているから、辛かったとかどうでも良くなっちゃえばいい。リアルな記憶を保存することよりも、良いことばっかり覚えていたい。辛くて泣いた私の事は忘れちゃおうと思う。逆に言えば、良い思い出や好きな人たちだけはちゃんと覚えていたいのだ。

部室、マクドナルド、近所の川、自分の家よりも居心地のいい友達の家、毎年末鬼ごっこをした団地、毎年夏に花火をした空き地、塾、理数科教室、待ち合わせ場所のローソン。

部室で貰った購買のラスクや、マクドナルドでの数々の談笑。川で見つけたメダカ、友達の家で金曜ロードショーをみるため集まり、鬼ごっこは年甲斐もなく走った。爆竹をならして、小さな花火を打ち上げて、近所迷惑にも程がある。好きな先生たちがいて、好きな友達がいて、塾なんて初めて好きになった。テスト前に歌を口ずさみながら理数科教室で、提出してない課題をしたよね。ローソンでの待ち合わせ時間には2人とも遅れたりして。

高校時代、愛すべき時間をすごしたこと、本当に誇りに思う。高校生活というのは、学校だけではないのだ。青春というのはどこでだって、できるものなのだ。形は違えど、私のこの列挙した全ての人、時間は特別で、青春であったのだと思う。だんだん、良い思い出だけを書くうちに嫌なことなどどうでも良くなってきた。このように良い思い出だけを振り返り、思い出しては、高校時代の記憶を塗り替えてゆこうと思う。都合よく。


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